早大と明大のプライドをかけた戦いは、Aチームだけに留まらない。来る冬に向けて虎視眈々(こしたんたん)と『赤黒』を狙う彼らもまた、関東大学ジュニア選手権での明大Bとの試合には一段と気合が入っているようだった。気迫がぶつかりあう前半、明大Bに先制得点を許してしまったもののFWとBKの連携プレーで同点に持ち込む。さらなる激戦の末に28-12で前半を折り返し、流れをつかんだ早大Bは勢いそのままにディフェンスを強固にしていった。そのまま後半は明大Bの得点を許さず50-12で試合終了のホイッスルが鳴り響く。伝統の早明戦を前にして、敵地・八幡山で早大Bは勝利を挙げた。

試合開始のホイッスルが鳴り、明大Bのキックから始まった今試合。開始直後から明大Bが牙を剥く。前半1分、ノットリリースザボールの反則を許した早大Bは続けてパスミスを犯してしまう。ゴール前まで陣地を広げられた早大Bは、明大Bのモールに堪えきれずに先制トライを許してしまう。悔しい幕開けとなったが、ここから早大Bが巻き返しを図る。
前半12分、自陣10メートルライン付近で作られたマイボールスクラムから、LO米倉翔(スポ3=福岡・修猷館)、PR前田麟太朗(スポ2=神奈川・桐蔭学園) 、No.8松沼寛治(スポ3=東海大大阪仰星) がゲイン。フォワード陣が22メートルラインまでボールを運ぶと、BKへとパスが渡りCTB金子礼人(法4=福岡・西南学院)がステップを踏み、明大Bをかわしながら左へと展開していく。SO田中大斗(教2=東京・早実)がWTB山下恵士朗(スポ2=早稲田佐賀) へとボールを渡し、左から大きく回ってトライライン中央に置いた。コンバージョンゴールも成功し7-7へと追いつくと、続く15分、ハーフウェイライン付近センタースクラムからSH川端隆馬(スポ1=大阪桐蔭) が右側に蹴りだし50:22に成功。意表をつくプレーを見せ、観客を沸かせた。その後、CTB島田隼成(スポ2=福岡・修猷館)、山下、FL久我真之介(文構2=東京・早実) へとつながれたボールを受けとった田中が大外へと蹴り、走りこんだFB植木太一(人2=神奈川・関東学院六浦) がキャッチしトライラインを駆け抜けた。
このまま点差を広げると思われたが、明大Bもジュニア早明戦に懸ける意地を見せつける。早大Bのノックフォワード、そしてスクラムでのアーリープッシュを誘い、流れは明大Bへと切り替わる。27分、明大Bのラインアウトから展開され攻め込まれるものの、島田が粘り強いタックルで明大Bの足を止めた。マイボールモールへと持ち込んだ早大BはHO杉村利朗(社2=東福岡)が抜け出しラックを作り、ボールをBKへと渡してWTB鈴木寛大(スポ3=岡山・倉敷)がトライ。両校のプライドがぶつかり合う中、28-12で試合を折り返した。

互いの伝統がぶつかる前半を終え、後半では早大Bの猛攻撃が始まる。早大Bのキックオフから始まった後半は自陣ラインアウトから杉村、そして鈴木へと渡り、明大Bの隙を狙ったキックで一気に陣地を広げることに成功。さらに山下が得意のランでゲインすると、続く久我、松沼も大きく前進し田中へとパス。またもや前方向にキックし陣地を広げると、植木が後方からボールを追いかけそのままトライ。
流れに乗る早大Bは6分、明大Bのアタックに対して前田がスティールを決め観客をどよめかせた。勢いそのままに追加点を挙げ、スコアは40-12となった。1年生ながら的確にチームを鼓舞する川端の声掛けが響く中、22分には敵陣ラインアウトをLO紀伊龍二(商4=東京・早実)がキャッチし、BKへとボールを回す。川端、田中、鈴木へと流れるようにつながれたパスは走りこんできた植木の手の中に収まり、そのまま勢いよくグラウンドを駆け抜け、さらなる追加得点を挙げる。試合も終盤に差し掛かり、38分には明大Bが追い上げを見せ、ジュニア早明戦に懸ける意地を感じさせたものの、田中がボールを蹴りだしノータイム。後半は無失点に抑え、50-12と快勝でジュニア選手権初戦を終えた。

試合終了後、明大Bの選手の目には涙が浮かんでいた。山下が「ジュニアとはいえ早明戦なので、早稲田としてのプライドを持って絶対に勝つことを意識した」と振り返るように、12月に行われる早明戦さながらの意気込みで挑んだ今試合。強敵・明大Bに快勝した今試合は今後に続くジュニア選手権、そして関東大学対抗戦を勢いづけてくれるだろう。『赤黒』を目指し切磋琢磨を続ける早大Bの今後の躍進に注目していきたい。
記事:伊藤文音 写真:村上結太、大林祐太(早稲田スポーツ新聞会)