早稲田大学ラグビー蹴球部WASEDA UNIVERSITY RUGBY FOOTBALL CLUB OFFICIAL WEBSITE

One Shot

2025
  • SpoLive

定期戦 東京大学戦/観戦記

早大・上井草グラウンドでは東大との定期戦が行われた。試合開始早々、早大CDは自陣深くからも果敢に仕掛け、持ち味であるアタッキングラグビーを体現。前半10分に先制のトライを奪うと、フォワードの縦への力強さと、バックスの横の速さを巧みに織りまぜ、次々にスコアを重ねる。前半だけで5トライを奪い、31-0で前半を折り返す。試合を完全に掌握して折り返した。続く後半、大幅なメンバー交代を行いながらもチームの軸はぶれない。東大のセットプレーの圧力に苦戦する場面もあったが、ディフェンスでの規律と集中力を切らすことなく主導権を死守。テンポを崩さずに試合を進め、最終スコアは78-7。圧巻の勝利でノーサイドの笛を迎えた。

キックを狙うSO寺田

東大ボールのキックオフで幕が開けた一戦。序盤から主導権を握ったのは早大CDだった。自陣深くからもCTB菊川迪(スポ2=兵庫・報徳学園)を中心に果敢にボールをつなぎ縦横無尽に攻め上がる。試合開始直後から早大が誇る展開ラグビーを見せつけた。試合を動かした先制点は前半10分。スクラムから攻勢に出た早大は、体を張ったプレーで幾度もゲインラインを突破していた菊川が起点を作る。FB細田悠介(スポ2=福岡・修猷館)がラインブレイクをすると、フォローしていたWTB佐々木篤真(法3=福島)に絶妙なオフロードパス。最後はSO寺田結(スポ2=広島・尾道)へ。巧みにパスダミーを織り交ぜ、相手ディフェンスを翻弄した寺田がそのままインゴールへ飛び込んだ。難しい左隅からのゴールも自ら沈め、スコアは7-0。早大CDが鮮やかに先手を奪った。

続く前半21分、LO小松輝也(スポ3=大阪・常翔啓光学園)が力強いキャリーで相手ディフェンスをねじ伏せ、敵陣まで攻め込む。東大は早大CDの怒涛の連続攻撃に耐え切れず、たまらずペナルティー。寺田のキックで敵陣ゴール前に迫るとラインアウトからモールを組み立てる。一体となって押し込み、最後はHO野村怜央(商1=兵庫・報徳学園)がグラウンディング。スコアを突き放した。

さらに前半27分、今度はスクラムでペナルティを奪うと、すかさず速攻。素早い展開でボールは大外へ。SH川端隆馬(スポ1=大阪桐蔭)が絶妙にテンポをずらしてラックサイドを突くと、オフロードパスがわたる。ラストパスを受け取った細田がそのままゴールラインを駆け抜けた。

前半31分、相手のミスキックを逃さず、早大CDは一気に大外へ展開。ボールを受け取ったのは佐々木。鋭いステップで次々とディフェンスをかわし、自陣から敵陣深くまで一気に駆け抜けるビッグゲインを見せた。川端がすぐさまボールをさばくと、細田が再びフィニッシュ。

前半33分、寺田が味方のミスボールにも動じることなく冷静にさばくと、WTB早乙女遼(人3=東京・國學院久我山)がライン際を鋭くブレイク。相手の裏へボールを転がし、プレッシャーをかけ続ける。東大はたまらず処理にもたつき、早大CDが見事にターンオーバー。そこからフェーズを重ね、最後はFL原田恒耀(スポ3=福岡・修猷館)がインゴールに滑り込み、さらにリードを広げた。スコアは31-0。相手に一切流れを渡すことなく、前半を折り返した。

ラインブレイクするWTB中川

迎えた後半。早大CDは立ち上がりからギアを上げる。後半3分、寺田がテンポをずらすと、FB北田琢麿(スポ4=埼玉・川越東)がギャップを突いて一気に抜け出し、ゴール前まで迫る。そこからはフォワード陣が着実にフェーズを重ね、最後はSO小野晏瑚(スポ1=徳島・城東)が冷静に仕留めてみせた。

続く後半7分にはFL小林商太郎(教1=東京・早大学院)が力強くインゴールに飛び込み、さらに加点。だが後半16分、自陣ゴール前でのスクラムで東大のプレッシャーに苦戦し、インゴールを明け渡した。

しかし、早大CDが格の違いを見せる。後半18分にCTB松本桂太(スポ1=神奈川・桐蔭学園)、24分に北田、28分にHO小笠原正義(商2=東京・早実)がそれぞれ得点を挙げ、リードを広げる。

後半30分、ついにその瞬間がやってきた。仲間たちの歓声に迎えられ、ピッチへと足を踏み入れたのはNo.8松沼寛治(スポ3=東海大大阪仰星)。およそ1年ぶりの復帰戦。「これまでの間に積み上げてきたものを見せようと思い試合に臨んだ」と語る松沼。静かに燃やし続けてきた闘志と努力をプレーで証明してみせる。WTB中川空河(人1=福岡・修猷館)がライン際で力強くゲインすると、タイミングを見計らった松沼がトップスピードで内側に走り込み、佐藤のパスを受ける。一切触れさせない完璧な角度で相手ディフェンスを置き去りにし、そのままゴールラインを叩き割るようにインゴールへ。鋭く、そして力強いキャリーはまさに松沼の真骨頂。復帰後のファーストタッチでの鮮烈なトライが、ピッチに戻った男の存在感を刻みつけた。

勢いそのままに、試合終了間際にも中川がダメ押しの一撃。最後まで攻めの姿勢を貫いた早大CDが、スコアを78-7とし、圧巻の内容でノーサイドの笛を迎えた。

インゴールに走るNo.8松沼

終始、早大らしい展開ラグビーを貫き大量得点を奪取した早大CD。だが、その華やかなスコアの裏には泥臭く体を張り続けた選手たちの献身があった。攻守にわたってハードワークを重ねた菊川や小松は激しいプレーで幾度となく流れを引き寄せた。相手FWに抜け出される場面でも、川端が小柄な体をぶつけ、屈強な相手を仕留めきる。華麗な展開ラグビーの裏にある黙々と支え続ける選手たちの存在。これこそが早大の強さの本質なのかもしれない。また今試合のハイライトは、やはり松沼の復帰だろう。欠場期間が長かった昨季を経て、グラウンドに戻ってきた。「やっとスタートラインに立てた。赤黒にふさわしい選手かと問われれば、まだそうではない」と次を見据える。早大の選手らはそれぞれの想いを胸に、『荒ぶる』を目指して歩み続ける。

記事:大林祐太 写真:村上結太、山口愛結(早稲田スポーツ新聞会)