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2023

早稲田スポーツ新体制特集「創造~Plus One~」【第3回】佐藤勇人・荻野岳志

4年生リーダーの自覚と責務
 
 悲願の大学選手権優勝を目指し走り始めた新生早大ラグビー部。プロップ佐藤勇人(スポ4=秋田中央)はスクラムの核として、WTB荻野岳志(先理4=神奈川・柏陽)は最強のフィニッシャーとして。いわばFW、BKのそれぞれの大黒柱といえる存在だ。そんな二人は佐藤勇が寮長、荻野が委員に就任し部の運営も担うこととなった。それぞれの役職就任の背景、今季のプレー、チームの雰囲気について話を聞いた。
 ※この取材は4月12日に行われたものです。
 

下級生の模範に

 
――委員と寮長に就任されましたが経緯を教えてください
荻野 委員は大峯(功三主将、スポ4=福岡・東筑)が選びました。理由は寮長の方から先に。
佐藤勇 下級生とのコミュニケーションをとってほしいとは言われましたね。それが買われたのか分からないですけど、寮が1年から4年まで潤滑に動けるようにコミュニケーションをとっていきたいと思います。
荻野 自分は2年生のころから帝京大戦や(全国)大学選手権というのを経験させてもらって、そういうことを下級生に伝えていかないといけないとは思います。あまり口で言うタイプではないのでプレーで見せたいです。
 
――いつごろ就任されましたか
荻野 いつごろだっけ?でも僕は寮の風呂場で聞きました。大峯に風呂に誘われてですね。
佐藤勇 僕は自分の部屋で聞きましたね。時期は忘れちゃいましたけど、2月の中旬かそのくらいだと思います。
 
――就任が決まったときのお気持ちを聞かせてください
佐藤勇 寮長の仕事は寮生の模範になることだと思うので、きちんとした生活リズムを心掛けるとともに、寮生から体を大きくしたり、良い生活リズムにすることで、部全体が良いリズムになるようにしたいと考えました。
荻野 いままで(昨年度の)4年生に頼ってしまうことが多かったのですが、自分が4年生になって委員という役職ということで、自分が自覚と責任を持って他の選手の模範となる姿を見せないといけないと思いました。
 
――実際に過ごされて生活に変化はありましたか
荻野 一番変わったのは週に1度委員会というのがあって、そこではチームの課題とかを話し合うんですけど、その場に出るっていうことが変わったことです。寮長は仕事が増えたよね。
佐藤勇 基本的には荻野と一緒なんですけど、起床の点呼とかきちんとご飯が食べられているかも確認しています。体重を増やさないといけない選手に呼びかけするのも仕事だと思っています。そういうコンディショニング関係から寮の清掃もしています。
 
――寮長として実際に仕事をしてみていかがですか
佐藤勇 大変ですが、いままで自分が部のためにという感じではなく、上級生に支えられているという感じが強かったので、自分から自発的に部のために貢献しているということは感じることができています。
 

 勝者のイメージを

 
――プレーの質問に移りたいのですが、まず率直に昨季を振り返っていかがでしたか
荻野 昨年一年間は垣永さん(真之介前主将、平26スポ卒=現サントリー)や金正奎さん(前副将、平26教卒=現NTTコミュニケーションズ)をはじめ、食事制限だったり身体のケアだったりで意識を変えようとしていて、部全体がストイックな雰囲気でできていたと思います。ですが、その中でもやはり帝京大にあと一歩のところで追いつかなかったので、やはり昨年のままでは変えたつもりでも足りなかったのかなという感じはします。
 
――荻野選手は大学選手権の決勝後に「帝京大とは点差以上の差を感じた」と思うのですがそれは具体的にどういったところで感じましたか
荻野 そんなふうに言っていましたっけ?試合を録画してあって、それを何回か見直しても、ここでああしていたらいけたのにという悔しさを感じました。
 
――むしろ引っくり返すこともできたのではないかということですか
荻野 そうですね。本当にいけたんじゃないかと思います。
 
――佐藤勇選手は昨季を振り返っていかがでしたか
佐藤勇 前には垣永さんがいましたし、どうやったら自分が垣永さんに勝てるのかということを強化してきたのですが、勝てずにBチームでやってきました。ただ1年から2年まではケガが多く、ケガをしないようにしようと考えていて1年間ケガが無かったので、その意味では良いシーズンだったのかなと思います。
 
――荻野選手は個人のプレーを振り返っていかがでしたか
荻野 2年生のころよりは昨年の方が余裕が出てきて、おととしは精一杯だったのですが昨年はWTBの位置だけでなくいろいろなところにプレー参加できたのは良かったと思います。
 
――昨季は全国大学選手権で2位でしたが、足りなかったところはどこだと思いますか
荻野 あと5点差というところまでに来たときにチームとして余裕がなかった。帝京大は迫られても余裕があるというか勝ち癖があるというか、いつも通りのプレーができるのですが、早大は焦ったときほど、それこそキックオフのミスなどプレーがうまくいかなかったのかなと思います。
佐藤勇 一緒ですかね。(帝京大は)自信を持っているんですよ。こういう戦い方をすれば勝てるという自信があると思うんです。早大はまだ勝てそう、勝てるという自信が持てなかったと思います。僕らからしたら勝てるイメージというか、具体的にあの試合に勝ったからこういう戦い方をすれば帝京大に勝てるんだ、という感じのイメージは少し持ちづらい気がします。
 
――今季はこれまでどういう練習をしてきていますか
荻野 いまは体づくり中心で追い込んで、それに加えて2週間後から春シーズンが始まるのでそれに向けてのフィットネスです。最近はボールを使った練習もしています。
 
――個人的に重点的に取り組んでいることは何ですか
荻野 僕はタックルされても倒れない強さをつけるためにウエイトが大事なのかと思って頑張っています。
佐藤勇 自分の武器はセットプレーだと思っているのでその武器を磨くために筋トレですね。身体を絞ったり、そういうことを意識してやっています。
 
――FWで卒業された選手が多いと思うのですが、今季のFWについてどう見ていますか
佐藤勇 抜けた穴は小さくないと思うから、その穴をどうやって埋めていくか。Bチームでやっていた人が多いのである程度のコミュニケーションとなどは取れると思うのですが、上で戦っていくためにはフィジカルやコミュニケーションをさらに上げていかないといけないと思うの、でそこを布巻(峻介副将、スポ4=東福岡)、大峯、僕とかを中心に潤滑にできるように。昨年のFWを越えられるようにはしていきたいなと思っています。
荻野 (佐藤勇は)自信ないですね(笑)。
 
――荻野選手は外から見ていかがでしょう
荻野 絶対的な存在、それこそ垣永さんや正奎さんとかが抜けていったのですが、光川(広之、スポ4=神奈川・公文国際)とか勇人とか、(今季のメンバーは)昨季リザーブとして後半から出ていた選手なので、そういう意味では頼りにしています。でもそれ以上に今季はBKで勝負したい気持ちはあります。
 
――そのBKについてはどのように見ていらっしゃいますか
荻野 ほとんど昨年のメンバーが残るのでそこは自信を持っています。あと今季は4年生が多いんですよ。Aチーム全体でも4年生が多くてそういう意味ではやっていて楽しいですし、ずっとやってきたので心強いです。今季はBKで勝てるようにしたいですね。
佐藤勇 BKのメンバーに4年生が多いというのは武器になると思うので、FWはボールを供給します(笑)。
 

「みんなで発信していけるような雰囲気」(荻野)

 
――新チームの雰囲気はいかがですか
荻野 昨年は、垣永さんや正奎さんという2人の絶対的なリーダーがいるという感じだったのですが、ことしはリーダー陣を多くして誰でも発言ができるようなチームの雰囲気づくりを、大峯を中心にやっています。そういう意味では、周りに誰か頼る存在がいなくても、みんなで発信していけるような雰囲気ではあると思います。
佐藤勇 言ってくれた通りだと思います。
 
――そのチームづくりは実現されてきているのですか
荻野 そうですね。大峯が本当に『THE・良いやつ』みたいな感じで(笑)。あまり主将が絶対的すぎないところがまた良いです。
佐藤勇 誰かに頼らなくても選手一人一人が自発的にするべきことをすることで良い組織ができると思うので、そこは良いと思います。
 
――大峯主将についてお話ししていただきましたが、小倉順平副将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)はどのような方ですか
荻野 ラグビーのために生まれてきた男です。ラグビーの知識だけは誰にも負けないですけど、勉強はノーという感じです(笑)。
 
――布巻副将はいかがですか
荻野 本当に第二の主将ではないですが、プレー面で的確な指示が出せるのは布巻だと思っています。そういう意味では、大峯を一番支えられるのかなと思います。
 
――今季は副将が2名ということで、役割の違いのようなものはあるのですか
荻野 割とプレー面などで発信するのが布巻。布巻の方がプレー面でいろいろなところを指摘します。小倉は、BKリーダーなのですが、必要のあるときに言うというか、様子を見る。しっかり見て、意見を聞いてという感じです。
 
――4年生はどのような学年ですか
佐藤勇 仲良いと思います。
荻野 寮生だけではなく外勤の人の中にも(意見を)言う人が結構います。
佐藤勇 意見が言える学年ですね。一人一人が自分の意見を言えて良いと思います。
 
――最高学年になって学年全体に意識の変化は見られますか
佐藤勇 僕は、練習のときに自発的に行動するというか、4年生一人一人が声を出してきているように見えるところはあります。
荻野 そうですね。4年生だからとかは関係なくあまり上下関係にとらわれずに、下の学年でもどんどん発言するように大峯は伝えているので、そういう意味では良い雰囲気です。学年にとらわれずに練習できているのかなと思います。
 
――下級生との関係はいかがですか
荻野 僕はバックスリーと仲良いです。部屋も滝沢(祐樹、基理3=福島)と2人部屋なので仲良くしています。
佐藤勇 僕自身(同学年に)秋田出身が一人しかいなかったので、秋田の子にはやはり仲良くしてあげようかなと思っています。加えて、やはりフロントローとは同じポジションということで、コミュニケーションはとるようにしています。
 
――4年生同士でどのようなチームにしたい、などの話をされたりしますか
荻野 それが先ほど言った、絶対的リーダーではなくて誰でも発言できるようなスタイルを大峯が考えているということなどですかね。
 
――個人的に考える、今季の注目選手は誰ですか
荻野 誰だろう…(笑)。本田宗詩(スポ2=福岡)ですかね。昨年部屋が一緒だったWTBなのですが、すごくキレがあって、プレー面はもちろん、プレー以外にもアメリカかぶれというかそういうキャラも良いなと思って(笑)。
佐藤勇 注目プレーヤーか…。
荻野 自分(笑)?
佐藤勇 いや、それはない。やはり4年生だと思います。4年生全員だと思います!
 
――委員として、寮長として、それぞれどのような形でチームづくりに貢献していきたいですか
荻野 小倉はケガも多いので、BKの中のリーダーの一人として、そういうときにもまとめていけるようにしたいです。やはりことしはBKが引っ張るんだということをみんなに発信していけたら良いかなと思います。
佐藤勇 寮長としては、寮生活を良い生活リズムで送れるようにしていきたいです。一人のプレーヤーとしては、スクラムを安定させられるように気持ちを強くして組むつもりです。
 
――今年の1年生の印象はいかがですか
荻野 まだ全然話していないんですよね。寮生とは少し話したのですが、これからどんどんコミュニケーションを取っていきます。(新歓試合では)作田選手(蓮太郎、教1=東京・早実)が気になりました。
佐藤勇 良いタックルしてたね。加藤(広人、スポ1=秋田工)も良い動きはしていました。
 
――最後にことしの目標を、チームとして、個人として、教えてください
荻野 自分が出場してから帝京大には2年間敗北しているので、その悔しさを忘れないで、日本一になります。個人としては、自分が得点を取っていけるように、中心になれるようにして、日本一に貢献したいです。貢献というか、日本一になります!
佐藤勇 組織として、日本一になるために寮生活から潤滑にしていく。個人としては、ことしは良いバックスリーがいるので、僕がスクラムで良い球出しをして、BKが安心してプレーできるような環境づくりをしていきたいです。
 
――ありがとうございました!
(取材、編集 大水渚、鈴木泰介)
 

◆荻野岳志(おぎの・たけし)
1993年(平5)1月5日生まれ。175センチ、78キロ。神奈川・柏陽高出身。先進理工学部物理学科4年。ポジションはWTB。書道の経験があるという荻野選手が達筆で書いてくれた言葉は『奪還』。2年間の悔しさを糧に、必ずや帝京大を撃破してくれるでしょう!
 
◆佐藤勇人(さとう・ゆうと)
1992年(平4)9月21日生まれ。182センチ、119キロ。秋田中央高出身。スポーツ科学部4年。寮長として部員の体重増加を目指す佐藤勇選手ですが本人は減量を命じられ食事制限中。走力をつけグラウンド狭しと動き回る佐藤勇選手の姿に期待です!