早稲田大学ラグビー蹴球部WASEDA UNIVERSITY RUGBY FOOTBALL CLUB OFFICIAL WEBSITE

WASEDA FIRST

2023

対大東大 ついに『約束の地』・国立へ


 「負けたら終わりやぞ。相手も来るに決まってるやろ。前に出ろ」。ハーフタイムのロッカールームで鳴り響いた大黒柱・佐々木隆道の激しい檄―。主将・諸岡省吾顔負け、若き『カリスマ』の奮闘が、ワセダを『約束の地』へと導いた。
 言うが如く行い、行うが如く言え。後半キックオフで見せた弾丸タックル、綻びを瞬時に埋める卓越した危機管理能力、密集での激しさ、そして崩れた局面での気の利くプレー…。まさに獅子奮迅。先頭に立ち、体を張り続けるその姿は、神々しささえ感じさせた。「本当によくやっている。今日はまさに隆道様様」(今泉コーチ)。勝利を宿命づけられた男、赤黒の中枢に佐々木隆道あり―。
 そんなNO8のグレートパフォーマンス、再三のコラプシングも物ともしない超絶モール、『野獣』・今村雄太の終盤にきての爆発(ワンステップと瞬時の加速で相手を翻弄しまくり。ワセダの外国人?)と、勝負の肝はしっかりと押さえながら、どこかしっくりこないその要因は、ついぞ改善されることのなかったBK陣の稚拙な判断能力。「空いているところは途中で分かったけれど、そこを攻めきることができなかった。対応能力、コミュニケーション能力がまだまだ足りないってことです…」(副将・後藤翔太)、「意思の統一が図れてなくて、個人個人がバラバラだった…」(WTB内藤慎平)。対ワセダのお約束になりつつある?果敢な飛び出し、そして時に挑まれたノーFBディフェンスに、なかなか妥当な選択を行えず、自らの首を絞め続けた。求められるは、臨機に対応する変幻自在のアタックに、命取り・ミスの撲滅。「今日は顔を上げたらミスしているという感じだった。もっとひとつひとつのプレーを大切にしなくてはいけないなって…」(主将・諸岡省吾)。
 この日も磐石、鉄板の強さを見せた『拘り』の8人に対し、まだまだまだまだ課題の残る『黄金』のBK陣。しかし、「ここまできたらメンバーは変えない。できないならできないなりに、色々と考える」(清宮監督)と言いきる様に、首脳陣にとっては今こそ腕の見せどころ。どこよりも頭を使って勝ってきた誇り高きワセダの伝統で、『荒ぶる』だけは譲らない。
 ともあれ過去散々苦しめられてきたモスグリーンの壁を突き破り、これでようやく『約束の地』・国立へ。「同志社はずっとやりたかった相手」(清宮監督)、「僕たちの背負っているものの大きさをしっかり感じてもらえる試合をします」(NO8佐々木隆道)。リメンバー・2004・01・10。『荒ぶる』まであと2つ。『諸岡組』はあの日の試合を忘れない―。<早大ラグビー蹴球部広報 疋田拡>

<今こそ腕の見せどころ BK陣の再生を誓う清宮監督>
「今日はベスト8のぶつかり合いということで、お客さんには見ごたえのある試合だったと思う。ワセダのデキ、大東のデキ、それぞれいい所、悪い所があったけれど、どちらかと言うとワセダの悪いところの方が多かった。大東はリーグ戦ではミスが多くて、やりたいことができなかったチームだけど、今日はいい所で4番、8番の外国人選手にボールを集めて、かなりやりたいことができた試合だと思う。大東は強かった。ワセダはそういった中でも、序盤から計算できるプレーで得点を取れたので、とりあえずは合格点という感じ。もう少し4番、8番にきついバインドでハードタックルをしてほしかったけれど、前半の4つのトライでゲームは決していたから、まぁよかったのかなと。BKがうまくアタックできなかった一番の原因はSO。ゲームコントロールができていなかった。ラインの深さや、相手のディフェンスの立ち方。そこはもちろん言ってきたけれど、あと2つとなった今の段階で結果が出ないのであれば、まぁそうなのかなと。できないのであれば、できないなりに考えなくてはいけない。相手も色々と動いてきて、変わってくるから、いいように出るときもあるけど、今日は全部ウラ目ウラ目に出た。例えばキックを右に蹴るか、左に蹴るかもセンスが出る。そういったところ。ここまで来たらメンバーは変えないけれど、色々と考える。同志社はずっとやりたかった相手。昨年はあんなゲームをして不完全燃焼だったから、今年は完全燃焼でいいゲームがしたい」


<ミスの多さを憂う主将・諸岡省吾>
「今日はFWの取るべきところで点数を重ねることができていたから、自信を持ってプレーできた。ミスで思い通りにいかず、そこは修正しなくてはいけないけれど、FWのプライドは示せたと思う。ラインアウトは観客の声でサインが聞こえず、ゴール前で2本ミスしてしまったのが痛かった。相手ボールに関しては、予想と違うムーブをしてきたので、競りにいくよりその後の対応をしっかりした方がいいと判断して、あの形を取った。外国人選手は確かに強かったけれど、もっと止められたかなと。タックルしたときのバインドが全体的に甘かった。一度タックルしたプレーヤーはバインドを離してはいけない。今日は自分たちがミスをして、そこから攻められてしまっていたので、そこの意識を変えていかないとマズイと感じた。ミスした後しっかりとプレーできて、止めることができた点はよかったけれど、後半モールで簡単に取られすぎたし、まだまだ甘い。やっぱりミスが多い。練習から言ってきているのに、それでもまだ起きてしまうのは単なるスキル不足なのかなと。今日は顔を上げたらミスしているような状態だったし、もっともっとひとつひとつのプレーを大切にしないといけない。次の同大戦は昨年ああいう試合をしてしまったので、今年はいい試合、圧倒的な力を見せられるような試合がしたい」


<昨年からの成長を実感する副将・桑江崇行>
「後藤(コーチ)さんとも話したけれど、今日は外国人が来たときに芯を外してしまっていた。松本がしっかりと入って倒していたのを見れば分かるように、芯を外しては止められない。点差はなかなか離れなかったけれど、別に嫌な感じはしなかったし、落ち着いてできていた。ゴール前のラインアウトから簡単にいかれてしまったもの以外は、みんな集中できていた。いいモールが組めたのは相手がルーズなところがあったということもある。そこでいけるのは当たり前。外国人選手は確かにスゴイけれど、もっと止められた。ターンオーバーもできたし、自分としてはまぁまぁやれたのかなと。昨年は1試合1試合対策を立てる余裕がなくて、自分たちのアタックに拘ることしかできなかったけれど、今年はしっかりと相手の対策を立てて試合に臨めている。今日も対応力がついたのかなという試合だった。でも逆にアタックで強みだったはずのところが、そうでなくなってきているような感じもするので、その辺は修正しなくてはいけない。また国立で暴れたいです」


<同大へのリベンジを心に秘める副将・後藤翔太>
「ケガは全然大丈夫。問題ないです。今日は相手のディフェンスの空いているところをうまく攻めることができなかった。ディフェンスが予想していたものと少し違うなか、途中で空いているところは分かったけれど、そこを攻めきれなかった。対応能力、コミュニケーション能力がまだまだ足りないということです。ラインの深さもしっかりと意識できていたし、やろうとしたことを出そうとしたけれど、相手もあることで、なかなかうまくいかなかった。切るとこは切って、行くとこは行く。そういう判断をもっと正確にしなくてはと感じるところがあった。そういう判断ミスはこれから致命的になってくるから、考えなくてはいけない。大東は接点も強かったし、前に出てきているのを感じた。そこで前に出てくる10番のところをうまく攻めなくてはいけなかったなと。同大は昨年ああいうゲームをしてまったから、僕の中ではリベンジマッチ(自身も試合後猛省…)。まずは決勝うんぬんではなく、そこ。必ずリベンジします。日々是勉強です」


<念願の赤黒復帰にも反省しきりのWTB内藤慎平>
「今日は全然ダメ、まったくよくなかったです…。状態が戻っていないというより、やれと言われていたことがほとんどできなかった。体も全然当てられていなかったし、今日はとにかく反省だけです。あそこまでヒドイとトライとか(オフロードパスで倒れた後、すぐさま起き上がり、再びボールに絡んだトライは秀逸!意識高いです!)もう関係ない。個人としてもダメだし、チームとしてもこのままだといけないなという感じ。意思の統一が図れていなかった。この時間帯相手がこうしてくるから、ワセダはこうしようとか、ここ攻めようとか、そういうことがまったくできていなくて、個人個人がバラバラだった。最後も大東が切れていただけで、満足はできないです。復帰したばかりで、感覚がどうとか、そういうのもあったけれど、今日はもうゲーム自体が悪かった。4年としてもっともっと体張らなくてはダメですね…。期待されていたことができなくて、今日は申し訳ないです…」


<獅子奮迅の働きでチームを救った大黒柱・佐々木隆道>
「今日はがんばったかもしれないですけど、抜かれたのも僕だったし、全然納得はできないです。外国人にいかれたのは僕のせいですから…。外国人を含めたふたりを同時に見なくてはいけない状況になってしまって、そこで10のうちの2でも日本人に割かなくてはいけなくなると、もう外国人選手に半分ズラされて止められない。そこで後手になってしまって、スーパードライブされてしまった。悔いだらけです、今日は。フィリピーネを仰向けに倒したろと思っていたけど、まだまだ力不足。でかい口叩けないです、ほんと…。大東の向かってくる気持ちを感じた。チームも全然ダメ。意図したアタックをまったく感じることができなかったし、何がしたいのっていうプレーが要所要所に出てしまって、自分たちはまだまだだなぁと。今日も反省点がたくさん出たけれど、前の試合の反省は修正できていたから、次もまたそうしていきたい。前の試合よりは確実によくなってますから。だんだん完成に近づいているなという感じ。次の同大戦は仲がいい奴がたくさんいるとか、そういうのは抜きにして、僕たちが背負っているものの大きさをしっかりと感じてもらえる試合をします。あんな情けない試合はもう二度としたくないですから。自分のところに来たらみんな仰向けに倒すし、ボールを持ったら必ずゲインする、そういう気持ちで」


<外国人に負けないスゴさを見せたCTB今村雄太>
「今日はミスが続いてなかなかペースが掴めなかった。コミュニケーションが少なかったし、ああいう展開で焦りが出たところもある。ディフェンスではふたりの外国人選手に押され気味だったし、やってて苦しい試合だった。外国人選手は思っていたより強かった。ずっと試合の流れを変える、引き寄せるトライをしようと思ってやっていたから、ああいう形でトライを取れてよかった。ただ、これからはもっと早い時間帯にああいうトライをしないといけないなと。前半のパスは外からいいコールがあったからうまく放ることができた。あれは周りのおかげです。ディフェンスは一発で倒せなくて繋がれてしまったので、自分としてもチームとしても修正しなくてはいけない。(外国人を吹き飛ばしてインゴールへ)あのトライはよかったです。タックルに来たときはかなりビビりましたけど(笑)」