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2024
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明大戦・観戦記

明大戦・観戦記

ノーサイドの笛とともに歓喜の瞬間が訪れた。早明戦史上に残る大熱戦を制しての対抗戦制覇。14年ぶりという全勝優勝に選手たちは素直に喜びを爆発させた。
劇的な幕切れだった。1点のビハインドで迎えた後半ロスタイム、敵陣22mライン上で得たペナルティーのチャンスに主将・左京は迷わずペナルティーゴールを選択。レフリーにゴールを狙うことを告げた左京はキッカー武川の手を握り締めた。外せば敗色濃厚のこの場面。ワセダの運命はすべて武川に託された。「左京と握手した時に入ると思った」(武川)。「4年間を思いつつ、絶対に入ると思った」(左京)。メイジファンから沸き起こる大外せコールのなか、「無心で」蹴り放たれたボールはグラウンドの選手、見守る部員、そしてすべてのワセダラグビー関係者の思いを乗せポストの間を通り抜けた。36-34。残り1プレーという土壇場で試合をひっくり返し、執念で勝利を掴み取った。
「これが早明戦」(清宮監督)。ワセダは開始から相手の前に出る圧力に防戦一方。FWの激しい縦突進、強烈なタックル、密集でのしつこい絡みの前に思うようなプレーができずに、14-22と今シーズン初めてリードされて前半を折り返した。「これはまずい」国立がそんな雰囲気に包まれた。そして後半も先にトライを許してしまい14-29。もはやこれまでかと思われた。
しかしここで諦めるワセダではなかった。この試合のテーマは『責任と信頼』。試合前日清宮監督は「みんな満身創痍だけど、明日は自分の責任を果たそう。そうすることで他の14人、スタンドで応援している部員たちの信頼を得ることができる」と全員の前で語りかけた。見守る部員、そしてチームを支えてくれたスタッフのためにも諦めることなどできるはずもなかった。15点のビハインドから怒涛の反撃。今シーズンのワセダの形『高速アタッキングラグビー』でゲームを支配し、最後の最後で勝利を手繰り寄せた。
「あの点差から逆転するのは気持ちが強くないとできない。選手たちを誇りに思う」と清宮監督もこの逆転劇を手放しで喜んだ。それぞれが『責任』をまっとうした結果の後半の反則数0。そして誰もが入ると『信頼』したロスタイムの武川のゴールキック。ゲーム内容は決して満足できるのもではなかったが、テーマ『責任と信頼』を実践した「大きな意味のある勝利」(清宮監督)だった。
そして『信頼』の大切さを語りかけた清宮監督への選手からの『信頼』も相当のもの。今年は部員誰もが「ボスにどこまでもついて行く」と口を揃えるほどだ。そんな絶対的な『信頼』を集める清宮監督は夏合宿で配られる部集『鉄笛』の終わりにこんな言葉を残している。

学生よ、思いっきり暴れてくれ、楽しんでくれ、笑ってくれ、泣いてくれ。 すべてを受け止めて、お前たちを優勝させてやる。

これに応え、これまで感情を素直に表わしてきた選手たち。この言葉にうそはない。カリスマ監督に導かれ、ワセダは頂点への階段を駆け上がる。

<喜びは分かち合う仲間がいてこそ大きくなる。祝勝会も大盛り上がり!>
試合後には全部員、そしてOBも交えた祝勝会が行われ、試合後の国立に負けないほどの盛り上がりを見せた。その壇上で左京主将が「最近喜びということについて考えることがあります。それは分かち合える仲間がいないと大きなものにはならないということです。ともに頑張った仲間、支えてくれた人たちへの感謝の気持ちでいっぱいです」と感動の挨拶。100人の部員、スタッフ、OB。まさにクラブ全体で勝ち取った優勝だということを実感させられる瞬間だった。

<左京主将試合後のコメント>
「ちょっと盛り上げすぎちゃいましたかね(笑)。早明戦のメイジは全然違うと言われている意味が分かった。相手が激しくてペースが掴めなかった。接点が強く、プレッシャーもきつかった。もう最後は攻めるしかなかった。後半はリズム出たと思う。いつもトライを1本取れば落ち着くし、相手の体力が消耗しているのも分かっていた。最後は入ると思いましたよ。最高の気分です。これでいい形で選手権に臨める。今日は内容はよくなかったので、しっかり反省して次から100%の力出せるようにしたい」

<ロスタイムに見事な逆転ゴールを決めたCTB武川正敏(4年)>
「最後はゴールしか見えてなかった。メイジはひとりひとりが強くて前に出られず受けに回ってしまった。ペナルティーから速攻で攻めたのがよかった。今日の攻めはそれに尽きる。焦りとかはなかったけど最後の方はさすがにやばいなと思った。うれしいですよとても」

<スクラムで奮闘。プロップ安藤敬介(4年)>
「正直ほっとした。最後は無心だった。武川が入れてくれると思ってた。メイジはラインアウトが強かったし、セットが強かった。こんなメイジ見たことねーよって感じだった。ターンオーバーが多かったのは反省。チームが若いということもあって浮き足だってしまった。相手がバテたというのもあるけど、集中力が継続を呼んだと思う。大舞台でハードなゲームができたことは大きい。これで練習も緩みが出ないと思う。とにかくうれしい」

<再三に渡ってゲインラインを突破したNO・8佐藤喬輔(4年)>
「ずっとリードされていたけれど諦めていなかった。球だしが遅れてしまったけれど、後半には修正できた。FWで来ると分かっていたけど予想以上に強かった。最高の気分です。花園で全国制覇したときよりもうれしい」

<強さでメイジに対抗したロック高森雅和(3年)>
「前半は球際のうまさにやられた。松原(明大主将)さんはすごいですね。僕もあんな風になりたいです。ラインアウトは投げる球もそうだけど、サインの組み立てが悪かった。メイジは2人目のタックルが早かった。今日はみんな自分で行ってやろうと空回りしてしまった。FWがとにかく強かった。メイジとはもうやりたくないです。今日は両フランカーが万全でなかった。改めてあのふたりのすごさが証明されたと思う」

<1年生ながらスクラムで互角に渡り合ったプロップ伊藤雄大>
「メイジは個々が強くてモールがうまかった。スクラムは負けたつもりは全然ない。心残りなのはギャルソン押せなかったことですかね(笑)。松原さんはスゲ―と思いました。相手の早明戦に懸ける思いをすごく感じた。今日はフィールドプレーも肉離れしない程度に頑張りました。うれしいです」

<堅実に相手のキックに対応したFB柳澤眞(3年)>
「最高でした。秩父宮に初めて立った時も感動したけど、国立は歓声の上がり方がすごくて好きです。今日はキックで狙われてましたね。太陽がまぶしかったけど、とにかく夢中だった。マイボールで出せたのはよかったと思う。今日は後ろから見ていて受けているな、静かだなと思っていた。とにかく声がでていなかった。負けるとは思わなかったけど。突進してくる相手の強さを感じた。これからも僕は自分のプレーを一生懸命やるだけ。後は監督が決めること。この勝ち方にワセダの力を感じた」