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2024
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1年早明 The『早明戦』 俺たちにはワセダの血が流れてる


 「普通に考えたらメイジの方が強いかもしれない。けど、自分たちにはワセダの血が流れてるんです…」(FB田邊秀樹)。耐えるFW,駆けるBK。この上ない興奮…。これぞThe『早明戦』。つい一ヶ月前に入部したばかりのひよっ子たちが、鉄の結束と魂で、ガリバー明治を粉砕した。
 この日最大の焦点は、いかにしてFWが耐え凌ぐか、いかにしてBKに生きたボールを供給するか。体の小さな者が、大きな者を倒すための掟。それはまさに往年の『早明戦』そのものだった。「BKでは勝てる自信があったので、自分たちFWはスイープに命を懸けるって、みんなでそう決めてました」(フランカー渡辺千明)…。
 案の定と言うべきか、はたまた想定の範囲内か。試合は開始早々の2分、FWがゴール前マイボールスクラムをターンオーバーされいきなりの失点(一連の流れでは安部智行の弟に崩され…)。「明治のFWの子、みんなデカイなぁ」(byAチームの面々)。まるで大人と子供。あまりの明治らしさに、一瞬緊迫した空気に包まれた。
 しかし…、「不安はまったくなかった。点数を取られようが、何しようが、最後まで死ぬ気で戦うってみんなで話していましたから」(ゲームキャプテン・桜井朋広)と言うように、そこからは心は熱く、頭はクールに、しっかりと「ワセダとして」やるべきことを遂行。8人の固いパック、ファーストコンタクトの鋭さで『重戦車』の機能を徐々に低下させ、20分も経った頃には足を止めることに成功した。
 FWがいかにして耐え凌ぐか…。この最大ミッションさえクリアすれば、残りの時間はプチ『スターバックス』祭りin八幡山(いずれは国立で…)。SO村田賢史、CTB井上隼一、常藤健の3人が絶妙な仕掛けでゲインを切りまくれば、WTB大島佐利、FB田邊秀樹のビッグネームも存分にその存在感を発揮。「SOの村田からここが合っていないからこういう場合はここにくれって、具体的に指示がきた」(桜井)、「外から見ているとどこが空いているのかが見えるので、それを伝えるようにした」(田邊)と「クレバー」さも見せ(素晴らしいです!)、相手を完全に手玉に取った。次々と飛び出すキレキレアタックには、本家『スターバックス』もビックリ。「こいつらのセンス、ハンパない…」(byAチームの面々)。
 0-14とリードされた前半38分、40分といずれもBKが少ない手数で(それぞれ村田、井上がトライ。特に後者のそれは秀逸!)FWの奮闘に応えると、後半2分には、あろうことか?今度はFWが怒涛のドライビングモールで逆転トライ。さらに直後の5分には、あの『古庄史和の秘蔵っ子』大島佐利がライン際で3人を交わし(首藤甲子郎ばりの?ハンドオフ。古庄先生、教え子がやりました!)、一気に勝負を決定づけた。これぞ15人がひとつになった『Theワセダラグビー』。この一言に80分のすべてが凝縮。「FWがものすごくがんばってくれた。BKで取れたのもFWが前でがんばってくれたおかげです」(桜井)…。
 自分たちにはワセダの血が流れてる―。その言葉どおり、一本筋の通った、魂の入った戦いぶりで、一生に一度の価値ある勝利。「今日の試合は一生残るもの。そんな試合で勝てて本当によかったです。今日はひとつになれました。この仲間で4年間やっていきます。自分はワセダに勝ちにきた」(田邊)…。1年生のみなさん、リアル『早明戦』本当によく戦いました。これから何度でも栄光を。君たちこそが、本当のワセダです―


<激熱タックル連発!そのキャプテンシーで勝利を手繰り寄せた桜井朋広>
「今日は明治のFWは強いけれど、ワセダらしく展開して勝つのではなく、自分たちの持ち味を出して勝とうとみんなで話していた。相手に合わせたラグビーをするのがワセダだとは思うけど、とにかく今の自分たちのラグビーをしようと。昨日FWの奴らも、俺たちが絶対にやってやるからって言ってきたので、じゃあやってこいって。いきなりトライを取られて、入りのところで圧倒されて、沈むところもあったけど、そこからはしっかりとプライドを持って戦えた。不安はまったくなかったです。点数を取られようが、何しようが、最後まで死ぬ気で戦うってみんなで話していましたから。最後まで自分たちでやるんだって。BKは練習していたとおりいいアタックができました。相手のディフェンスが合っていないことを途中からみんなで口にしていましたし、SOの村田からここが合っていないからこういう場合はここにくれって、具体的に指示がきたので、自分はそこに放るだけでした。FWもすごくがんばってくれたと思います。モールのトライもすごくよかったですし、BKで取れたのもFWが前でがんばってくれたおかげです。タックルですか?、自分はFWは口で言うだけでは動かないものだと思っていて、まずは自分がいく、自分がやってFWにもやらせることを考えています。それが僕のスタイルです(体が大きかったらFLをやりたかったとか…。この日はすごすぎでした!行き着く先は神様・辻高志???)。個人的にはダメなところもたくさんありましたけど、チームとしてはいい試合でした。みんな納得していると思います。ただ、ここで満足していてはダメ。反省しなくてはいけないところもたくさんあるので、次はそこをしっかりとやりたいです。僕は中学のときも高校のときも日本一になれなかったので、大学ではここにいるみんなで切磋琢磨して日本一になります」


<高いスキルとキレキレのラン! 圧倒的な存在感を見せたFB田邊秀樹>
「明治には知っている奴もいたし、すごい奴もたくさんいて、ワセダより明らかに大きい。普通に考えたら、明治の方が強いかなとも思うこともあったけれど、自分たちにはワセダの血が流れているし、今日は絶対に負けられないと思ってました。勝因はFWが前で止めてくれたこと。最初にやられてときは、正直ズルズルいくかと不安だったけれど、それからは相手にやりたいことをさせていなかったし、逆にモールで2本取ってくれて、してやったりです。明治が一番やりたかったことを逆にやってくれた。BKも明治には個々ではいい選手がいるけれど、ワセダとは組織が違うし、やっているラグビーの次元が違うという感じです。空いているところが見えていた? そうですね。外から見ているとどこが空いているのかが見えるので、それを伝えるように。今日もそれでうまく攻められたと思います。個人としては調子もよかったんですけど、FBとしてやってはいけないミスをしてしまって、しっかり止めてくれているFWに迷惑を掛けてしまいました。本当に申し訳なかったです…。今日の試合は一生残るもの。そんな試合で勝てて本当によかったです。今日はひとつになれました。この仲間で4年間やっていきます。僕はワセダに勝ちにきた。セブンズのメンバーに選んでもらって、ワセダは負けてはいけないということを学ばせてもらいました。もう負けるのは最後だと思ったし、4年間絶対に負けません。ワセダの先輩たちは意識も高いし、オンとオフの切り替えがものすごくうまいです。そういう学ぶべきところはしっかりと学んで、自分もチームを引っ張れるようになりたいと思ってます。同じポジションに五郎丸さんというすごい人がいて、今はまだ差がありますけど、どんどん勝負して、少しでも近づいて、最後には追い越したいです。今日でワセダの一員として認められたかなと思います」


<才能爆発! 溢れるセンスでビッグゲインを連発したCTB井上隼一>
「今日はほんとまあまあという感じです。アタックはよかったかもしれないですけど、自分ディフェンスしてませんから…。昨日からみんなで絶対勝とうって話してました。明治には5年間負けていないし、先輩たちからも絶対に負けるなと言われていたので。最初に取られたときはちょっと焦りましたけど、FWがよくやってくれたと思います。BKに関しては思い切ってやるだけでした。みんな空いているところがしっかり見えていましたし、いいアタックができました。清宮さんの言葉ですか?、自分が1番だなんてことは絶対ないです。前田さんジャパンじゃないですか(笑)。4年間絶対に負けたくないです。試合に出られるのならば、SOでもCTBでもどちらでもやります!」


<まさに無印良品! ワセダフランカーらしさを存分に発揮した渡辺千明>
「今日は勝ったことが1番です。昨日豊田さん、瀧澤さんにみんな集められて、絶対に負けるなって言われましたから(2年が前日に闘魂を注入するのが恒例?です)。ふたりの言葉熱かったです。この1ヶ月やってきて、お前たちにはワセダの魂が入ってる、絶対に勝てるからって。FWはしんどかったですけど、横谷を中心にスクラム、モールを抑えてくれて、ほんと頼もしかったです(そう言っている自分も相当に…)。BKでは勝てる自信があったので、自分たちFWはスイープに命を懸けるってみんなで決めてました。低くタックルに入るのがワセダのフランカーのやるべきこと。まあまあできたと思います。トライを取られた後は、桜井を中心に死ぬ気でやるんだろって話をしました。そこからはワセダにしかないダブルタックルがしっかりできました。FWはずっときついと言われていたので、モールでどうしても取りたかった。あの2つのトライは今後の自信になります(しかも2つ目は22メートルラインから!)。今日はみんなでひとつになっていい試合ができました。ワセダにしかない結束。今日でひとつになる意識が芽生えたと思います。4年間、赤黒を着ることに命を懸けます」

<『古庄史和の秘蔵っ子』大島佐利、3人を交わしライン際を爆走!>


<ワセダらしさの欠片もなし… Bチーム、喜びを吹き飛ばす最悪の敗戦>

 素晴らしき1年生たちの後を受けたワセダBは、その上昇気流に乗るどころか、いいところなく完敗。今のワセダが負けるときの典型的なパターンで、1年早明の喜びもすべて吹き飛んだ。
 その最大の敗因(明治B相手の敗戦はいつ以来だったかも思い出せないくらいです…)は、「80分間ズルズルと相手のスローペースに合わせてしまったこと」(後藤彰友)。まったく走れないFWに、ミスを連発するBK…。FWはフワーッと近場をいかれ続けたばかりか、ラインアウトでも安定感ゼロ(勝ち越しトライも自陣ゴール前での余りに痛いスローミスから…)、BKもゲームコントロールで過ちを犯し続け、まったくと言っていいほど自分たちの色を出すことができなかった。
 ワセダは層が薄いのか、それとも明治が眠りから覚めたのか(今日見た感じでは…)。5月28日『春早明in秋田』は、これで大切な大切なゲームに―