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2024

対慶大戦・観戦記

対慶大戦・観戦記

ついにこの日がやって来た。大一番、慶大戦。対抗戦優勝の為には絶対に落とせない試合。早大は『荒ぶる魂』を前面に押し出し決戦に臨んだ。全勝対決ということもあり、秩父宮ラグビー場は超満員。試合は異様な盛り上がりを見せた。<HP委員疋>


誇り高きエンジと黒のジャージーが躍動した。ペナルティーゴールで先制こそ許したものの早大は開始からエンジン全開。自慢の高速アタッキングラグビーで試合の主導権を握った。
まずは3分。22mライン上ラックからの展開でボールを受けたSO大田尾竜彦(2年)が相手のディフェンスの穴を突き、大きくサイドチェンジ。このパス一発で慶大防御網を突き破るとFB柳澤眞(3年)が右中間にトライを決め、あっさりと逆転に成功する。そして10分には「勝ちたいとかじゃなくて勝たなければいけない試合」と語っていたCTB山下大悟(3年)。ハーフライン付近から見事な個人技で爆走。抜群のスピードと華麗なステップで相手4人を一気に抜き去り、中央にトライを挙げた。このプレーで完全に勢いに乗ると、ここからはWTB仲山聡(3年)のトライショー。現在対抗戦トライ王の決定力をまざまざと見せつけ20分、36分、40分と立て続けにトライを挙げた。この3トライはいずれもラックの連取からの素早い揺さぶりで相手を崩し切ってのもの。今シーズン取り組んできた『継続』、そして『高速』を見事なまでに体現した意図通りの攻めで慶大を圧倒した。
33-9とリードして迎えた後半も前半の勢いそのままにド派手な幕開け。相手キックオフを確保すると、SO大田尾がディフェンスのギャップを突きゴール前から大きくゲイン。ハーフライン付近までボールを運ぶと、相手を引きつけWTB山岡正典(2年)に決定的なラストパス。2年生ふたりで90メートルを切り返すスーパープレーで試合を決定付けた。この日の大田尾の動きは抜群。力強い突破に冷静な判断。持ち味を存分に発揮しチームをリードし続けた。
これで気が緩んだのか自陣ゴール前ラインアウトのミスなどから2トライを献上。その後もほとんどの時間を自陣で過ごしたが、運動量で大きく相手を上回り最後の一線は死守。33分には逆にターンオーバーからCTB山下が、終了間際には再びWTB山岡がそれぞれ60mを走り切り、観衆を大いに沸かせた。
終わってみれば54-21。『アタックし続けて点を取って勝つ』という思惑通りの見事な戦い振りだった。華麗なBK展開に激しいディフェンス。実にワセダらしい勝利に部員、そして満員の観客が大いに酔いしれた。試合後のインタビュー時には大清宮コールも。すべてのワセダラガーが待ちわびた慶大からの大勝利。選手たちも今後に向け大きな手応えを感じたようだ。来週はいよいよ早明戦。勝てば11年ぶりの対抗戦優勝という大一番だ。「浮かれるのは1日だけ」(清宮監督)。『チャレンジャー』ワセダの戦いまだまだ終わらない。

<17人対15人? 両フランカーに清宮監督も脱帽>
自慢のアタック力を見せつけ勝利を収めた早大だが、殊勲者は間違いなくこのふたり。羽生憲久(3年)と川上力也(2年)の両フランカーだ。この日もふたり揃ってビッグヒットを連発。前日の決意表明での「慶応のキーマンを潰す」(川上)との言葉通りのプレーで野沢や山本といった日本代表選手にさえほとんどゲインを切らせなかった。強烈なタックルはもちろん、特筆すべきはリムーブの早さ。その仕事量は群を抜き、「このふたりがいると17人でやっているみたい」と清宮監督も大絶賛するほどだ。まさにワセダの生命線。このふたりなしには今のワセダは成り立たないと言っても過言ではないだろう。チームへの貢献度は間違いなくナンバーワン。刺さって刺さって刺さりまくるこのふたりに今後も注目です!

<予告通り30点以上の差で勝利を収めた清宮監督>
「分析が間違っていなかったってことだよ(笑)。学生にも点差つけて勝てると言ったけれど決してホラじゃない。そういうチームに成長しているという自信があった。ケガで2日前までメンバーに入れるか悩んだけど左京がいい形でチームを引っ張っていってくれた。監督の指示通りにできるというのはすごいこと。今日は学生を誉めてやりたい。春からのプロセスを経て今日の結果が出たのだと思う。今日でひとつの壁を超えた。これからも突き抜けるくらいの階段を上っていく」

<左京主将試合後のコメント>
「今日は大事な試合だった。2年間負けていたので今年はそれを越えようとみんなに言っていた。勝因は自分たちのやろうとしていたことができ、チームがうまく機能したから。勝ててよかったけれど、まだこれで終わりじゃない。今日は部員の応援もすごくて、うれしかった。寄せ書きのように今日はみんながひとつになれた。早くみんなに会いたいですよ」

<好タックルでチームを勝利に導いたフランカー川上>
「今日はいつも通りやろうと思っていた。伏見の練習通りやれば勝てると自信を持っていた。相手が正面に来た時はよく止められたけれど、うまくずらされたりして上には上がいるなと思った。自分はまだまだです。もっとボールに絡めるようになりたいです」

<抜群のアタック能力を見せつけたCTB山下>
「アタックであれだけ抜けたのはたまたまです。最初のポイントのところでFWがいい仕事してくれたからBKでいい形で取れた。今日は力也と羽生のおかげですよ。ゴリさん(慶大主将野沢)に勝ったのは本当にうれしいです。慶応というひとつの壁を超えたので、強いですけど明治も超えたいですね。死に物狂いで来ると思いますし。今日は3年間で一番緊張しましたよ(笑)」

<3トライのWTB仲山>
「最高の気分です。今日は興奮しました。前日まではカチカチでやばかったですけど、試合にはいつになく落ち着いて臨めました。外のスペースが空いているのが見えたのでそこをうまくつくことができた。攻める方向がよかったと思う。このまま勢いに乗りたい」

<ゲームメイクに冴えを見せたSO大田尾>
「前半にいい形で点数が取れたのが爆勝につながったと思う。思っていたよりも相手の外にスペースが空いていた。よく振り回せたと思う。昨年は悔しい思いをしたので今日は勝ててよかった。今後への手応えはバッチシです」

<展開ラグビーの要・SH田原耕太郎(4年)>
「めちゃくちゃうれしい。慶応はかなり意識した。自分たちのラグビーができたのが勝因。気持ちものってたし、いい具合にできた。やっていてどこも空いていた。それを見ていけると思った。自分としてはまだミスもあったので、それは反省材料です。(序盤のペナルティーは)攻めてのものだから別に気にならなかった。ディフェンスも声が出てたし、2人でいけてたので大丈夫だった。4年間でこんなにいい状態はない。明治は今までとは違うチームだと思うのでまた1からやり直し。手応えはかなりある」

<久々の実践も安定したプレーを見せたCTB武川正敏(4年)>
「勝因は練習通りできたこと。慶応に穴があったので勝てると思った。今日は平常心でできた。個人としての反省点はタックルができなかったこと。これからはケガをせずにいきたい。今日で自信がついた」


*近日中に早慶戦前日の東伏見の様子、試合当日の選手たちの1日を追った『早慶戦の1日』をアップする予定です。どうぞご期待ください。
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