早稲田大学ラグビー蹴球部WASEDA UNIVERSITY RUGBY FOOTBALL CLUB OFFICIAL WEBSITE

Beat Up

2024

対法大戦観戦記

 「『ULTIMATE CRUSH』いくぞ!」。主将・大悟が飛ばした激しい檄。溢れる闘志。みなぎる勝利への執着心。赤黒軍団の出陣は、他を寄せ付けないオーラに包まれた。
 この日のゲームキーワードは、そのものズバリ『ULTIMATE CRUSH』。「すべての面で相手を圧倒しろ」(清宮監督)。ここから先はまさに『決戦』。自分たちの力を出し切るべく、全員の心に刻まれるチームスローガン『ULTIMATE CRUSH』がテーマとして掲げられた。
 十分過ぎる気合が空回りしたのか、前半は自慢のアタックが完全に不発。近場での激しい攻防が続く「消耗戦」となった。スコアも動かず10-7。凍てつく寒さの国立に緊張が走った。
 しかし、「自信はあった」と誰もが口にした後半に入ると、新春『ULTIMATE CRUSH』ショーが華麗に幕開け。「苦しんだ前半は布石」とばかりに、怒涛の攻めを開始した。ペナルティーからの素早い仕掛け、BKの揺さぶり、FWのタテ。2分、5分、10分、15分と立て続けにインゴールへ飛び込む様はまさに爽快、圧巻の一言。15人が織り成す絶妙のハーモニーは観衆の心を引きつけた。
 ディフェンスでも「ブレイクダウン」の攻防を激しく制し、ターンオーバーを連発。春先からの鍛錬の成果を如何なく発揮し、テーマどおり強敵・法大を攻守に圧倒した。
 「おー、次だ次!」。『決戦』の緊張感から解き放たれた主将・大悟はロッカールームに戻ると、仲間に向かって雄叫びを上げた。「このためにやってきた。次勝たないと意味がない」。目標はあくまでも王者・関東学院大を倒しての覇権奪回、最高の舞台での『ULTIMATE CRUSH』。「手応えは昨年よりあるよ」(清宮監督)。迫り来るXデーは2003年1月11日。12年間封印されてきた勝利の部歌・『荒ぶる』がついに国立にこだまする。<HP委員 疋田拡>

<『荒ぶる』復活へ 清宮監督試合後のコメント>
「今日は接点のところで勝とうと選手には言っていた。その部分がよくできて今日のスコアになった。前半はボールが動かない試合だったけど、後半の相手を見るとそれでバテたのかなと思った。ボールが動いてスコアも動いた感じ。ハーフタイムの指示はあまり言いたくない(笑)。ボールを動かせと言うような前半にできていなかったところを指示した。ひとつひとつ基本に帰ろうと。ディフェンスはここ何試合かで形ができてきた。見ていてヤバイと思うポイントが減ってきた。今日は1回あったところをうまく相手に突かれた。アタックも点数が取れたし、よかったと思う。今日はテーマどおり『ULTIMATE CRUSH』できたんじゃないかな。昨年の決勝で自分たちの力を出し切れなかったことを踏まえて、今シーズンは『ULTIMATE CRUSH』というスローガンを掲げた。敵は自分たちの心の中にいるんだよということを意識させたかった。この言葉を言い続けてきたのも決勝のため。勝たないと意味がないし、勝つための練習をしてきた。決勝でも『ULTIMATE CRUSH』したい。盛り上がる試合ができると思う。5万本位赤黒の旗が揺れるなかで、『荒ぶる』を歌いたい」

<試合後喜びを噛み締めた山下大悟>
「今日は接点で勝つということを強く意識した。激しく来る法政に対して、うちがもっと激しくいこうと。前半はミスも多く、風下でキックで敵陣に帰れなくて辛かったけど、ディフェンスで我慢できたのが大きい。(前半苦しんだけど)ラグビーは80分でするスポーツですから。前半はどこも元気だし強い。トータルで見たら相手を疲れさせることができたと思う。今日もここで潰れてもいいという気持ちで試合に臨んだ。今日厳しいゲームに勝てたことを糧にして、次は法政の分までがんばりたい。決勝が僕たちの目指してきたところ。とにかく次勝たないと意味がない。絶対に勝ちます」

<今シーズン初めてプレースキッカーを努めたSH田原耕太郎>
「勝ててうれしい。前半はテンポがでなかったけど、できていないところ、自分たちの直さなければならないところが分かっていたので、焦りとかは全然なかった。リードされなければいいなぐらいに考えていた。後半にいける自信があったし、接点のところも単発だったからそんなに苦しくはなかった。後半はうまくボールを散らすことができた。向こうの足が止まっていたし。風はキック蹴るときに気になったくらい。こんな大舞台で蹴るのは初めてだから多少は緊張した。清宮さんからは端っこは期待してないからと言われてたけど(笑)。15メートルラインの内側は成功させるという公約は守れたし、あれだけできれば十分。決勝で勝つためにここまでやってきた。昨年の借りを倍ぐらいにして返したい。昨年とは違うという自信もある。ベストゲームをして『荒ぶる』を歌いたい」

<マンオブザマッチに選出されたロック高森雅和>
「やっとひと山終わったなという感じ。相手のコンタクトが強くて苦しかった。今日はキャリアの部分がよかったと思う。この部分は相手に勝ってやろうという意識で違ってくる部分。大事なのはボールへの執着心。今日はそこでうちが勝っていたと思う。(サイドアタックに関しては)僕にはそれしかできないですから(笑)。後半はよくできたと思う。トライは結果。しっかりスイープしているかとか絡んでいるかとか、それまでの過程が大事。僕自身の今日のデキはそこそこ満足ですけど、ラグビーはチームプレーなんで、そんな気持ちは自分のなかにしまっておきます。FWはちょっとラック周辺のペナルティーが多い。見極めができないとこの先厳しい。BKのディフェンスはとてもいい。あれだけ前で止めてくれるとFWとしては楽にできる。決勝はとにかく対面に勝つだけ。やってきたことをやるだけ。人事を尽くして天命を待つです」

<巧みなゲームコントロールを見せたSO大田尾竜彦>
「法政に勝ててうれしい。今日は苦しかった。風が強くて、あまりこういうなかでやった経験がなかったからきつかった。アタックがうまくいかなかったときにキックで凌ぐということができないのがつらかった。時間をかけて攻めていくことになると思っていたから、その辺はイメージどおり。後半に突き放す自信があったし、とにかく前半は我慢だと思っていたから、そこを防げたのは大きかった。相手のディフェンスは圧力があったけど、後半はうまく攻めることができたと思う。もうちょっと丁寧にやってもよかったかもしれないけど。うちは前半と同じで、法政が後半バテた感じ。関東攻略法はまだ考えてないし、どうするか分からない。決勝を目標にしてきたので、絶対に勝ちます」

<強風に悪戦苦闘したFB内藤慎平>
「今日はFBとして僕のキック処理は最低でした。風が強かったというのは言い訳にならない。自分のせいでFWを下げてしまって、法政を前に出させてしまった。このままだと次は厳しい。自分に期待されているディフェンスがいても前に出るという部分に関してはよくできていたと思う。今日の試合は早慶、早明以上に大事だと思ってやってきた。前半は焦りというよりはミスが多くてやばいなという感じだった。後半はいいリズムで攻められたと思う。いつもはあまり意識しないけど、今日はおっ、久々に兄と一緒にピッチに立ってるなって少し意識しました。親も喜んでくれたかなと。(法政OBの)父には最近おとなしくないかって言われてました。ワセダを応援しているらしいです(笑)。決勝はとにかくやってきたことを出し切って、自分らしく思いきりやるだけです」

<初赤黒、初国立でスクラムを押し込んだプロップ市村茂展>
「途中出場してからの最初の5分は物凄く長く感じて、少しテンパってました(笑)。大江さんがスクラム押せと声を掛けてくれたり、阿部さんが自分のできることをしようと言ってくれて、落ち着くことができた。初めての赤黒、国立は気分がよかったです。リザーブ入りを告げられたときはえっ!という感じでかなりビックリしました。(スタンドからの声援が多かったのは)この頭とこの体型ですから(笑)。頭は気合を入れるために昨日やりました。スクラムを押せてよかったです」