シーズンの深まりを告げるような冷たい霧雨が降る上井草グラウンドで行われたのは早大Dと駿河台大の一戦。16名の1年生がメンバー登録され、各学年の選手が混在する早大Dだったが、見事な連携で駿河台大を圧倒して見せた。スクラムでは8人が1つになった圧倒的なパワーを見せつけ、攻撃では的を絞らせない連動した動きでトライを量産。前半だけで9トライを挙げ、59-0と大差で40分を終えると、後半も早大Dのトライショー。駿河台大に得点の予感を感じさせることもなく、107-0と大差で勝利して見せた。

駿河台大のキックオフで始まった試合はいきなり早大Dの好キックで敵陣でのラインアウトを得る。コンタクトが起こるたびに前進した早大Dは思い通りのアタックの形を作り出し、WTB小貫壮太(教3=東京・早大学院)がインゴール右隅に滑り込んで早くも先制点。
続く4分、5分の相手ボールスクラムでペナルティーを立て続けに獲得すると、ゴール前でモールを形成。密集からパスされたボールをCTB藤井雄士(社2=北海道・札幌山の手)が力強いキャリーでゴール目前まで持ち込むと、最後はHO野村怜央(商1=兵庫・報徳学園)がグラウンディングに成功。今試合は雨でボールが落ち着かない試合だったため、スクラムを支配した早大Dが優位に立つのは当然の展開であった。
9分、またも相手ボールスクラムをペナルティーでターンオーバーすると敵陣ラインアウトをすぐにセットし、駿河台大ディフェンスが揃う前に攻撃を始めた早大D。SO寺田結(スポ2=広島・尾道)が守備の乱れを見逃さず、ラインブレイクに成功すると早いテンポで順目に展開。最後はFB細田悠介(スポ2=福岡・修猷館)がインゴールを駆け抜けた。セットプレーで試合の流れを完全につかむと、22分にモールでも得点を挙げる。再開のキックオフをキャッチしたNo.8山下広一朗(創理4=東京・早大学院)がラインブレイクするとCTB鈴木彪馬(スポ2=東京・國學院久我山)がオフロードパスをキャッチ。敵陣深くに持ち込み、最後はインゴール左隅に SH安岡叶夢(社2=大阪桐蔭)が飛び込んだ。この時点でスコアは31-0。
続く26分、小貫が快足を生かしてこの日2本目のトライを挙げ、36分にはCTB齊藤慧士郎(社1=宮城・仙台第三)のナイスタックルから得た反則をFL谷司馬人(教4=東京・早実)が素早く再開し、ゴール中央にボールを置いた。終了間際に鈴木(彪馬)、No.8髙橋松大郎(スポ3=愛媛・松山東)が得点を追加し、59-0で前半を終えた。

メンバーを代えつつ迎えた後半だったが、試合は変わらず早大Dペース。1分に早くもWTB後藤洸輝(スポ1=大分・玖珠美山)が追加点を挙げる。さらに4分にはLO岩尾隼悟(教1=神奈川・湘南)のゲインをきっかけにテンポが生まれると、最後は齊藤がタックラーをはじき飛ばしながらインゴールに飛び込んだ。71-0と次々に点差を広げていく。
後半から出場したLO松澤慶(スポ2=早稲田佐賀)とPR蜂谷謙介(基理4=東京・早大学院)のナイスタックルで試合全体のコンタクトが熱を帯びると、16分にはFB北田琢麿(スポ4=埼玉・川越東)もトライ。24分にはHO丸橋怜央(商3=埼玉・早大本庄)がゲインしたところから良い形でのアタックを展開した早大D。これは惜しくもゴール前でノックフォワードとなったが、相手ボールスクラムを押し込むと判定はキャリーバック。絶好のチャンスを迎え、敵陣でのアタックを継続すると最後は蜂谷がゴール中央にグラウンディング。部員席からは歓声が上がった。
続く30分、駿河台大に自陣まで攻め込まれた早大Dだったがボールを奪い返すとCTB佐藤世那(スポ1=神奈川・桐蔭学園) がロングゲイン。一気に敵陣深くまで侵入するとSO古瀬莊(スポ1=静岡聖光学院)が自ら仕掛け、少ない手数で追加点を挙げた。
33分にはまたも佐藤(世那)がディフェンスのギャップを突いたランでブレイクに成功すると、最後はFB國田泰裕(法1=東京・早大学院)がタックラーを引きずりながらインゴールを叩き割り、スコアは99-0。36分に國田が連続でトライを挙げ、ノータイムに後藤が得点を追加したところでノーサイド。107-0と圧倒的なスコアで駿河台大を打ち破った。

「相手に合わせるのではなく、自分達のやるべき事を」。今試合のコンセプトを振り返ったのはゲームキャプテンの谷。早大Dとしては2週間前に行われた武蔵大との一戦から連続での100点ゲームとなった。どちらの試合でも顕著だったのは、自陣からでもボールを保持して仕掛ける攻撃の積極性。
今日の試合では雨の影響でボールが乱れる場面もあったが、FWの圧倒的なスクラムでミスすらもチャンスにつなげた。見事と言えるような試合展開でも、各選手は細かな課題に目を向ける。目標の『赤黒』のために、そして『荒ぶる』のために、彼らの成長がチームを押し上げていく。
記事:村上結太 写真:清水浬央(早稲田スポーツ新聞会)
