早稲田大学ラグビー蹴球部WASEDA UNIVERSITY RUGBY FOOTBALL CLUB OFFICIAL WEBSITE

WASEDA FIRST

2023

【連載】新体制特集 『Innovation』 特別編FB藤田慶和副将

4月1日に『早稲田スポーツ』新入生歓迎号が発行されました。『早稲田からWASEDAへ』というように学生のグローバルな視点が求められている中、一足早く世界の舞台で活躍されているFB藤田慶和選手(スポ4=東福岡)にお話を伺いました。ことしはラグビーワールドカップ(W杯)イングランド大会の開催年。W杯への思いを中心に、代表での活動や早大のことまで。紙面に載せきれなかった部分も含め特集します!
※この取材は1月24日に行われたものです。
 

代表でのプレー

――日本代表のW杯一次候補に選出されたいまの心境はいかがですか
率直にうれしいですね。W杯が終わって、あるいはそれまでにメンバーから落とされて悔いが残ったなというシーズンにならないようにも、W杯で活躍できるように努力していかなければという実感が、前からあったのですが強くなった感じがあります。
――メディカルチェックで確認したことはどのようなことですか
体のチェックだけでハードな練習はしなかったのですが、どういうメンタルで4月の代表合宿に持っていくかということをエディー・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチとか、各ポジションのスペシャリストから何をすべきなのかということを言われました。
――その後すぐ7人制日本代表の合宿に参加されましたがいかがでしたか
滞在時間より移動時間の方が長かったなというのが率直な感想です(笑)。
――7人制と15人制の両立という点ではいかがですか
両立できるものだと思うので、積極的にどんどんやっていきたいと思いますし、五輪にもW杯にも出たいという目標があるので、そこに到達できるように、いいパフォーマンスをして代表に残っていきたいと思います。
――両者に共通するスキル、変わってくるスキルはありますか
両方スピードが大切だと思うので、どちらにせよスピードトレーニングは欠かさずやっています。違う面でいえば、別の角度から見れば7人制と15人制は別のスポーツと言っていいくらい違うので、そういうところはそれぞれプレーしながら感覚を取り戻して臨機応変にやっていきたいと思っています。
――W杯一次候補に選ばれた他のWTBの選手にはいろいろなタイプの選手がいるかと思いますが、どの点でアピールしていきたいと考えているか教えてください
まずはワークレートの高さで他の選手に負けないということを見せつけていきたいです。あと、ことしはスピードトレーニングをすごく積んでいるので、他の選手よりもトライを取ったり、いろいろなところに顔を出してチャンスを作ったりしていきたいと思います。そういう積極性が自分の持ち味だと思っているので、存分に発揮して、他のメンバーと勝負していきたいと思います。
――エディー・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチから個人的に言われていることはありますか
スピードという部分をずっと言われていて、あとはディフェンスの強化を常に言われています。
――W杯では南アフリカ、スコットランド、サモア、アメリカといった国と対戦しますが、どのように倒していきたいですか
まずアメリカとサモアは確実に勝たなければならないですし、決勝トーナメントに行くには南アフリカとスコットランドどちらかを倒さないといけません。まず初戦の南アフリカ戦で、相手が少しなめてくることもあるかと思うので、4年間積み上げてきたものを発揮すれば大会の入りとしていい形に持っていけると思います。勝てるかわかりませんが、どの試合も勝ちにいくということが目標なので、準備をしっかりしていきたいなと思います。
――W杯で日本代表はベスト8を目標にしていると思いますが、そのことについての思いを聞かせてください
本当に勝たないといけないし、W杯は負けに行く場所ではないと思っています。それまでの準備がとても大切だと思うので、あと10ヶ月もない中でいいトレーニングをして備えたいと思っています。
 

プレーの原点は『楽しむ』

――初めて日本代表に選ばれた時の心境はいかがでしたか
正直びっくりしました。7人制の合宿中に香港で知らされたのですが、先輩とスタバに居た時に急に電話で呼び出されて、何かしたかな?とビビリながら電話に出たらジャパンに選ばれたという報告だったので、驚き半分良かったなというのが半分でした(笑)。でも率直にすごく嬉しかったですね。
――その前から日本代表というものは意識されていましたか
あまり意識はしていなくて、そういうのはまだ入らないだろうと思っていた中での報告だったので自分としてはすごく驚きました。
――2012年、代表のデビュー戦で6トライを取ったときはいかがでしたか
あれは本当に良かったですね。チームメイトもうまく(味方オフェンスの数を)余らせてくれたり、FWも頑張ってくれたりで(ボールをインゴールに)置くだけというトライが4本くらいあったので、仲間のおかげというのはあります。
――高校卒業からそこまで登り詰めた藤田選手のプレーの原点はなんでしょうか
楽しむということを意識しています。準備してきたことが試合で生かせれば楽しいと感じます。そういう楽しさを追いかけ続ける、楽しくなかったらラグビーをやっていても面白くないので、試合での成功に向けてしっかりと準備をして努力することが原点だと感じます。
――東福岡高時代は、やはり成長の礎となりましたか
自分の考え方の基盤を作ることができましたし、それがあるから今があると感じているので、谷崎先生(谷崎重幸氏、現法大監督)や藤田先生(藤田雄一郎氏、現東福岡高監督)には感謝しています。
――2014年シーズンも東福岡高は強かったですね
すごかったですね。弟も最後は試合に出られませんでしたがグラウンドに立てて良かったですし、家に金メダルが4つあるのでいい家なんじゃないかと思います(笑)。
――花園の決勝戦ではテレビ解説をされていましたね
うまく喋れていたか分からないけどすごく緊張しました(笑)。
――周囲の反応はいかがでしたか
結構良かったよという反響があったのですが、小学校の頃から知っていて、いま高校生の子からメールが来ていて、「かみすぎ」と書いてあってとても落ち込みました(笑)。
 

「積み上げてきたことは間違ってなかった」

――早大入学後にけがを負った時のことをどのように捉えていますか
前十字靭帯(じんたい)のけがは長かったですし、ポジティブには捉えているのですが、復帰した直後にいい成果が出なかったので、いま考えるとリハビリの中でもう少し努力できたのではと感じています。でもけががあったからこそ、リカバリーの大切さなどいまままで目を向けていなかったことに目を向けられるようになったので、ラグビー選手というより1人のアスリートとして大切なことを学んだのではないかと思います。
――2013年には日本代表としてウェールズ代表やニュージーランド代表と対戦しましたが振り返っていかがでしたか
ニュージーランド戦はあまりプレーできなかったのが悔しかったのですが、その前にニュージーランドに留学していて、直接対決できたのはすごく嬉しかったことですし、世界一の国と対決できたことはいい経験になったと思います。それをW杯で生かしていきたいです。
――翌2014年の代表の活動はいかがでしたか
7人制のときから調子が良くて、春のカナダ戦でけがするまでは10トライできたので、調子が良かっただけにけがが悔しかったなという印象です。
――10トライは世界で年間2位ですね
最近出ていましたね(笑)。けがが無ければジュリアン・サヴェア(ニュージーランド代表)を抜かしていたかどうかは分からないですが(笑)、やっている国も違うのでサヴェアの方がすごいです。それでも名を連ねられたのは良かったですね。それはうれしいことですし、今度は個人としても世界一を目指していきたいと思っています。
――代表自体も世界ランキング9位まで一時上がりましたが、やはりチーム内で自信は高まっているのでしょうか
積み上げてきたことが間違ってなかったということが数字で現れて良かったと思いますし、これからハードなトレーニングをしていけばW杯で勝てるということが近い目標になったと思います。たかが世界ランクといえど代表にとっては大きな自信になったと思います。
――代表の試合で一番印象に残っている試合はありますか
2014年のサモア戦ですかね。アジアと違って一つレベルが上がったところで自分がどれだけできるのかというところがあったのですが、2トライ取れてディフェンスもしっかりでき、成長を感じたかなと思ったので印象に残っています。
――代表の練習はハードですか
ハードですね(笑)。朝の6時半とか5時半とかから始まるのでハードです。
――早朝練習は早大でも取り入れられていましたね
はい。少しでもいいものを取り入れていきたいです。やはり帝京大に追いついていない状態なので、どうやったら差が縮まるのかと考えたら、朝だけではないですけど、朝に練習をすることで意識も変わりますし、そういうところから変えていこうということで昨年少しやってみました。
――来季の早大でのプレーについてはいかがですか
W杯の年なので、日本代表での活動が多くなってしまうのですが、それは後藤禎和監督も(平2社卒=東京・日比谷)W杯で頑張ってこいと送り出してくれているのでW杯に集中できますし、終わったら早大でしっかりプレーして最後の年を最高の仲間たちと一緒に最高の形で終えたいと思います。
――2014年度の早大でのプレーについてはいかがでしたか
あっという間に終わりましたね。明大戦は良かったのですが、そこからマークされることが多くなって、どうすればマークをかいくぐってチャンスを作れるかということをすごく考えていました。ですが解決されぬまま終わってしまい、それは来季に持ち越しということで、ジャパンで戦いながら早大での課題も解決していきたいと思います。
――世界での経験が早大で生きることがあるかと思いますが、逆に早大での経験が世界で生きることはありますか
ディフェンスの面で今季の早大では個人的にもコーチに教えてもらって練習したので、そこで世界にどう通用するかということはあります。コース取りは良くなってきて、あとはタックルの部分だけなので、自信をもって代表でもディフェンスしていきたいと思っています。
――ちなみに授業などの大学生活についてはいかがでしょうか
行ける時は授業に行っていますし、単位もなんとか努力して取っています。大変なのですが、大変なことは幸せなことですし、両立しないと一流のラグビー選手、スポーツ選手とは言えないと思うので頑張っています。
――スポーツ科学部で、他の部活の選手と話したりすることはありますか
多いですね。いろいろな部で頑張っている人といろいろとしゃべることが多いですし、ほかの部活のことを聞いて刺激を受けることもありますし、逆に聞かれたりもするので、いい関係なのではないかと思います。
 

「W杯で活躍したい」
 

――スーパーラグビー(SR)に日本チームが参戦することについてどのように考えていますか
日本チームが参戦して盛り上がることはもちろん賛成ですし、日本の選手が海外の強いラグビーでもまれて強くなっていくということはうれしいことなのですが、自分的には日本のSRのチームには入りたくないですね。できれば海外のチームで地元のサポーターとか、向こうのコーチや選手とかに認められたうえでプレーしたいなという思いが強いので、海外に挑戦したいなという思いはあります。
――将来的には海外一本でやっていくのか、日本でプレーしつつ海外でプレーするのかなどいろいろな選択肢があると思うのですがどのように考えていますか
両立をできている選手が何人もいるので自分も両立を考えています。日本のラグビー界にSRが入ってくるので、スケジュールの関係で両立もしやすくなるので両立の方向で考えています。
――SRに目標にする選手やチームはありますか
FBだったらクルセイダーズのイズラエル・ダグとかハイランダーズのベン・スミスみたいな選手になれるように努力していきたいと思っていますし、目標としているというか入りたいチームはいまも変わらずクルセイダーズです。
――今までもカンタベリー州代表などに留学されているかと思いますが、世界へ挑戦するにあたって、環境の違いや言葉のカベを実感したことはありますか
そうですね。環境も言葉も全然違って、いろいろ感じることはあるのですが、それを言うと言い訳になるし、どの環境にも適応できる選手が一番強いと思うので、工夫しながらいい生活をして、言葉のカベも努力して克服していきたいなと思います。
――具体的にどのようなことを心がけていますか
言葉は勉強する時間も少ないので合間を見つけてするしかなかったり、向こうに行った時に積極的に話すことしかできなかったりするので、集中してやっていけたらいいなと思います。
――藤田選手にとって世界に挑戦するということはどのような意味を持ちますか
子供の頃からの夢なので、それは必ず達成したいですし、自分がやることによってまた子供たちに夢を与えられるのではないかと思うので、必ず実現したい夢だなと思います。
――早大の学生も世界で活躍することを期待されているかと思うのですが、すでに世界で活躍されている藤田選手から新入生にメッセージをお願いします
大学という環境の中で、高校から来て自由があると思いますが、自由に甘えていると夢や目標が達成できなくなると思うので、息抜きとかはいいと思うのですが、目標に対して芯はずらさずに、少しずつでもいいからクリアして最終的には辿り着けるように、勉強でもスポーツでもいろいろなことを頑張って欲しいなと思います。
――最後に改めてW杯に向けた意気込みをお願いします
2012年にジャパンの体制が始まって、ずっとメンバーに入らせてもらっていて、ここまで来たら2015年のW杯にスタメンで出るだけでなく活躍したいと思います。これからの努力が大切になってくると思うので、努力して楽しんで1回きりのW杯を取りにいけたらいいと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 鈴木泰介)

 
藤田慶和(ふじた・よしかず)
1993年(平5)9月8日生まれ。184センチ、90キロ。東福岡高出身。スポーツ科学部4年。ポジションはWTB/FB。スポーツ科学部で学ぶ藤田選手は、野球部の道端俊輔選手(スポ4=智弁和歌山)などと仲が良いとのこと。所沢の地で繰り広げられる早大を代表するアスリートたちの会話、興味深いですね!