強い日差しが照りつける帝京大・百草グラウンドには、多く観客が詰めかけ、帝京大Cとの一戦に熱い視線を送った。直前の帝京大Bとの一戦で勝利をもぎ取り、勢いに乗る早大。今試合でも白星をつかみ取り、翌日に控える関東大学春季大会最終節・帝京大との大一番へ弾みをつけたいところだ。
帝京大Cのキックオフで始まった一戦は序盤から激しいコンタクトの応酬に。先制を許した早大Cだったが、持ち味である連続攻撃で反撃。19-7とリードして前半を終える。迎えた後半、早大Cはこの勢いのまま突き放したいところ。しかし、帝京大Cの反撃が始まる。点の取り合いが続く激しい展開の中、後半35分には同点トライを許し、さらに逆転のコンバージョンも決められてしまう。終了間際にはダメ押しのトライを献上し、33-42でノーサイド。選手たちの目には悔し涙が浮かぶ中、試合は幕を閉じた。

帝京大Cのキックオフで始まった今試合。序盤から激しいコンタクトの応酬が続き、帝京大Cの強烈なプレッシャーに早大Cはスクラムや密集で立て続けに反則を犯す。前半5分には、早くも先制点を許す苦しい立ち上がりとなった。
流れを渡したくない早大Cは、果敢に敵陣へ攻め込む。WTB山下一吹(教4=東京・早実)がキックで相手ディフェンスの背後を突き、チャンスを演出。SO池山昂佑(商3=東京・早実)の鋭いパスを受けたCTB森田倫太朗(スポ3=兵庫・報徳)が大きくゲインすると、WTB山下恵士朗(スポ2=早稲田佐賀)がライン際で起点を作る。再び森田がビッグゲインを見せると、早大Cが得意の連続攻撃から流れをつかみ、帝京大Cはたまらずペナルティー。前半20分、ラインアウトからフォワード陣がラックサイドでフェーズを重ね、最後はPR石原遼(スポ1=神奈川・桐蔭学園)がゴールラインをこじ開けた。
さらに前半30分、帝京大Cの猛攻をHO真田稜大(教4=東京・早実)がスティールで仕留め切り、チームのピンチを救う。池山のキックで敵陣へと押し返し、ラインアウトモールへ。池山からのパスを受け取ったFB髙栁壮史(創理4=東京・早大学院)が相手ディフェンスを引きつけてロングパス。ライン際で待っていた山下(恵)が受け取り、インゴールへ飛び込んだ。右隅からの難しいコンバージョンも池山が沈め、スコアは12-7に。
その後、途中出場のSH渡邊晃樹(スポ2=神奈川・桐蔭学園)がテンポを加速させる。「帝京大というフィジカルの強い相手に対し、テンポを変えることを意識した」と振り返るように、持ち味の素早い球さばきでアタックに勢いをもたらす。前半39分、帝京大Cの攻撃に対し、早い出足でプレッシャーをかけミスを誘発。こぼれ球を拾うと、渡邊が素早く捌き、森田が相手ディフェンスのギャップを突いて追加点。再び池山が角度のあるコンバージョンを決め、19-7とリードを広げて前半を折り返した。

迎えた後半、早大Cは前半の勢いそのままにリードを広げたいところだったが、相手は帝京大C。容易には主導権を掴むことができない。開始わずか1分、早大Cは失点を喫し、スコアは19-14に。
そこからは一進一退の激しい点の取り合いが続いた。後半5分、早大Cは連続攻撃からペナルティーを獲得し、敵陣ゴール前へ。ラインアウトからモールを形成し、じわじわとトライラインへと迫る。CTB若林海翔(社1=東海大大阪仰星)の鋭いカットインを起点に、最後はLO惟村詠甫(基理3=神奈川・桐蔭学園)がインゴールに飛び込む。池山のゴールも決まり、26-14とリードを広げる。
その後、再び失点を許すものの後半20分、帝京大Cの攻撃をスティールで遮断。池山のフラットなパスを受けた山下(恵)がビッグゲインを見せ、一気に敵陣深くへ。一時はボールを奪われたが、山下一のキックカウンターから起点を作ると、ボールは再び山下(恵)のもとへ。「個人としてチャンスを作りたかった」と語る山下がライン際を抜け出すと、次々と相手ディフェンスをかわし、そのままインゴールを駆け抜けた。池山のゴールも決まり、スコアは33-21に。
このまま逃げ切れるかと思われたが、試合はそこから急転する。すぐさま1トライを返され、点差は5点差に。後半35分、帝京大Cが素早く外に展開し右隅へ滑り込む。スコアは33-33。続く難しい角度からのコンバージョンも決められて33-35。逆転を許す展開に。さらに終了間際、ダメ押しとなる1トライを奪われ、33-42。白星を掴むまであと一歩。しかし、その一歩が届かず、悔しさの残る逆転負けとなった。

開始直後と終盤のわずかな時間を除き、常にリードを保ちながら自分たちのラグビーを貫いた早大C。しかし、結果は無念の逆転負け。「恥ずかしい戦いをしてしまい、二度とこんな試合はしたくない」(真田)。目に涙を浮かべながら、選手は揺るぎない決意を口にした。稲穂のジャージーを着て負けていい試合など1つもない。そんな誇りが、選手たちの中で一層強く刻まれる。
この悔しさを胸に。この夏、必ずリベンジを果たしてみせる。
記事:大林祐太 写真:村上結太(早稲田スポーツ新聞会)