「主務部屋 番外編1号 英国遠征報告
~出発・奥記念杯・World University Rugby Cup開催~」
こんにちは。
主務の近田です。
主務部屋 番外編として9月に行なわれた英国遠征を3回に分けて、ご報告致します。
第1号の主務部屋 番外編では、
9月11日(金)から9月15日(火)までの様子をご報告させて頂きます。
今回の遠征は、オックスフォード大学が主催するWorld University Rugby Cupへの出場、奥記念杯への参戦そして国際交流を目的として行われました。
弊部OBであり、イラクで殉職された奥克彦大使が学んだオックスフォード大学で時間を過ごすことで奥先輩のことを忘れず、奥先輩の想いを引き継いでいくことも大きな目的の一つです。
9月11日(金) <移動日・オックスフォード大学到着>
2週間近い遠征ということで、荷造りに悪戦苦闘する選手もおり、出発前から大荷物を抱えて、朝7:30バスで上井草グラウンドを出発しました。海外へ初めて行く選手もおり、緊張した表情の選手も数名おりました。
出国検査を終え、いよいよ離陸です。
羽田空港を飛び立ち、12時間の長いフライトに突入します。
現地時間15:00にヒースロー空港へ到着。長時間のフライトに疲れが見えるかと思われましたが、日本とは異なる風景に目を釘付けにしておりました。また今回の遠征では弊部OBである杉 聡司さん(WTB 平成26年政治経済学部卒)がガイドとして帯同して頂きました。杉さんは英国の大学に留学をされ、抜群の英語力を持っていらっしゃいます。
ヒースロー空港からは大型バスで移動。長旅に疲れ、うとうとする選手も。
ヒースロー空港からは大型バスで移動し、遠征先であるオックスフォード大学へ向かいます。オックスフォードに到着すると早稲田大学のキャンパスとは全く異なるキャンパス風景に驚きと感嘆の声を漏らしてしまいました。まるでハリー・ポッターの世界に迷い込んだかのような気持ちになります。たくさんの自然に囲まれたオックスフォード大学は都会のまっただなかにある早稲田大学とは大きく異なりました。
オックスフォード市内の一枚。天気にも恵まれた遠征でした。
今回の遠征ではオックスフォード大学の一つHertford Collage(ハートフォードカレッジ)の寮に宿泊をしました。ハートフォードカレッジはかつて奥克彦大使が学業を修め、寝泊りをしたカレッジです。一人一部屋を貸して頂き、シャワーやトイレは共用ではありますが部屋は広々としており快適な時間を過ごすには完璧な空間といえました。
学生が暮らすにはもったいない程の広さ。快適な空間でした。
寮内に荷物を置いた後に、本遠征最初のレセプションにお招き頂きました。
会場はビンセントクラブ。オックスフォード大学で“ブルー”の称号を得た者のみが入ることを許される由緒あるクラブです。壁にはオックスフォード大学のクラブの紋章や歴代主将の画像が並びます。趣深い空間であり、オックスフォード大学の歴史の深さ、そしてブルーが如何に名誉ある称号であるかを強く感じることができます。
(左)ビンセントクラブ入口。ブルーの入口に王冠のマークが待ち構えます。
(右)壁には奥克彦氏の写真も飾られていました。奥氏がいかにオックスフォード大学で愛されていたかを感じました。
オックスフォード大学のクラブのエンブレム。ラグビー部のエンブレムは右上の王冠です。
レセプションではオックスフォード大学ラグビー部OBであり、奥克彦先輩と親交が深かったレジ・クラーク氏から歓迎のお言葉を頂きました。レジ・クラーク氏はまた奥先輩がどのような人物であったか、奥記念杯が続けられている意味とはなにかをお話し頂きました。異国の地であるここオックスフォードでこのように日本人が尊敬され、いまなお語り継がれていることに奥先輩の偉大さを再度認識致しました。そして我々がこの場にいることがどれだけ幸運であるかを感じるとともに、日本そして世界でリーダーになっていかなければならないと強く感じました。そして多くの選手が奥記念杯での勝利を誓った一日でした。
写真中央がレジ・クラーク氏。レジ氏の左に並ぶ門田 成朗(WTB・FB 法学部4年 早大本庄)が通訳を務めました。
奥記念杯の記念Tシャツを頂きました。写真は左から桑野 詠真(LO スポーツ科学部3年 筑紫)、滝沢 祐樹(FB 基幹理工学部4年 福島)
9月12日(土) <トレーニング>
オックスフォードに到着してから、最初の朝を迎えました。
朝食はハートフォードカレッジの食堂で頂きます。大きな長机が並び、まさにイギリス流の朝食です。ポテトやベーコン、パンを中心とした献立です。日本での朝食とは大きく異なりますが、選手たちはお腹いっぱいにしてよい朝食を過ごしました。
朝食の一風景。健康的な朝食を毎日食べさせて頂きました。
朝食後はChrist Church College(クライストチャーチ)へ移動し、トレーニングを行いました。練習前にはレジ氏にオックスフォード市内、クライストチャーチカレッジ内を案内して頂き、オックスフォード大学の風景を堪能します。クライストチャーチカレッジ内には映画ハリー・ポッターで撮影された場所が多くあります。魔法の学校を見ることができた選手たちは練習前に一つまた貴重な経験をさせて頂きました。
オックスフォード大学の図書館の一つであるラドクリフ・カメラの前で集合写真。
クライストチャーチカレッジの校舎。きれいな芝に囲まれた校舎には多くの観光客が訪れていました。
(左)クライストチャーチ校内の食堂。映画ハリー・ポッター ホグワーツでの食事風景はこちらで撮影されました。
(右)こちらもホグワーツでのシーンに使用されています。選手たちの気分はホグワーツの生徒さながらでしょうか。
そしてこの日は翌日に奥記念杯を控え、試合前最後の練習となります。
日本とは違う芝の長いグラウンドや球種の違ったボールにとまどいながらもしっかりと調整を終え、良い準備を行いました。
英国、日本そして奥先輩が見守る試合に必ず勝たなければなりません。
この日の夜に行なわれたジャージ授与では必勝をチーム全体で誓いました。
クライストチャーチカレッジの練習グラウンド。ラグビーの母国ということもありラグビーグラウンドが何面も広がっています。
左から岡田 一平(主将 CTB スポーツ科学部4年 常翔学園)、中庭 悠(FL 人間科学部4年 水戸一)。
9月13日(日) <奥記念杯>
いよいよオックスフォード大学との一戦、奥記念杯の当日を迎えました。
幸いにも青空が広がり、絶好の日和となります。
試合会場はオックスフォード大学のメイングラウンドでIffley Road(イフリーロード)です。
イフリーロードのグラウンド横のゲームボード。
ロッカールーム横には、伝統の一戦「オックスフォード大学vsケンブリッジ大学」を伝えるポスターが。世界で最も歴史の古い大学の定期戦の盛り上がりを日本も見習わなければなりません。
両校の校歌斉唱を終え、キックオフを迎えます。
前半20分まで早稲田大学がゲームを支配し続けますが、なかなか点数に繋がりません。
No.8 佐藤穣司が早稲田大学に待望のトライをもたらしますが、オックスフォード大学に2トライを許し、7-12と拮抗した点数で前半を終えます。
前半、佐藤 穣司(副将 No.8 スポーツ科学部4年 日川高校)がオックスフォード大学主将 George Messum(ジョージ・メッサム FL)を振り切りトライ。
オックスフォード大学CTBにタックルする杉本 峻(SH 商学部3年 早実)。
後半はシンビン等で自らリズムを崩し、打って変わって早稲田大学は勢いを失ってしまいました。後半も2トライを許し7-26でノーサイドの笛。
自らのゲームプランを遂行しきる力がまだ足りなったと感じさせられました。
ただ前半はゲームを支配した時間帯も長く、夏合宿で作り上げたチームの形は間違っていないとも感じることができました。
ノーサイド後は英国流でお互いの健闘を称えました。
クラブハウス前では両校の選手が交互になって写真撮影を行いました。
グラウンド横のクラブハウスでアフターマッチファンクションが開かれました。両校のキャプテンのスピーチ、記念楯の交換を行いました。また林駐英日本大使から優勝楯の授与がされました。今回はオックスフォード大学に優勝楯が授与されましたが、近い将来早稲田大学が手にする日に向けて鍛練を重ね、奥記念杯が続けられることに尽力したいと思います。
鍛練を重ねた英語でスピーチを披露する岡田 一平主将。
林駐英日本大使より勝利校オックスフォード大学へ楯が贈られました。
9月14日(月)
<トレーニング・World University Rugby Cupオープニングセレモニー>
オックスフォード大学の敗戦から夜が明け、遠征4日目を迎えました。
選手の表情には昨日の敗戦の悔しさがにじみでておりましたが、翌日15日(火)にありますケープタウン大学との一戦に向け、気持ちを切り替えなければなりません。
昨日試合を行ったイフリーロードで練習を行い、午前中を終えます。
お昼過ぎにはイフリーロードにて各大学のキャプテンが集まり、
トロフィーを囲んで記念撮影が行われました。
各チームのキャプテンは大柄な体格で岡田主将の姿が隠れてしまうほど大柄な体格の選手たちでした。岡田主将は不慣れな英語ながら積極的に会話を挑んでいました。
左からGray Hounds, Oxford University(グレイハウンズ オックスフォード大学 英国)、Siberian Federal University(シベリア連邦大学 ロシア)、New Zealand Universities(ニュージーランド学生代表 ニュージーランド)、Oxford University(オックスフォード大学 英国)、Trinity College(トリニティーカレッジ アイルランド)、University of Cape Town(ケープタウン大学 南アフリカ)、University of British Columbia(ブリティッシュ・コロンビア大学 カナダ)のキャプテン。
夜には今大会のオープニングセレモニーがAshmolean Museum(アシュモリアン・ミュージアム)で行われました。この博物館は世界で最初の大学博物館で、外装、内装ともに大変立派なものでした。このような趣ある博物館を所有していることにオックスフォード大学が持つ歴史の深さを強く感じます。
ケープタウン大学のBK3と早稲田大学のBK3のコラボショット。翌日の試合では彼らの身体能力の高さを目の当たりにします。
オックスフォード大学ラグビー部 ジョージ・メッサム主将から挨拶があり、セレモニーは幕を開けます。選手たちは展示物を楽しむとともに他大学の選手たちと積極的に会話をしていました。当初は英語に臆する選手も少なくはありませんでしたが、身振り手振りを交えながら英語での会話を楽しんでいました。英語力は現代社会では欠かせないものとなっていますが、大事なことは会話をしようという勇気ややる気であり、相手を思いやる気持ちがあれば十分会話ができると感じました。
ここで出来た友情が長く続き、世界中で繋がっていくことを望みます。
各チームが見守る中、ジョージ・メッサム主将(オックスフォード大学)による挨拶。
トリニティーカレッジの選手を挟み左から石川 敬人(HO スポーツ科学部4年 茗渓学園)、池本 翔一(FL スポーツ科学部4年 千種)。
9月15日(火)
<World University Rugby Cup プール戦・ハートフォードカレッジ歓迎レセプション>
15日は大会のプール戦、ケープタウン大学との試合が行われました。13日(日)に行われた奥記念杯はプール戦の一戦でもあり、各プール2位以上のチームで行われるトーナメントに出場するためにはケープタウン大学との試合に勝利する必要があります。またケープタウン大学は本遠征のターゲット校の一つであり、体格の大きなチームを相手に前へ出続け、試合を支配できるかが大きな課題となっていました。
今回の試合会場はオックスフォード市内にあるSt Edward's school(セント・エドワーズスクール)になります。日本の高校では想像できないほど多くのグラウンドが敷地内を埋め尽くしています。2019年日本開催のワールドカップまでに日本でも、ラグビーグラウンドを持つ学校が増えることを祈っています。
試合はケープタウン大学がキックオフ直後から大きな体格を活かした激しいコンタクトをみせます。早稲田も負けじと前へ出て、低いタックルで応戦しますがディフェンスラインのギャップや巧みなオフロードでゴールラインを割られてしまいます。それでも岡田主将を中心とした低いドライブで前進し、トライを奪い返します。次第にフィジカルで優位に立つケープタウン大学が点差を広げ14-31でノーサイド。
ノーサイド後は両校で円陣を組み、ケープタウン大学の選手たちが歌を歌い、普段とは異なる試合の締めくくりでした。日本とは異なるノーサイドのやり方ではありますが、ノーサイドの精神を強く感じた瞬間でした。
点差はひらいたものの体格が大きな選手を相手に戦うことのできる手応えと新たな課題を収穫とすることが出来た一戦でした。
(左)ゲームキャプテン同士で記念楯の交換を行いました。
(右)久富 悠介(CTB 文化構想学部4年 小倉)とケープタウン大学センターの選手。
スーパーラグビー出場経験があるセンターと体をぶつけあえたことは大きな経験となりました。
試合後はハートフォードカレッジに戻り、ハートフォードカレッジ主催の歓迎レセプションが行われ、美味しい食事を頂き、最後は早稲田大学校歌を全員で歌い上げました。
レセプションでは毎年多くの日本人学生がハートフォードカレッジに訪れており、ラグビー部からも第二の奥克彦氏が生まれることを楽しみにしているとの言葉を頂きました。
ラグビー部のネクタイとハートフォードカレッジのネクタイを交換しました。
遠征5日間の様子をご報告致しました。
遠征初日から数々の貴重な経験をさせて頂きました。
ワールドカップ開幕直前で熱気十分のイギリスでラグビーを行えたことは大変幸運です。
次回は9月16日(水)から19日(土)までの遠征の様子をご報告させて頂きます。
以上、第1号 主務部屋号外編でした。
ありがとうございました。