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2024

1年早慶戦 大勝にも募る危機感…


 「新人のときの早慶戦は一生戻ってこないものですから…」(CTB安部智行)。生涯一度きりの特別な戦い。初めて意識する同期の絆。1年生40人が力を合わせ、何より大切な「早慶戦勝利」を掴み取った。
 77-33。力の差をまざまざと見せつける圧勝劇。しかし、そこにはディフェンスを豪快に切り裂くランナーの姿も、ため息の出るような華麗なBK展開も、組織だった波状攻撃も、必殺のタックルも、これぞワセダと呼べるようなものはほとんど存在しなかった。「すべてが甘すぎでした…」(ゲームキャプテン・権丈太郎)
 最後まで誇示することのできなかった、絶対的な強さ。それでも、ボールを持ったら愚直に前へ。徐々に身に付き始めた、覚えたてのボールリサイクルを繰り返し、行き着く先はゴールライン。FB五郎丸歩のしなやかなラン、NO8権丈太郎の激しい突破、プロップ畠山健介のパワフルなタテ(この日はキックチャージに裏へ出たBKへのタックルなどなど、ディフェンスも秀逸)。要所で既に赤黒を身に纏う3人の活躍こそあったものの、華麗さとは無縁の、「ワセダラグビー入門編」とも言うべき展開で、着実にトライの山を積み上げた。
 「このままだったら絶対メイジにやられんぞー!」。相手に流れを渡さない先制トライに、中盤のトライラッシュ(前半16分からは5連続、後半22分からも3連続トライ)。前後半ともツボはしっかりと抑え、点差こそつけたものの、その不甲斐ない内容に、試合後の1年生たちには危機感ありあり。そう、本当に倒すべき相手は、高校ラグビー界のビッグネームをズラリと揃える宿敵・メイジ。「次はもっと走って、組織的なラグビーで勝負したい」(権丈)。1年生40人にとって、最大集中の10日間。これぞワセダ最高の喜び。6月12日、聖地・上井草、『荒ぶるワセダ』の原石が、ガリバー・メイジを粉砕する!

<大勝にも浮かない表情のゲームキャプテン権丈太郎>
「今日はすべてが甘すぎです…。いいところまでいってはミスをして、取るべきところでトライを取れなかったし、逆にディフェンスでも取られてはいけない時間帯(前半終了間際)に取られてしまった。我慢しなければいけないところで我慢することができなかった。後半も絶対にトライを取らせないとみんなで決めたのに3本も取られてしまった。意識、意地、すべてが足りなかった。アップから気合が入っていなかったし、余り声も出てなくて、みんなやる気あるのかなという感じだった。今日来てくれた人はAチームではなくて、自分たちを見に来てくれているのだから、恥ずかしい試合はできない、圧倒して10分で試合を決めようと話したけど、できなかった。試合のデキは不満です。みんなで合わせたのは昨日が初めてで(1年生チームとしての練習は1日だけ)、仕方ない面もあったかもしれないけど、できないなりに、それぞれが自分を出さなければいけなかった。人に任せるのではなくて、自分がやってやるんだという気持ちをもっと出さなければダメだった。ひとりひとりの意識が全然足りない。今日は後半に足が止まってしまったので、もっともっと走って、次の明治戦では組織的なラグビーで勝負したい」

<この日も持ち味を発揮したCTB安部智行>
「伝統の一戦ですし、相手が慶應だということはやっぱり意識しました。もし負けたら新人早慶戦は二度と戻ってこないですから。その意味で結果としてはよかったですけど、チームとしては課題がたくさん残ってしまいました。自分としてはCTBをやり始めてまだ2試合目で、よく分からないことが多いけれど、とにかく自分の持ち味を出せればと思っていた。前に出るといういいところも出せたとは思うけど、ディフェンスを理解していなくて、チームに迷惑をかけてしまった。全体的に組織でディフェンスすることができなかった。ワセダはずっと憧れの存在だった。入ってみると環境もすごくいいし、うまい人もたくさんいる。自分もみんなのいいところを少しでも吸収していきたい。遠回りしたのも(2年の浪人を経て入学)間違いではなかった。このチームはもっともっといけるチーム。ディフェンス、組織を整備して次の明治戦に臨みたい」