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2025
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関東大学対抗戦 日本体育大学戦/観戦記

ついにチーム野中の関東大学対抗戦が幕を開ける。これまでの鍛錬の成果を示す時がやってきた。初戦の舞台は北海道・月寒屋外競技場ラグビー場。新章の幕開けを告げる笛が、北の大地で鳴り響いた。

試合開始直後から早大は持ち前のアタッキングラグビーを展開。自陣深くからも積極的にボールをつなぐ。接点での勝負でも有利に立ち、試合の主導権を握った。早大は開始2分に早くも得点を奪うと、続けざまに得点を重ねる。一時は自陣深くまで攻め込まれ、失点の危機に陥るが、昨季から磨きあげてきたディフェンスで粘り強く守りきり、インゴールを割らせない。38-0と早大ペースで前半を折り返した。

続く後半は雨脚がさらに強まったことでマイボールを継続できず、得点が伸びない時間帯が続く。日体大に自陣深くまで攻め込まれると、早大はペナルティーを繰り返してしまい、とうとう後半最初にゴールを明け渡してしまった。点差を広げたい早大だったが、強風と雨という悪天候によりミスを連発。それでもフィジカルで勝る早大がエリアを支配し、常に敵陣へ。3つのトライを奪い、59-7でノーサイド。対抗戦初戦を白星で飾った。

ライン際を駆けあがるFB植木

SO野中健吾主将(スポ4=東海大大阪仰星)のキックオフで対抗戦の火蓋が切って落とされた。試合開始直後から早大は攻撃のギアをあげる。早くも前半2分、自陣深くからFB植木太一(人2=神奈川・関東学院六浦)がキックカウンターからしかけると、巧みに相手ディフェンスを引き寄せ、ライン際にスペースを作る。WTB田中健想(社2=神奈川・桐蔭学園)が持ち前のボディーコントロールから起点を作ると、そこからオープンサイドに大きく展開。最後は植木が自慢の快速を飛ばし、日体大の防御網を次々と切り裂き、チームとして記念すべき対抗戦ファーストトライをあげた。
続く前半5分には、CTB福島秀法(スポ4=福岡・修猷館)が鋭くスペースを突き、CTB黒川和音(人4=茨城・茗渓学園)にボールをつなぐ。最後にボールを受け取ったNo.8粟飯原謙(スポ4=神奈川・桐蔭学園)がパスダミーから相手ディフェンスを翻弄し、そのまま力強くインゴールに飛び込んだ。野中のコンバージョンも決まり、12-0とする。
前半8分には、ライン際でボールをもらった田中(健想)がディフェンスの背後にボールを転がしてエリアを獲得する。すると本試合、接点での戦いで前に出続け、輝いていた対抗戦初出場のLO小林光晴(文2=福岡)が力強いヒットから起点を作る。BKに展開すると黒川のパスを受け取った福島がゴールラインを駆け抜けた。

前半28分、敵陣深くでラインアウトモールを形成すると、SH糸瀬真周(スポ4=福岡・修猷館)からFWの裏に位置した黒川、そして野中にボールが渡り、数的有利を作り出す。WTB池本晴人(社3=東京・早実)がそのままインゴールに滑り込んだ。
このトライが象徴するように本試合では早大は多層的なアタックを披露。そこで輝いたのが黒川だ。アタックでは何度もボールを触りスペースを作り出すと、的確なスペースにボールを配給し、早大のアタックラインを巧みにコントロールした。

続く前半25分、植木が快速で相手に触れさせない。早大は短長なパスを織り交ぜ日体大ディフェンスを攻略し、敵陣ゴール前まで攻め込む。PR新井瑛大(教3=大阪桐蔭)やLO栗田文介(スポ4=愛知・千種)が起点を作り、素早いテンポで糸瀬がボールを捌くと、池本がグラウンディングした。
本試合、存在感を放ったのが池本。今試合を通してボールタッチ数が非常に多く、早大のアタックに変化を加えるなどWTBとしての枠にとらわれない池本が持ち味を存分に発揮した試合となった。ゴールを野中が冷静に沈め33-0とリードを広げる。

前半31分には相手ボールスクラムを押し込んでターンオーバーに成功。池本から福島にロングパス。田中(健想)が相手を吹き飛ばして内側に切り込み起点を作る。フェーズを重ねて数的有利を作り出すと池本から植木にボールが渡り、トライラインに飛び込んだ。
前半終了間際には日体大に攻め込まれるピンチに陥ったが、昨年から磨き上げてきたディフェンスが功を奏し、インゴールを明け渡さない。最後は糸瀬がボールを蹴り出し、前半は38-0で終了。日体大を大きく引き離してセカンドハーフに臨む。

パスを放るCTB黒川

後半に入り、さらに得点を重ねたい早大だったが、雨脚が強まりアタックのテンポが乱される。開始早々の5分、立て続けに反則を犯してしまい、日体大に自陣深くまで攻め込まれる。FWにフェーズを重ねられ、ついにインゴールをこじ開けられた。

主導権を取り戻したい早大だったが、雨の影響でハンドリングエラーが続き、思うように試合を運べない。それでも後半27分、黒川が巧みにインゴールへボールを転がすと、反応したFB矢崎由高(スポ3=神奈川・桐蔭学園)が押さえ込み、待望の後半初得点を挙げる。
さらに34分には野中のキックをまたも矢崎がインゴールに抑え、終了間際には途中出場のSO田中大斗(教2=東京・早実)のキックに福島が反応して追加点。終盤に畳み掛け、59-7でノーサイド。対抗戦初戦を白星で飾った。

タックラーを外しながらゲインするWTB池本

「試合の入りにこだわり、この試合に向けて今年6月から準備してきた」。
大田尾竜彦監督(平16人卒=佐賀工)が振り返ったように、前半の入りでは抜群の集中力と準備の成果を示した。

一方で、後半の入りや試合中の修正力には課題を残したことも確かだ。それでも、チーム野中の対抗戦は始まったばかり。試合を重ねるごとに強さを増していくのが早大の真骨頂だ。個性豊かな4年生たちを中心に『荒ぶる』を目指す今年の早大も目が離せない。

記事:大林祐太 写真:村上結太、安藤香穂(早稲田スポーツ新聞会)