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2024

対慶大 こんなにも弱いワセダ…


 「ワセダはこんなにも弱いチームなんだなって…」。試合後、真っ直ぐと前を見ながら発した主将・東条雄介の一言がこの試合のすべて。―「今の」ワセダは強くもなく、横綱相撲で相手を捻じ伏せる王者でもない― ノータックル、ノーセービング、ノーコミュニケーションのないないづくし。2006年6月11日、新潟スタジアム、『春早慶』。永遠に記録に残るであろうそれは、とても赤黒ワセダとは思えない無様で悲しいものだった。
 とにかくこの日は、その甘すぎる、緩すぎるディフェンスが最大の敗因。「前にも出られないし、ヒットもできないし、タックル自体もできていないし、今日はすべてできなかった」(中竹監督)と言う有様で、ボールを動かしてくる相手に対し(これまででは考えられなかったくらい?格段に動かすようになっています…)おもしろいようにゲインを切られ続けた。1対1でことごとく外されたタックル能力の低さはもちろん、慶應が誇るスーパータレント・山田章仁に同じ形(強い相手に対し上にタックルにいってハンドオフで落とされる)でいかれ続けた対応力の低さも極めて深刻。東条雄介ひとりいなくなると、ここまで穴ができるのか…。キャプテンが超人的動きで埋めていた綻びの大きさ、いかに周りがそれに頼っていたかが、この日このメンバーで白日の下に晒された。「今日出た悪いところは、チーム全体としての課題。Aがこれだけできないということは、チームとしての力が足りないということ。今日は1対1に負けていたところで、チームとしてすべてが負けているようなイメージを持ってしまっていた」(東条)。「1対1で負けているのであれば、2対1にするとか、そういった修正ができなかったのは僕の責任です。甘すぎました…」(ゲームキャプテン・谷口拓郎)。
 屈辱の14-40。あの関東学院以外で、ワセダが大学生相手に負けたのは『清宮ワセダ』1年目、2001年5月27日の慶大戦(36-52。ちなみにこの日はあの佐々木隆道が早大受験を決意した日です…)以来実に5年ぶり。慶應にとっては最高の、そして笑いの止まらないであろうこの日の試合で分かったこと…

・ディフェンスが前に出られず、1対1のタックルで相手を止められない。にも関わらず、1対1で抜かれたら即トライ…

・ゲームのテンポが上げられない

・流れを変えられる、タフでゲームを読める選手が一握り

・生命線・ブレイクダウンが激しくない。この日は慶應の方が上

・セットプレーが安定しきらない。モールではトライが取れない(この日は崩されまくり…)

・ワセダは王者ではない

 と、これが『東条組』の現在の姿。たしかに「今」もメチャクチャ大切、でももっと大切なのは「これから」のワセダ。この日噴出した(これまでは顕在化することのなかった)課題とどれだけ本気で向かい合えるか。「もう一回原点に。ファーストゲームではできていたのに、今できていないことがたくさんある。相手どうこうではなく、自分たちのやるべきことを見失ってはいけないです…」(主将・東条雄介)。今こそワセダがワセダたる所以を見せる時。逆境から幾度となく這い上がってきたのが赤黒の誇りと伝統。『東条組』の正念場…。ワセダを復活させてくれるのは、対関東4タテのみ―



<今一度タックルを ディフェンスからの再生を誓う中竹監督>
「今日のゲームは完敗。やっぱりディフェンスで受けたところからこういう結果になった。前にも出られないし、ヒットもできないし、タックル自体もできていないし、今日はすべてできなかった。ディフェンスはAもBも、チーム全体の課題。それといい形だった入りのところで取れなかったことで、流れを掴むことができなかった。あれだけ攻めていたのに戻されて、逆に取られて。向こうが一番意識している強いところにバカ正直に向かっていってしまった。ミスは出るにしても、自分たちから仕掛ける、まとまってという意識がなかった。最後までテンポの上がらない、ワセダが負ける試合…。春の残りはもう一度ディフェンスを1からやり直す。最初にできていたことも、やらないうちにできなくなってきているから。ディフェンスを立て直すことが1番。今日の試合で感じたことは、まだまだチーム全体としての層が薄いということ。層の厚いチームにすると言って、春取り組んできているけど、まだまだそれができていない。これは監督である自分の責任。ワセダが強い時というのは、アタックの時間がすごく長いけれど、今日はディフェンスの時間がかなり長かった。今年目指しているところでもある、ディフェンスの強いチームというのは、すぐに仕留めて切り返す。でも弱いと今日のようにずっとディフェンスを強いられてしまう。とにかくまずはディフェンスから」


<負傷により欠場 自分たちの弱さを改めて認識し原点回帰を誓う東条雄介>
「完敗ですね…。ゲームの中で流れを変えるプレーをできないというのもあるし、ずっとワセダの生命線と言い続けてきたブレイクダウンで圧倒できず球出しが遅れ、早いセットもできなかった。今年の課題でもあるイーブンボールに対しても、最後はよくなってきていたけれど、終始相手に支配されてしまっていた。全体的に鈍かったです…。本当に昨日のBと同じような試合。今日出た悪いところは、チーム全体の課題。Aがこれだけできないということは、チームとしての力が足りないということです。アタックうんぬんと言うよりは、まずはディフェンス。今日は1対1の勝負で負けていたし、それをカバーするダブルタックルも見られなかった。2人目が立って絡むプレーも1回もなかった。1人目が外なり内を抜かれたらそのままトライという感じで。そこはコミュニケーションとひとりひとりの意識の持ち様で変えられるところ。今日は1対1に負けていたところで、チームとしてすべてが負けているようなイメージを持ってしまっていた。あれだけ相手(WTB山田君)のハンドオフが強くて止められないのならば、外にかぶって内に切らせたところを狙わせるとか、チームとして対処しなくてはいけなかった。トライを取られるというのは、誰かひとりの責任ではないですから。その前のスクラムを圧倒していればとか、ブレイクダウンで絡んで球出しを遅らせていればディフェンスが多く立てたとか、ひとりひとりやるべきことをきちんとやらないと。そうすればトライはそうは取られない。とにかくそこがチームの課題です。今日はノミネートして前に出る激しさがなくて、そこで負けていた。その意識がワセダ全体として薄くなってきている。もう一回原点に立ち返ってやっていきます。ファーストゲームの同大戦でできていたのに、今できていないことがたくさんありますから。相手どうこうではなく、自分たちのやるべきことを見失ってはダメです。もう一度原点に。上級生が体を張る。それができないとワセダはこんなにも弱いチームなんだなって。今日改めて分かりました」


<最後まで流れを変えられず肩を落とすゲームキャプテン・谷口拓郎>
「本当に申し訳ない気持ちで一杯です…。ワセダのAチームとして、代表として試合をしたにも関わらず、大事な試合で負けてしまったというのは、恥ずかしいことです…。一番悔しいのは東条だと思います。本当に申し訳ないです…。前半はずっと敵陣にいたのにミスをして点が取れず、そこで逆に取られて後手後手に回ってしまった。ディフェンスは組織でやられたというより、個々で、1対1で全部受けてやられていた。1対1で負けているのであれば、2対1にするとか、そういった修正ができなかったのは僕の責任です。甘すぎました。今日は責任ということを言っていましたけど、その責任というのはひとつじゃないし、そのひとつを果たせたからといって…。今日の反省を絶対に克服して二度とこんな試合はしないように。ひとりひとりが自分を見つめ直して、今日この瞬間から目の色を変えて、次の関東戦に向けてやっていきます。今日は4年生が一杯いたにも関わらず、苦しいところで声も出せずに引っ張ることができませんでした…。甘かったです…」


<FWの核として期待されながら自らの至らなさを痛感するNO8覺來弦>
「オールでも負けて今日も負けて情けないです…。FWのことを言えば、ラインアウトから崩れてしまった。FWでやりたかったことができなかった。最初はラインアウトのテンポもよかったし、モールも何度も組んだけれど、そこでミスがあって点数を取れなかったことが痛かった。相手が入ってくるのも早かったですし、ミスをしたのは何と言うか…。ブレイクダウンも圧倒できなかった。そこで圧倒できないとオーバーラップもできないし、テンポも出ない。今日は自分たちのやりたかったことを逆に相手にやられてしまった。動き出しのところも全然ダメ。まだまだやらなくてはいけないことがたくさんあります。ラインアウトは今すぐに修正しないとダメです。スクラムもコントロールできていないですし。個人的にも今シーズンはやるしかないです」