早稲田大学ラグビー蹴球部WASEDA UNIVERSITY RUGBY FOOTBALL CLUB OFFICIAL WEBSITE

Beat Up

2024
  • SpoLive

早稲田スポーツ新体制特集「創造~Plus One~」【第2回】小倉順平・布巻峻介副将

勝利へ導く副将コンビ
 
 
 高校3年時、花園で同時優勝を果たしたSO小倉順平(スポ4=神奈川・桐蔭学園)とフランカー布巻峻介(スポ4=東福岡)。そんな二人も大学での3年間は悔し涙をのんできた。悲願の優勝へ、副将として臨むラストシーズンに懸ける思いとは。
※この取材は3月11日に行われたものです。
 

「全体を見渡す意識を持つ」(布巻)

 

――オフはどのようなことをしてお過ごしになりましたか
布巻 予餞会の翌日に福岡に帰って、OBの方と食事をさせていただいて、あとは食べて遊んでトレーニングしての繰り返しでした。
小倉 僕は実家が近いので帰らずに、寮にいる人とタッチフットをしたりしました。
 
――副将に選出されたときのお気持ちを教えてください
布巻 まずはリーダーとしてみんなを引っ張っていく、僕自身がしっかりしなくてはいけないと思いました。
小倉 昨年委員会に入ったときも言ったのですが、リーダーとして、さらに最高学年になって頼る人がいないので、自分がどうすべきかが重要だと思いました。昨年とあまり考え方は変わっていないです。
 
――布巻選手は昨年からのお気持ちの変化などはありますか
布巻 昨年からチームを引っ張っていこうという気持ちはありましたが、変化はそこまでありません。立場が変わっただけで、自分がやっていかないとという気持ちは一緒です。
 
――どのような経緯で選出されたのですか
布巻 後藤監督(禎和、平2社卒=東京・日比谷)か4年生が決めたのかは分からないのですが、選ばれたと言われました。
 
――その際に後藤監督から言われたことはありますか
布巻 まずはプレーヤーとしてパフォーマンスを上げていくことと、お前が引っ張っていかなくてはいけないぞ、という言葉ですね。
小倉 チームがどうすれば勝てるかなど、基本的にラグビーのことを考えていけ、といったような言葉です。
 
――大峯功三主将(スポ4=福岡・東筑)からかけられた言葉などありましたら教えてください
布巻 ラグビーのプレーや生活といったようなチームの運営、勝てる組織作りを任されたといったような感じですね。
 
――金正奎前副将(平26教卒=現NTTコミュニケーションズ)からのアドバイスはありましたか
小倉 特にありませんでした。すぐどこかに遊びにいってしまったので(笑)。
 
――副将として、具体的にどのようなかたちでチームを支えていきたいですか
布巻 みんなを後ろから押し上げてあげるイメージですね。僕だけ行きすぎず、全体を見渡す意識を持ってやっていきたいです。
小倉 みんながやれていない役割を探して、それを最終的に担うようになれたらと思います。
 
――大峯主将の印象や、期待していることを教えてください
小倉 言うと悩んでしまうと思うので、功三らしくいてくれればいいです。
布巻 そのらしくというのを説明すればいいんですよね(笑)。熱くて優しくて不器用ですけど、昨年のキャプテン(垣永真之介前主将、平26年スポ卒=現サントリー)のように嘘がない人間だと思います。
 

「勝つも負けるも自分次第」(小倉)

 
――昨シーズンの振り返りをお願いいたします
小倉 春は負け続けて、ケガ人も多くて、キャプテンもずっと悩んでいたと思います。でも夏からシーズンが終わるまでは、チームはずっと良い方向に向かっていました。理解度も上がりましたし、メンバーが結束して、大きな悩みもなく最終的にはすごいチームとして良いかたちになったと思います。
布巻 ある程度のレベルまでは持っていけたというか。帝京大が強いと言われている中で、負けはしましたが対抗できるレベルまで持っていけましたし、上手くいった一年だったと思います。
 
――布巻選手はケガの影響で途中からチームに戻られましたが、戻られるまでのチームの印象はいかがでしたか
布巻 春は負けていましたが、僕はあまり気にしていませんでした。僕が戻ってチームを変えられたらいいなと思っていました。でもあの(慶大戦での)負けから腐らず、スタートとして切り替えられたのは良かったと思います。
 
――帝京大のお話もありましたが、今季もターゲットは帝京大なのですか
布巻・小倉 はい。
 
――全国大学選手権(大学選手権)で帝京大に敗れましたが、届かなかった部分はどこだったのでしょうか
小倉 帝京大の友人と話すことがあったのですが、僕らの方が弱いのに僕らより努力していて、弱い方が強い方より努力しなければ勝てないと言われました。技術の面で劣っているとは思いませんが、結局昨シーズンは集中力といった自分たちの負けている部分を変えきれなかったのだと思います。これからは僕らがどうそれを身につけていくかですね。
布巻 フィジカル面でまだ差があると感じています。あとは気持ちの部分がチームとして負けていたかなと。例えばゴール前に迫られたときの気持ちの持ちようだったりですね。自信が持てなかったのかなと、そういうことを感じました。
 
――チームとして成長した部分はどこでしたか
小倉 春シーズン最初は言ってみたらバラバラというか、ひとつひとつを言わないと動いてくれない状態でしたが、シーズンが終わる頃にはやるべきことがチームに完全に浸透していたので、例えばディフェンスではおのずと立たなければいけない所ですぐ立ち上がることができるようになりました。ヤマハ発動機との試合にそれが表れていました。一人一人がやるべきことを自覚できるようになったことがチームとして成長した部分だと思います。
布巻 一昨年から比べると、フィジカル面が強くなったと思います。あとは取り組む姿勢。やらないと負けるという意識。足りなかった部分もありますが、それすら最初はなかったので、頑張ろうとするというレベルまでは来たと思います。
 
――昨年のテーマは『自律』でした。そのテーマに関してはいかがでしょうか
布巻 そこはまだ全然できていないですね。
小倉 今季もそれが課題として出たので、できていないということだと思います。
 
――今季のテーマはなんですか
布巻 『創造』です。
 
――『創造』に込められた意味はどういったものですか
小倉 それぞれあると思いますが、色々新しいことに挑戦して、それを1年間やり切る。そうすると新しいことができていく。昨年はチャレンジしても春で終わってしまったりしたので、今季は決めたことを1年間継続してやり切るということが大事になるのかなと思います。
 
――『創造』ということに関して、新たに挑戦したいこと、ご自身の目標などはありますか
小倉 手探りですね。
布巻 個人としては、日本代表に照準を置いて、上のレベルを目指してやっていきたいというのはあります。
 
――チームの振り返りをしていただきましたが、個人としての一年間の振り返りをお願いいたします
布巻 ポジション変更をして、勉強になったといいますか。初心者になったような感じでした。フランカーってこんなんあるんだな、こういうプレーもあるんだといったような、そういう意味で面白い一年だったと思います。
小倉 夏からシーズン終わりまでケガが多すぎて、最後の方はなんで自分が出ているんだろうと思うくらいパフォーマンスが落ちました。シーズン中にそれを戻すことができずに終わってしまったので、ケガをしないように1年間出るということを目標にやっていきます。
 
――布巻選手は昨年の反省点などはありますか
布巻 僕もケガを持ちながらやっていたので、その点についてはパフォーマンスが落ちたかなと思います。あとは結果論で、試合中こうしておけばよかったということばかりですね。
 
――昨年ご自身が成長した点はありますか
小倉 ないですね。
布巻 変わらずです。
 
――ではお互いが思うお互いの変化を教えてください
布巻 キックが飛ばなくなった(笑)。
小倉 (笑)。そうですね、昨年のキャプテンの真之介は(布巻選手に)助けられたといっていました。知らないところで気付いた部分を言っていたみたいで。今季もそれをやり続けるんだと思います。期待しています(笑)。
 
――布巻選手はどのようなことを垣永前主将に伝えていたのですか
布巻 まあ当たり前のことと言いますか。当たり前のことができていない時に言っていました。やはりキャプテンは前を向いていて、気付かないこともあるので。僕から見てチームが違う方向に行っているなという時には、声掛けをしてきたつもりです。
 
――布巻選手から見た小倉選手の変化が、キック以外の面であればお願いいたします
布巻 うーん、どれから言ったらいいんやろ(笑)。
小倉 そんなないだろ(笑)。
布巻 責任感を感じながらプレーしているなと。プレーひとつひとつに厳しくなりましたし、委員になったからか上級生になったからか分からないですけれども、責任を見て感じました。
 
――理想のプレーヤー像を教えてください
小倉 どういうかたちであれ、チームが勝つも負けるも自分次第だと思っています。理想を言いはじめたら果てしないんですが、今の自分のポテンシャルで考えたら、試合でやりたいことを練習からずっと伝え続けて、昨年のチームのように何も言わなくても自分から行動する状態をもっと早く作り上げたいなと思います。自分の理想像というか、自分の理想イコール勝つことなので、自分の周りの人をどう動かすかが一番重要かなと思っています。
布巻 ジョージスミスみたいなプレーヤーです。
             

「チームが一つになれるか」(小倉)

 
――多くの選手が卒業した今季のFWについてどのような印象ですか
布巻 フロントローなどはごっそり変わるのですが、これから次第ですけれどあまりレベルは落ちないかなと。昨年の4年生とは違う良さがみんなあって、試合をしてみないと分からないけれど面白いかなという感じがします。
 
――今季のFW陣の強みはどのような部分になっていくでしょうか
布巻 もちろんスクラムなどのセットプレーは今季も強みとしていけると思います。あとは、器用な選手も多いのでバリエーションが増えるかなと思います。
 
――器用な選手を具体的に教えていただけますか
布巻 光川(広之、スポ4=神奈川・公文国際)だったり、清水(新也、スポ4=宮城・仙台育英)もランが魅力的ですし、バックローでも佐藤穣司(スポ3=山梨・日川)だったり、新しい1年生も入ってくるということなので、けっこう楽しみなことがあると思います。
 
――一方、昨季のメンバーのほとんどが残るBKについて小倉選手はどのような印象ですか
小倉 変わらないのは確かですし、昨年の最後からみんな積み上げてきたので、もう少し自分が要求していこうかなと思います。
 
――今季もバックスリーが強みとお考えですか
小倉 もちろんバックスリーもすごいのですが、今季はどれだけチームが一つになれるかが昨年よりも重要になってくると思います。
 
――なぜ昨年よりも一つになることが重要になってくるのでしょうか
小倉 いつも早大はそうなのですが、持ったらトライできるような人がそんなにいないので。さらに今季は、4年生が引っ張るとか4年生が何かをするということもミーティングなどで話しているので、4年生のまとまりとチームのまとまりが今季のチームに大いに関わるなと思います。
 
――ファーストミーティングで4年生のまとまりという話以外に話し合ったことはありますか
布巻 一人一人が学年関係なく4年生のような気持ちを持ってやっていこうと。もちろん4年生はまとまってやっていくのですが、誰がリーダーとかではなく、1年生も2年生もみんな一緒になってやっていこうという感じです。
 
――この時期はどのような部分に力を入れていきますか
布巻 まずはいろいろなことをやっていこうと。多分途中からだれてきたりする部分が出てくると思うのですが、やっていることの意味をしっかり考えて、1日1日忘れずにやっていくことだと思います。
 
――やると決めたことの具体例などがあったら教えてください
布巻 この前話したのは、ご飯をいっぱい食べる、ウエイトだったら自分でもっと追い込む、創造するということ。あとは人として当たり前のことをできるようになろうと話しました。
 
――今季のチームのキーマンになる選手は誰だと思いますか
小倉 フロントスリーですかね。光川、佐藤勇人(スポ4=秋田中央)、清水が昨年はリザーブに終わって、今季どういう風に伸びていくか、チームにマッチしていくかというのが僕は楽しみです。
 
――布巻選手が思うキーマンはどの選手でしょうか
布巻 池本(翔一、スポ3=愛知・千種)とかですかね。ものすごく素質があるので、昨年の正奎さんみたいになってくれればと思います。僕自身も刺激になるので、池本に限らず、フランカーにいい選手がいるので、もっとレベルを上げて競い合いたいです。
 
 

「当たり前のことができるように」(布巻)

 
 
――委員の選手に対してどのようなことを求めていますか
布巻 少なからず見られる存在になったと思うので、自分自身を追い込んでほしいです。あとは、委員同士で言いたいことを言える環境になればいいと思います。
 
――小倉選手はいかがですか
小倉 一緒ですね。
 
――今季は桑野詠真選手(スポ2=福岡・筑紫)が2年生で委員になりましたが、桑野選手に対する思いや期待を教えてください
布巻 あいつが下級生を引っ張っていかないといけないと思うので、役職を与えて、あいつ自身が頑張ってくれればいいと思います。
 
――先ほど4年生がまとまっていくというお話がありましたが、同期に求めることや最終学年としてこうなってほしいということを教えてください
小倉 後輩に見られて恥ずかしいことはしてほしくないですし、当たり前のことを当たり前にするということがいま少しできていないので、掃除や落ちているゴミを拾うなど、そういう当たり前のことを普通にできるようになるということを、僕もですが、他の4年生にもしてほしいです。
 
――今季も『自律』ということを私生活の面から正していくということでしょうか
小倉・布巻 はい。
 
――布巻選手が同期に期待することはどういうことでしょうか
布巻 いま言ったような当たり前のことができるようになること。あとは、4年生はどの学年も頑張ってきたと思うので、いかに1年生から3年生を同じような気持ちにできるか。みんな頑張るのは分かっているので、その頑張りをどう後輩たちに伝えていくか、そしてどうプレーに出すかだと思うので、そういった良い影響が広がればいいなと思います。
 
――3年生以下にはどのようなことを求めていきたいですか
布巻 早大とかそういう枠にとらわれず、のびのびと、嫌なことがあったら嫌と言って、嫌な先輩がいたら言うこと聞かなくていいですし(笑)。それくらい自由にやってほしいです。
小倉 4年生に求めることと同じですね。
 
――個人としての今季の目標は何ですか
布巻 昨年である程度フランカーの動きが分かってきたので、学んだことを一から見つめなおして、今季は優勝もですが、個人として高いパフォーマンスを見せて、いつかインターナショナルのレベルにいけたらいいなと思います。
小倉 キックですね。全てのいまの自分のパスとかキックとかの精度から2段階くらい上げないと戦える状態にはないと思うので。それと、同じポジションの人たちを上手にさせようと思います。4年生のSOは僕しかいないので、そういうところも意識していきたいです。
 
――今年のラグビー部の目標は、やはり大学選手権優勝でしょうか
布巻 そうですね。もちろん大学選手権優勝が一番の目標です。
 
――春シーズンにおいてのチーム目標などは決まっていますか
布巻 まだ決まっていないのですが、春シーズンが終わった時にチームとして、個人として何かストロングポイントができればいいなと思います。
小倉 一試合一試合で何か得られればなと思います。
 
――最後にファンの方々にメッセージをお願いします
布巻 ずっと負け続けていて期待に添えていないと思うのですが、いままでのように熱い応援などのサポートお願いします!
小倉 毎年言っているのですが、優勝するので試合の応援などお願いします!
 
――ありがとうございました!
 
(取材・編集 菅原拓人、田中みずき)
 
◆小倉順平(おぐら・じゅんぺい)
1992(平4)年7月11日生まれ。172センチ、80キロ。神奈川・桐蔭学園高出身。スポーツ科学部4年。ポジションはSO。色紙に書いたのは、昨年の新体制特集と同様の『冷静』という文字。委員から副将へと肩書きが変わっても、小倉選手が追い求めるのは冷静にチームを勝利へと導くことのみです。
 
◆布巻峻介(ぬのまき・しゅんすけ)
1992(平4)年7月13日生まれ。178センチ、95キロ。東福岡高出身。スポーツ科学部4年。ポジションはフランカー。真剣なまなざしでインタビューに答えつつ、ところどころで場を和ませてくれた布巻選手。色紙に書いてくれたように、『自由』にピッチを暴れまわる姿に期待です!