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2024

対関東学院大B(Jr選手権) 未来の赤黒戦士、意地の勝利!


 「関東はやっぱり特別な相手。この勢いがそのままAにつながるし、絶対に負けられない…」(プロップ畠山健介)。2戦目にして訪れた余りに早い頂上決戦。気合い、メンタルタフネス、そしてプライド。セットともにプランも崩壊。ズタボロにされながらも、未来の赤黒戦士が、その勝負強さで3連覇への階段を、着実に駆け上がった。
 滑り出しは敵地・釜利谷とは思えないほどのロケットスタート。9分、SH矢富勇毅がペナルティーからの速攻で号砲を打ち鳴らすと、そこからの展開でCTB豊山寛が、「初めてと言っていいくらいうまくいった」という芸術的なラストパス。やんやの喝采のなか、最後はWTB菅野朋幸が颯爽とインゴールを走り抜け、どうしても欲しかった先制トライをいとも簡単に叩き出した。この一連の流れ、こと豊山が見せた臨機のチャンスフェーズアタックは、まさに春からのイメージどおり。13分にも再び矢富の突破(通称:矢富ゾーン)から、フランカー東条雄介がディフェンスをこじ開け、12-0と願ってもない展開に持ち込んだ。
 密かに漂う快勝ムード…。しかし、マイボールラインアウトの連続喪失がケチの付け始め。清宮ワセダの格言・ラグビー=スクラム。もうひとつの生命線・スクラムでも相手の意図どおりクルクル回され、完全にそのリズムを失った。「相手に2メートル級のロックがいて、相当苦しかった…」(ロック寺廻健太)。「前半は相手にコントロールされてしまった。とにかく反省だらけです…」(畠山)。
 27分に力業でトライを奪われ、5点差に詰め寄られると、ここからは互いのプライドがぶつかり合う、取って取られての大激戦。BKのワセダ対モールの関東。久々に味わうタフネスマッチに、『諸岡ワセダ』の真価が問われた。
 どんなに食い止めようとも、どんなに押し返そうとも、ペナルティーからトライを奪われる(後半25分には屈辱の認定トライ)苦しい展開。「1番単純だけど、1番強い。どうしようもない感じだった…」(寺廻)。『BK一閃』対『ゴリゴリモール』による究極のいたちごっこ。壮絶な意地の張り合い。埒のあかないこの状況にケリをつけたのが、前半はいいように回されたスクラムだった。清宮ワセダの格言・ラグビー=スクラム―
 きっかけはハーフタイムの10分間。相手の術中にハマる1年生・かわいい後輩に対し、清宮ワセダの屋台骨、不動の『3番』・伊藤雄大が打開策をとっさに伝授。首脳陣からの指示もこれに加わり、ターンオーバーの歯止めに成功した。「雄大さんのアドバイスは本当にありがたかったです…」(畠山)。チームの総力を結集し、マイボールさえ安定供給できれば、あとは仕留めへの道筋をなぞるのみ。ロスタイムには逆にターンオーバー、そして押し込んだスクラムからサイドを崩し、頂上決戦を物にした。
 もっとも大切だったJr選手権、そしてDチームこそ勝利(47-14)を収めたものの、3タテは逃し(Cチームは17-31で敗戦)、指揮官も悔やみきれない様子。「関東とやると自分たちの足りないところがよく分かる」(清宮監督)。『諸岡組』が目指すは、すべてのカテゴリーでの完全勝利ただひとつ。2004年、チャレンジャー・ワセダの精進はまだまだ終わらない…<早大ラグビー蹴球部広報 疋田拡>

<激しいプレーでチームを引っ張ったCTB豊山寛>
「今日はチームとしての課題もたくさんあったけれど、とにかく自分のやらなくてはいけないことがどれだけできるかを考えていた。この間の日体大戦があまりよくなかったので、自分のプレーをいかにだせるか。チームとしてはそれぞれがしっかりと責任を果たせるか。僕自身はそんなに追い詰められている感じはなかったけれど、やっぱりタックルで受けてしまうと、相手のFWは大きくて、強いからつらい展開になってしまう。近場のディフェンスがよくなかった。清宮さんにも、やられるなら近場の1:1とモールだけだと言われていたのに、そこで受けてしまった。自分としてはこれまでうまくいっていなかったことが、初めてと言っていいくらいうまくいったのが収穫。ただ、BK全体で見ると少ないチャンスフェーズを生かしきれてないし、まだミスが多い。もっとFWを助けてあげなくてはいけなかった。先週は赤黒で試合したのに、今日はJr選手権で本当に悔しかった。まだまだ自分のプレーには満足できないけれど、とにかくもうやるしかない。たとえ優勝したとしても最後に試合に出ていなければ、絶対に悔いが残ると思うので、何としても最後の舞台立てるようにがんばりたい。激しいプレーで勝負します」


<初シニアで4人抜きのトライを決めたWTB若野祥大>
「試合前はもうバリバリ緊張しました。試合が始まってしまえば大丈夫なんですけど、試直前はやばいくらいに。今日はほんとあのトライ(後半16分、スクラムから乱れたボールをもらい、キレキレのワンステップでそこから怒涛の4人抜き)だけです。ブレイクダウン、WTBとしてのキック処理などは全然ダメでした。自分はパスは放れるので、状況に応じた臨機のいいパスでチャンスが作れればと思っていたけれど、そこもできたりできなかったりで、よくなかった。今日の試合は苦しかったけれど、初めてでペーペーの自分はとにかく周りの人を信じていた。そんななかで取れたあのトライは自信になった。シニアはやっぱり雰囲気がいいし、いいボールが周ってくる。外で待っているだけでいいボールが来るから、あとはそこで仕事をすればいいと言われていたけれど、その通りだった。自分は硬いプレーができていないので、これからは慎平さんのブレイクダウン、プレーの激しさを見習ってやっていきたい。昨年は手術して、みんなをただスゴイなって見ているだけだったけれど、今年はラグビーができるようになって、自分も負けたくないと思えるようになってきた。この今の気持ちを大事にして、これから上のチームに勝負していきたい」


<その責任感から反省しきりのプロップ畠山健介>
「自分のミスから相手に取られてしまって、今日負けたら自分のせいだった。スクラムは後半からフッカーが替わって、どうなるかと思ったけど、最後の方は理想の形で押すことができた。ただそれ以外、特に前半は相手にコントロールされたというか、回されてしまった。モールは執拗でしんどかったけれど、あれを止めないと勝つことはできない。最後まで止めることができなかったことは反省しなくてはいけない。とにかく今日は反省だらけ。自分としても清宮さんに言われているボールキャリアの部分がきちんとできずに、チャンスを潰してしまった。もちろんどのチームにも負けられないけれど、やっぱり関東は特別な相手。この勢いがそのままAにもつながりますから。今日は雄大さんのアドバイスが本当にありがたかったです」

<同じく初シニア 懸命に仕事をこなしたロック寺廻健太>
「ワセダのジャージーで試合をするのも、試合前ミーティングも、ロッカーで北風歌うのもすべてが初めてで、しかも相手が関東学院。今日は嬉しいことばかりだった。試合では、どう見ても向こうのFWの方が大きかったけれど、ワセダの方が走れるし、今日はやるべきことをやれればと思っていた。ただラインアウトは相手に2メートル級のロックがいて、そこは苦しかった。前半はまったく取れなかったけれど、後半はサインを変えて、途中からは対応できたと思う。モールはもうどうしようもないくらいの感じだった。1番単純な攻めだけど、1番強い。今日はそこで止められなくてBKに迷惑をかけてしまった。自分のプレーもまだまだ全然。彰友さんに負担をかけっぱなしだった。Aで出ている同期の3人とは全然次元が違うし、今はチームの戦術どうこうより、個人の力をつけることが先。大学というより、ワセダのシニアのコンタクトレベルに達していない。今はシニアに上げてもらって、内橋さん、桑江さんという大学NO1のロックを相手に練習できているので、マネばかりしても自分とは違うけれど、いいところを盗みながら、自分のプレーを高めていきたい。まずはシニアに定着して、レベルの高い練習についていきたいです」