早稲田大学ラグビー蹴球部WASEDA UNIVERSITY RUGBY FOOTBALL CLUB OFFICIAL WEBSITE

Beat Up

2024
  • SpoLive

対トヨタ自動車 『諸岡組最強伝説』ついに完結


 あと10分―。瞬く間に過ぎ去るほんの僅かな時間。史上最強・荒ぶる魂・『諸岡組』が、日本ラグビー界の頂きに手を掛けた。
 自らのアイデンティティを見せるこの上ない機会。REAL日本一を目指す『赤黒』はどこまでも本気だった。3週間を超える万全の準備期間、相手のすべてを見尽くした綿密な分析、そして『清宮ワセダ』史上初、毎日繰り返されたミーティング(トヨタのセットプレーはすべて見ました)。テスト期間の終了が近づくにつれ活路は広がり、勝利への自信に漲った。導き出された結論は、『80分の集中』。早いセット、低く激しいタックル、ゾンビの如きリムーブ。「試合の中での波を失くせ。点数は絶対取れる。とにかく80分。そうすればお前たちの勝ちだ…」(清宮監督)。
 絶対に勝てる。世界のトヨタを向こうに回し、開始から超高性能『赤黒』エンジンがフル回転。「これまでにないくらいものすごく集中していて、みんないいディフェンスができていた」(WTB内藤慎平)。常に命懸けで戦う古島直、松本允、佐々木隆道の低く、激しく、熱いタックル(清宮監督の教え、「どんなにすごい奴でも膝から下は人類皆同じ」を忠実に実践)に、両WTBが再三見せた覚悟の「ツメ」。まさに『狂気』。「コンタクト、接点の激しさは予想の範囲内だったし、圧力をそれほど感じなかった」(主将・諸岡省吾)と言う程の超絶パフォーマンスで、秩父宮を『赤黒』ワールドに染め上げた。FB五郎丸のスーパーキック(インターナショナルです…)&2本のPG、そしてとっておきの飛び道具・SO安藤栄次によるDG…。すべては計画通り…。「お前たちの勝ちだ」―。
 一向に衰えない闘志と鋭さ。刻一刻と過ぎゆく時間。「後半20分まではしっかりゲームコントロールして、そこからが勝負」(清宮監督)。力任せのタテも、密集サイドのゴリゴリも、威信をかけたモールもすべて凌いだ。今季の原点・2004年2月29日に見せた綻び(ワールドに対し後半立て続けに失点)をほぼ完璧に封印し、ワセダの夢・打倒トップリーグを目前にまで手繰り寄せた。「後半になっても、ずっと勝てると思っていた」(副将・桑江崇行)…。
 しかし、すべてが思惑どおり進んだなか、唯一の誤算はインゴールを越えられなかったこと。「リードはしていても常に我慢の展開だった。やっぱりラグビーは点数を取らないと勝てない…」(主将・諸岡省吾)。最大のチャンスは前半33分に訪れた22mライン中央でのスクラム。CTBのタテ→コンマ何秒を制するブレイクダウン→逆目への『高速』展開―。「本当にちょっとのところだった…」(SO安藤栄次)。あのパスが通っていれば、もう少しラインコントロールができていれば…。トライを確信していたスペシャルサインプレーでの詰めの甘さが、最後の10分に圧し掛かった。
 70/80―。「苦しかった…」(主将・諸岡省吾)。後半30分、ついに大学ラグビーの、ワセダの限界点が訪れ痛恨の失点。仕上げはワールドクラスの本物。この1年の『拘り』、ゴール前ペナルティーからのスクラム選択からも90メートル切り返され、『諸岡組』は力なく崩れ落ちた。
 「もう終わってしまったんだということが実感できない…」。試合後、涙に暮れる『赤黒』の選手たち。悲しみに包まれたロッカールームで、清宮監督は語り掛けた。「この試合でただひとつ言えることは、今日お前たちは初めて本当の負けを経験したということだ。この経験はこの先に絶対生きる」。真剣に、本気で、妥協することなく挑んだからこそ味わえた、『本当の負け』―。積み重ねられていく歴史。あと10分。ワセダはまたひとつ大きな財産を手に入れた。
 2004年3月10日から始まったこの上なく濃密で、この上なく熱くて、夢見心地の1年間。赤黒の奇跡、『諸岡組最強伝説』ついに完結―。「おい、4年以外の奴は泣くな 俺たちにはまだ先があんだろ」(佐々木隆道)…。


<あと一歩での終戦に悔しさを滲ませる清宮監督>
「相手との差は確かにあったけれど、今日はその差を気持ちで埋めてくれた。今日は本当の負けを経験できたし、これからのラグビー人生にとっていい経験ができたと思うと学生には話した。内容に関しては、タラレバのプレーもあったし、前半のスピードのある間に勝負を懸けたかったけれど、風上だったということもあって、キックが多くなってしまった。本当は3回ほど勝負してキックするというプランを立てていた。ゲームデザインとしては、計算できるプレーが続く限りキックを使わないようにして、敵陣でもチャレンジしてからキックしようと。確かにキックが多かったからゲームが動かなかったという面もあるけれど、残念だった。そこはちょっとプランと違った。点差は終盤までこれくらいでもつれると確信していたし、実際そういった展開になった。学生のレベルもここまで上がってきたかという感じ。学生の力はここ数年で間違いなく上がっている。ただ、目標設定のところで大胆に日本選手権をターゲットにしていくようなチームづくりを、人を含めた部分でしていかないと、本当の勝利は難しいかなと思う。例えばトップリーグのチームには外国人選手がいるけれど、学生にはいない。本当にここで勝つことを考えるのならば、国際留学制度(※国際教養学部にはワセダで学びたいという留学生が多数在籍)の活用も視野に入れる必要もあるのかなと。ただそれには賛否両論あるだろうし、もちろん自分の中にも葛藤がある。今年の4年生が残るのであれば、打倒社会人のまた次のステップと言えるけれど、まずは現在の2、3年をこのレベルまで上げなくてはいけないので、それはまた先の話。これまではやみくもにトップリーグのチームに学生を行かせて強くなってきたけれど、今年は敢えて行かせなかった。ある程度のレベルにまで引き上げてもらうには社会人に行くことも必要だけど、手の届きそうな相手と練習するのが果たして…。このことについてはまたこれからも悩んでいくんでしょうね…。今年のチームは史上最強のFWだった。BKに関して言えば、いくらスピードランナーがいても秩父宮のこんな芝では活躍するのは難しい。そこは協会にも考えてもらいたい。今日はワセダのこれからに繋がる試合だったと思う」


<2004年シーズンワセダの顔 最強チームを作り上げた主将・諸岡省吾>
「もうワセダとして試合ができないんだということを、まだ実感できない。『諸岡組』の集大成を出し切ったことは出し切ったけれど、負けてしまったので、悔いがないということはない。ワセダとして及ばなかったのはトライを取れなかったこと。やっぱりあの3点だけではリズムに乗れないし、トライがないといけるって感じにならない。3点を取っている間は、まだもつれるなというくらいで、流れを引き寄せるには至らなかった。欲を言えば前半にトライが欲しかった。正直セットはもう少し互角にいけると思っていた。それだけに前半のスクラムトライは悔しい。ただ、後半は相手の組み方への対応が分かったし、止める自信はあった。最後のペナルティーでスクラムを選択したのは、蹴りだしてラインアウトにするには時間がなかったし、スクラムで人を集めて攻めた方がトライを取れると思ったから。コンタクト、接点の激しさは予想の範囲内で圧力をそれほど感じなかったし、スクラムももっと社会人と組む機会があれば対等にできる。後輩たちには、この壁は来年以降絶対に打ち破れる壁だと話した。それを突き破れるのはワセダだけだということを証明してくれと。来年はこの一個上を目指してやって欲しい。自分たちのやるべきことはすべてやったけれどやっぱり力不足だった。来年以降どういうチームづくりをしていくかがカギになると思う。やっぱり負けてしまったことは悔しいです」


<この1年片時も休まずチームを引っ張った副将・桑江崇行>
「今日の試合には物凄く悔いが残る。勝てる試合だったのに、勝つことができなかった。いつも自分たちのやっていることができずに自滅してしまった。しょうもないノックオン、パスミス、リフトミス…、悪いところが全部出た。この1年を懸けていた試合で、それがでてしまったことが悔しい。ラインアウトはトヨタが最後はやってこなかったように、ディフェンスは完璧に近い形でできたけれど、マイボールのミスが痛かった。ボールへの反応もこれまでより明らかに遅かった。いつものワセダだったらチャンスになっていたところで、チャンスにできなかった。試合中も絶対に勝てると思っていた。難波さんにトライされたときは何とも思わなかったけれど、セコベにゴール前からいかれてガックリきた。個人的には不完全燃焼です。これからラグビーを続けるかは、んー、どうでしょうね…。振り返ると波乱万丈の4年間でした。すごく濃密で、いいものをたくさん教わった4年間だった。後輩たちには、すごくきつくなったときでもあれだけ体を張れる、古島、内橋、慎平といった一般組が見せたワセダの大切なものを継承して、さらに強いワセダを創造して欲しいです」


<また新たなスタート この1年見違える成長を見せた副将・後藤翔太>
「もうワセダのジャージーが着れないんだと思うと言葉が出ないです…。でもまた明日からいきますよ。明日からまたラグビーガンガンやって、4月から爆発できるように。感覚が戻ったのが試合の直前で、これならいけるかなと思っていたけれど、やっぱりちょっと足りなかった。はっきり言って悔いが残るし、もうちょっと早く感覚が戻っていれば、もっといけたような気がする。負けてしまったということは、チームとしてすべての面で足りなかったということ。ディフェンスは通用していたから、何とかトライを取るところまでいきたかったけど、やっぱり最後のところが足りなかった。ゲインはするけれど取りきれない。昨年関東に負けた時のような感じ。悔しいですね…。昨年までの3年間は苦しかったし、自分でもよく練習したと思う。それで4年目に『荒ぶる』を歌うことができて本当に幸せだった。でも今日の試合で、またこれからのラグビー人生に新たなモチベーションを持つことができた。自分がステップアップするに当たって人生最高の4年間を過ごせたと思う。後輩たちにはとにかく自分が納得するまでやって欲しい。来年以降(神戸製鋼でプレー)、ワセダとだけは当たりたくないです。もしワセダに負けるようなことがあったら、その時点でラグビー辞めます(笑)。また明日からガンガンラグビーします。やる気モリモリ漲ってます」


<すべてを出し切り晴れやかな表情を見せたロック内橋徹>
「負けたことへの悔しさもあるけれど、今はみんなとラグビーできなくなることが寂しい。途中まではワセダのゲームプランどおり進んだけど、トライを取りきれなかったことが敗因。んー、あと一歩だったんですけど、できなかったです…。自分としてはもう少しアタックに絡みたかったけれど、それ以外のところでやることが多くてなかなかできなかった。まぁ、僕らしいと言えば僕らしいんですが(笑)。試合中もやられている感じは全然なかったし、スクラムが少し劣勢だったくらいで、他は全然通用していた。セットを安定させきれなかったことに、FWとして悔いが残る。今日で燃え尽きました。これからのことはじっくり考えます。時間は一杯ありますから。ただひとつ、間違いなく言えることは後輩たちのことは最後まで見守るということです(笑)。自分で言うのも変だけど、今季のロック陣は周りから見ても部内でも不動だった。来年はみんなにチャンスがあるのだから、もっともっと競争して、ワセダを引っ張るようないいプレーヤーになって欲しい。終わってしまって寂しいです…」


<激動の4年間を終え脱力感一杯のSO安藤栄次>
「どういう気持ちかと言うより、何か今はポカーンとしている感じです。とりあえずもうラグビーがしたい。今すぐにでもしたいです(笑)。今日はセットが思っていたよりも安定せずに、スクラムからのアタックなど準備してきたものがうまくいかなかった。サイン選択も含め、ゲームコントロールが難しかった。欲を言えばラインアウトからもう少し攻めたかった。トップリーグと対戦してみて強いとかそういうのは特に感じなかった。本当にちょっとのところ。2人目の寄りとか、局面で一歩遅れるとかそういったところの差。それができていればトライも取れたと思う。自分のドロップゴールの精度、低かったですね…。4年間、もう本当にいい経験ができた。それしか言い様がない。後輩たちは能力の高い選手がたくさんいるし、ただただがんばってもらいたい。ワセダには社会人を倒す可能性がある」


<スーパータックルを連発 4年間のすべてをぶつけたWTB内藤慎平>
「こんなに幸せな4年間はなかった。1年生で入ってきたときには、まさかこんな4年間を過ごせるなんて思ってもいなかったし、赤黒を着てこんなに試合に出られるなんて、周りも僕自身も思っていなかったと思う。清宮さんを初め、スタッフ、同期、後輩、本当に素晴らしい方々に恵まれた。今日は難波さんのトライに至るプレーで、キャプテンに対してタックルを外したこと、カウンターで球が出せなかったことに悔いが残る。ただ、タックルは出し切ることができた。負けたことで悔いは残るけれど、出し切った。今日はみんなものすごく集中していて、3列だけでなく、全員が体を張れていたと思う。それでも勝てなかったのはトライを取れなかったから。どこかでトライが取れていれば、流れも来て勝てただろうなぁと。そこで取れなかったのがワセダとトヨタの差。あそこまでいったら、BKでトライを取りたかったですね…。下級生はすごい高い能力を持っているから、あとはそれをいかに高められるかだと思う。今持っている能力を高めていって、もっともっと強いワセダを作っていってもらいたい。来年からトヨタに行くのちょっと気まずいですね(笑)。就職先のチームと試合ができて、今日こんなに楽しめたのは僕くらいだと思います。今日ももちろん幸せでしたし、ワセダでの4年間にも本当に感謝の気持ちで一杯です」

<これぞ赤黒のアイデンティティ 佐々木隆道は来年も必ず…>