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2024

対日体大戦・観戦記

対日体大戦・観戦記

強い雨の降りしきる秩父宮ラグビー場にて日体大戦が行われた。この日は練習中に顔面を強打した左京主将が欠場。早大フィフティ―ンはこれまでとは一味違う雰囲気で試合を迎えた。<HP委員疋>


早大は開始から相手に攻め込まれ、5分には先制となるペナルティーゴールを決められる最悪なスタート。降りしきる雨とともにチーム全体が重い空気に包まれた。
しかしこの空気を「ゲームブレーカー」CTB山下大悟(3年)がいとも簡単に吹き飛ばす。7分、ペナルティーからの素早い仕掛けでSH田原耕太郎(4年)からボールを受けると、一気に前進。タックルに来る相手を次々に交わし、ゴール正面に飛びこんだ。この日の山下はアップ時から近寄りがたいオーラを発する程、気合十分。先週の筑波大戦で精彩を欠いたことが発奮材料になったようで、この試合では見違えるような活躍を見せた。
この山下のトライで勢いに乗ると、11分に連続攻撃からWTB加藤かい(2年)が、17分にはロック高森雅和(3年)の強引な突破からプロップ安藤敬介(4年)がトライを挙げ、17-3と一気にリードを広げた。このまま一気に畳み掛けたいところであったが、逆に23分にゴール前での反則からトライを許してしまう。その後2トライを加え、31-10とリードこそ奪ったが、大いに不満の残る内容で前半を終えた。
清宮監督が雨のなかでの戦い方を指示して迎えた後半、状況が一変する。序盤こそもたついたものの、7分にCTB川崎亨(4年)が相手を引きずりながらトライを挙げるとエンジン全開。テンポのよいアタックで相手を振り回し、次々とトライを挙げた。後半の早大はボールを継続する時間が1分を超えることもしばしば。中には2分を超えるもアタックも見られるなど、今シーズンのテーマのひとつ『継続』力を存分に発揮する形となった。最後は連続ノーホイッスルトライで締めくくり、後半だけで8トライ。前半のもたつきが嘘のように相手を圧倒し85-10で勝利を収めた。
これで開幕から5連勝。高校時代に花園を沸かせたスタープレーヤーから2浪を経て入学した雑草組まで、チーム全員の力が見事に噛み合い勝利を重ねてきた。次戦はいよいよ慶大戦。決戦までの3週間は王者・サントリーへの出稽古や若手OBとの練習試合で調整を行う予定。早慶戦3連敗阻止、そして何より11年ぶりの対抗戦制覇へ。11月23日、秩父宮でワセダがその実力を見せつける。

<ワセダの秘密兵器、中村がついに戦列復帰>
後半19分。部員の大きな声援に送り出され、ついに「5年生」フッカー中村喜徳がピッチに立った。中村は言わずと知れた昨シーズンの不動のフッカー。豊富な運動量と力強いスクラムはワセダになくてはならない存在だった。シーズン終了後、社会人でのプレーを希望する中村は自ら留年の道を選び、春先はクラブチームで汗を流す日が続いた。しかし中村自身どこかやり切れない思いを抱えていたという。
そんななか清宮監督からコーチ就任の要請。考え抜いた挙句、中村は選手としての復帰を決意した。これには中村を慕う後輩たちも大歓迎。清宮監督もスクラムを押し込まれた6月10日の釜石シーウェーブ戦後の帰りの車中で「中村を復帰させられないか」と後藤コーチに相談していただけに選手としての復帰を手放しで喜んだ。こうして中村は一躍「救世主」としてチームに迎えられることとなった。しかし夏合宿でのケガで戦線離脱。苦しい日々が続いたが、リハビリを乗り越えてついに戦列に戻ってきた。
「今日は自分の仕事はできなかったけど、試合に出られて本当にうれしかった」と試合後には笑顔を見せた中村。昨シーズンはシンビンを食らってチームも敗れるなど、悔しい思いをしているだけに早慶戦にかける思いは人一倍。ファンの皆さん、「秘密兵器」中村のプレーにご注目ください!必ずややってくれるはずです!

<清宮監督試合後のコメント>
「今日のテーマは『責任とプライド』。日体のような相手に自分たちのやらなくてはならないことができないと次はないよと選手には言った。最初ダメだった。まあ天気悪かったからね。後半は近場を攻めて、イチ、ニー、サーンという雨のなかでの戦い方ができた。うまくはまった。この天候のなか85点取れたのはよかった。慶応戦に向けては今までの形を煮詰めるだけ。対策はこれからゆっくりやるよ(笑)」

<力強い突破でチームを引っ張った山下>
「(今日は試合前から気合入りまくりだったけど?)筑波大戦があまりにも悪かったので、気持ちを高めていった。色々気持ちの持っていき方を試している。今日はうまくいった。(最初のトライについて)あれは耕太郎さんがうまくずらしてくれたからです。今日はいい突破もあったけど、ノックオンも自分で数えただけで7回くらいあったので申し訳ない気持ちでいっぱいです。今日は最初からもっとバ―ッといきたかったけど、最初は相手にもまとまりがあった。いい経験になった。慶応戦に向けてやらなければいけないことはたくさんあるけれど、自分としては仕事を確実にこなせるように練習していきたい。ゴリさん(慶大主将野沢)には高校時代から一度も勝っていないんですよね。だけどあえて意識せずにいきたいです(笑)。向こうは僕のことなんて相手にしてないでしょうけど(笑)。とにかくがんばります」

<自らの突破で幾度となくゲインラインを破ったSO大田尾竜彦(2年)>
「今日は雨が降っていたというのと、相手のディフェンスが変則的だったということもあり、感覚を掴むのに時間がかかった。対応力が試されたと思う。感覚を掴んでからはよかったと思う。自分からも仕掛けられた。ディフェンスはまだいいアタックをされた時にもろいので、そうなっても崩されないように整備しなければ。慶応には昨年負けているので勝ちたい。と言うか勝てる!と思ってやります。積極的に前に出ることが大切だと思うのでそういうプレーがしたいです。これから相手も研究します」

<対抗戦初スタメンの川崎>
「最後のシーズンの初スタメンで、今日アピールしないとダメだと思い気合が入った。プレーは悪くはなかったけれど、もっと精度を上げなくては。(後半最初のトライで)自分もチームも乗っていけたと思う。慶応戦は出られたらがんばりたい。対面の奴には絶対に負けたくない。瓜生(慶大)だろうが神名(明大)だろうがタックルで勝ちたい」