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2024

対九州代表戦・観戦記

 合言葉は『赤黒の誇りとワセダらしさ』。数多の名選手を輩出してきた、ゆかりある九州・福岡の地で、今シーズンのワセダラグビーを見せるべく高いモチベーションで試合に臨んだ(観衆は7千人、朝日招待では近年稀に見る大入りとのこと)。
 「体を動かしてきた現役が引っ張れ」と言う清宮監督の指示とは裏腹に、開始から正真正銘、最後の赤黒となる4年生が奮起。3分にペナルティーからの素早い仕掛けでロック岡本雅史がインゴールを強引にこじ開けると、14分にはWTB仲山聡が自陣から絶妙な位置に蹴り込んだボールをCTB山下大悟が抑えてトライ。早い時間帯での得点は、練習不足の不安を吹き飛ばした。
 これで勢いに乗ったワセダは、25分にSH田原耕太郎が、30分にはゴール前ラインアウトからロック高森雅和、フランカー羽生憲久、フッカー阿部一樹とつなぎ華麗にトライ。「あんなサインプレーはシーズン中にもやったことない。あれほどきれいに決まるとは思わなかった」(阿部)と本人たちが驚くプレーまで飛び出し、完全に主導権を握った。そしてこの日のハイライトは38分に山下が見せた驚愕の60メートル独走トライ。相手防御網に生じるギャップを巧みに突く山下の嗅覚、抜群のスピード。次代を担う新主将・SO大田尾竜彦が放つ速く、美しいピンポイントパス。これまで数多くのトライを生み出してきたホットラインに、目の肥えた福岡の観衆も感嘆の声を挙げた。
 疲れが見え始めた後半こそ立て続けに3トライを許したが、最後までワセダらしさは存分に発揮。選手権制覇最大の原動力・『激しい』ブレイクダウン、『高速』展開、『継続』、『ULTIMATE』…。赤黒の誇り、そして九州のファンのために、2002年のワセダラグビーを目一杯表現し続けた。最後は攻める姿勢を常に持ち続けた『山下組』らしく4連続トライでフィニッシュ。「耕太郎さんからパスをもらうのも最後、大悟さんに放るのも最後。今日はそういう気持ちでやった」(大田尾)。これが本当に最後の戦い。人生最大の狂喜を手にした『山下組』は、第2のホーム・福岡の地で、爽やかに赤黒に別れを告げた。<HP委員 疋田拡>

<田原、仲山が地元で有終の美!>
「最後の赤黒を地元・福岡で着ることができて本当によかった」。東福岡高出身の田原、東筑高出身の仲山が地元・福岡での赤黒に感慨深げな表情を浮かべた。「小学生の時に朝日招待で清宮さんのいるワセダを見て、いいなと思った」と言う田原は、東福岡高の後輩からの熱い声援を受け、この日も軽快なプレーを披露。「耕太郎のすごいところは難しい球を簡単に裁くところ。耕太郎がやると普通に見えるけど、他の選手がやるとファインプレーになる。そういう部分を九州の高校生に見てもらえてよかった」と清宮監督も絶賛のシーズン中と変わらぬ動きで、トライラッシュを演出した。一方、「高校生の時、ワセダのメンバーに福岡や九州出身者が多かったので親近感を持った」という仲山も、華麗なステップでライン際を疾走。後半30分にはトライも挙げ、田原に負けず故郷に錦を飾った。「九州出身者が多くいる時のワセダは強い。これからもこういう状態が続けばいいね」と、久々となる福岡での試合に清宮監督も満足気な様子。クールな天才SH田原に、浪人生活を経験しながら努力と情熱で赤黒を勝ち取った仲山。福岡が生んだ名選手の系譜に、2人の名もきっと刻まれる。

<久々の朝日招待に満足気な表情を浮かべた清宮監督>
「自分がキャプテンで13年前に来て以来、朝日招待に来ることができなかった。今日はたくさんの方に来て頂いて、優勝した赤黒の姿を見せることができ、ワセダにとってはとても有意義な試合だった」

<佐賀工出身、新主将・大田尾竜彦>
「今日は日本一になって九州に帰ってこられたところに意味がある。2年前に佐賀選抜で九州電力さんと試合をさせてもらったけれど、その時とは意味合いが全然違う。今日は自信を持って試合ができた。田舎のチーム出身でもがんばれば、やれるんだというところを見せることができたと思う。主要なポジションで4年生が抜けてしまうけれど、安心して卒業してもらいたい。この2年間、清宮さんが作り上げてきたワセダの幹は完成してきている。来シーズンも1敗もしないで優勝したい」