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2024
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【山下監督春シーズン総括】

――春シーズンは2勝6敗(Aチームでの15人制試合のみの成績)という結果となりました。その結果に対して、率直にどのように受け止めていますか

1月5日からチームを始動させて、オフシーズンのプログラム、プリシーズンのプログラムを終えて身体づくりを十分にしてから、春の試合期に入りました。チーム練習という意味で、ラグビーをやり始めたのは4月半ばからなのですが、春シーズンを通じてできている部分とできていない部分が見えたので十分に収穫は得られました。

応援してくださっているファンの方々には結果で応えられずに申し訳なく思っております。今季もチームの軸がぶれることはないですし、選手が果敢に課題にチャレンジしてくれたことにより、試合毎にしっかりとレビューをできました。選手たちは連戦でしたが、大きなケガも少なく、よく乗り越えてくれました。高いレベルの相手と連戦になったので、強豪校相手に耐性もついて良かったかなと思います。

――1月5日からチームを始動させたということですが、昨季に比べて早めの始動となりました。それによる影響はありましたか

身体づくりはまだまだですが、一定程度成果が出たと思います。それは数値としても確実に出ています。徐脂肪体重の増加、つまり純粋な筋肉の増加にもつながっています。次はその増やした筋力を活かせるようにしていきたいです。

――監督就任2年目のシーズンですが、体づくりの部分で昨年から改善した点などはありますか

すべてベースアップをしています。その中でも、帝京大さんや東海大さんと比べると早大は下半身に強さが足りないということがプレーの端々で見受けられていました。

こちらからS&C(ストレングス&コンディショニング)コーチのほうに伝えて、上半身の強化ももちろんですが、下半身の強化を求めました。強化の過程において早く結果を求めすぎてしまうと良くないので、その点で1月の早い段階からまとまった時間を取って下半身の強化を重点的にできました。

――今季のチームの軸もやはり『スクラム・チームディフェンス・ブレイクダウン』という三点でやっていくのでしょうか

そうです。春シーズンのスクラムに関して言えば、今季はユニット練習を3月にスタートさせました。その時期には、少し小手先の技術に走ってしまうことがありました。しかし、大東大戦の後に、「早稲田のスクラムとは何なのか」ということを伊藤雄大スクラムコーチとじっくりミーティングをして、修正しました。前三人が壁になって、後五人の押しを伝えるというのが早稲田のスクラムです。それをもう一度FW全員で共有して、BKにも伝えて、チーム全体で再確認しました。そこからは持ち直してきました。ただ東海大戦では、相手との差が顕著にでました。春を総括して、7月に相当数のスクラムを組んだので、徐々に良くなっています。また新ルールへの対応も早く取り入れたので、その成果をまずは菅平で発揮したいです。

他の二点も試合を重ねるたびに良くなっています。

チームディフェンスに関しては、チームのシステムおよびルールの再確認を行い、どの場面でボールを取るのかというポイントをしっかりと再提示しました。その上で選手たちには「春シーズンはターンオーバーにトライしてくれ」と言いました。ボールを奪う場面でトライしろ、と。選手が果敢にチャレンジしたお陰でターンオーバーの数だけ見れば増えました。試合の勝敗に直結するのはターンオーバーです。昨シーズンの試合スタッツを振り返ると、相手よりも多くターンオーバーできなかったのは同志社大と帝京大だけです。そういったことも踏まえて、ターンオーバーの重要性を今季のチームのファーストミーティングで強調しました。ただ反面、被ターンオーバー数もハンドリングエラーやボールキャリアーのミスなどで増えています。また奪ったボールの出口やそれをスコアに繋げられていないので、ターンオーバーの数の増加が勝敗に直結していません。今後はそこが課題だと感じています。さらにはボールを奪う局面での一人目の仕事の質を上げていくことも重要です。例として一人目のタックル成功率は去年の秋シーズンから良くなっていません。そういったところは課題としてあります。

――フロントローのメンバーの入れ替わりが多くあった春シーズンでしたが、どういった意図をもってメンバーを決めていたのでしょうか

フロントローのメンバーで一番大きく変わったことは鶴川が3番にチャレンジしたことです。よくやってくれたとは思いますが、1番と3番のどちらが彼にとっていいのかといえば1番でしょう。3番の負担によって、体力的にきついというわけではなく、落ち着かない印象がありましたね。1番にするとすごく動きけますし。鶴川はフィールドプレーが抜群に良いので、1番かなと思います。新チーム発足時には、3番に柴田を起用する予定だったのですが、井上も非常に成長してきていたので、鶴川を3番にチャレンジさせるということになりました。ただ明大戦のように相手の3番が大きくて上からつぶされてしまうような場合には厳しいです。そういうことを含めて、相手チームによって変えていく必要があるのかなとも思います。ただ、冒頭に申し上げたように、早稲田のスクラムはどんなメンバーが試合に出ても揺るぎません。メンバー全員が共通認識をもってやっていくことが、早稲田のスクラムの強化にもカルチャーを育む上でも重要だと思います。


(4年PR鶴川)

――1年生のプレーに対する評価はいかがでしょうか

下川はいつも高いレベルで安定感あるプレーをしてくれるので、安心して見ていられますね。ボールキャリアーもタックルも良いと思います。身体づくりという意味でも、ベースがしっかりできているので、これからも貪欲にいろんな部分を追い求めてレベルアップして欲しいですね。NO・8なので、たくさんタックルして、たくさんボールを持って思い切りプレーしてくれたらと思います。


(1年NO.8下川)

古賀は、スピードやトライを取り切る力は素晴らしいです。デビュー戦になった東海大戦でも2トライ取りました。さらに、古賀は不器用ですけど、すごくハードワークしてくれます。


(1年WTB古賀)

話は変わりますが、今季の早稲田の選手が持っていなければならない三原則というものがあります。『ハードワーク・ディシプリン・リスペクト』という三つです。チームのためにハードワークして、自分を律してトレーニングおよび日常の行動をして、クラブ内外の人をリスペクトする、ということですね。そのうちのハードワークという面において、グラウンド内でのことですが試合中にチームがピンチの時に真っ先に戻るのは古賀です。古賀は、チームのために体を張るというラグビー選手の根本の部分が染みついています。もちろんハンドリングやキッキングなどのテクニックは向上させていかなくてはなりません。そういうテクニックの部分は今季でどこまでできるかは分からないですが、トライを取り切る力とハードワークできる力で今季は思う存分やってほしいです。丸尾も非常に高いポテンシャルを持っています。ラグビーのインテリジェンスを上げて、良いレベルのプレーを80分間続けられる選手になってほしいです。今季の1年生は総じてポテンシャルが高いです。あと、ハートが強いですよ。星谷も練習より試合のほうが良いプレーをしてくれていつも試合でハッスルしています。みんなチームに良い風を吹き込んでくれています。今後の成長が楽しみ
です。


(1年NO.8丸尾)

――昨年度、新人ながら全試合に先発出場したSH斎藤直人選手やSO岸岡智樹選手、CTB中野将伍選手が今季はさらにリーダーシップを発揮している印象ですが、その点はどのように感じていますか

直人は、もっともっとリーダーシップを取っていいと思います。



(2年斎藤)

もちろん昨季よりは断然良くなっていますけど。自分の中で及第点を付けないようにしてほしいです。こちらからも直人個人のスキルだけでなくリーダーシップに関しても常に高い要求をしていきますし、それにしっかり応えて、さらに上回ってくれたらうれしいですね。岸岡も自覚が出てきました。彼はチームの司令塔でありフィニッシャーでもあるので、オールラウンダーとして今年も期待しています。


(2年SO岸岡)

岸岡がスキルでもランでも躍動すればチームの得点力は格段に上がります。中野将伍は、春シーズンの初戦の大東大戦後に100か0のプレーでは困ると、厳しく話しました。それからはボールのもらい方、スピードの緩急のつけ方などボールキャリアーとしての仕事の質が良くなりました。ディフェンス面についても淡白さがなくなりました。自分から探してディフェンスに行くことも出来るようになってきました。攻守において要になるミッドフィルダーとして、今後も攻守両面において仕事の質と量を求めていきます。彼が今後世界に出ていく上では非常に重要なシーズンです。


(2年CTB中野将伍)

――下級生が活躍しているだけでなく、中野厳選手や野口祐樹選手など4年生の活躍も春シーズンはありました

私は「チームディフェンスで体を張れない選手は使わないよ」とずっと言ってきたのですが、野口はその点で吹っ切れてくれました。それによって他の部分も良くなってきていて、チームにとって欠かせない存在になりつつあります。


(4年CTB野口)

中野厳は、ずっとジュニアチームにいてジュニアチームのキャプテンもやっていたのですが、その時からキレはありました。あと、抜群に集中力がありました。一方でフィジカル面が不十分でシニアチームに上がったらどうだろうと不安がありました。個人面談の際にも、その点を指摘し計画と何をどのようにやっていくかを精査させました。チーム事情でバック3に多くのけが人が出て中野厳をAチームで起用しました。ジュニアの時から銘苅コーチの元で地道にやってきた成果をその試合で思う存分発揮してくれました。その後の試合も活躍してくれて、これからに繋げました。今後はフィジカルとスピードのバランスを考えて、しっかりと精確なトレーニングを続けてほしいです。


(4年WTB中野厳)

あと、バックローでいえば幸重がよく頑張ってくれました。ケガなくやってくれて、体も大きくなりました。選手起用は選手に提示しているセレクションポリシーに則り行っています。1年生だから使う、4年生だから使うということはしていません。良い選手を良いタイミングで起用するだけです。

――春シーズンの取り組みとして、早慶戦を上井草グラウンドで行いました

今年度は北風祭のメインイベントを早慶戦にしました。北風祭はラグビー蹴球部のイベントなのに試合がないのは違うなと思っていました。慶應さんのご協力をいただいて、上井草で試合をすることができました。北風祭のようなイベントはホームゲーム開催時には行っていきたいです。ラグビー蹴球部が主催し、行政、パートナー企業、地元商店街とともにメインとしての試合を楽しんでもらい、そのほかにもそのオペレーション内で様々なアクティベーションを行い、見に来てくださった方に楽しんでもらいたいです。

――春シーズンの試合で最も印象に残っている試合はありますか

強いて挙げるとすれば、東海大戦です。先述した通り、チーム練習を開始して3週間ほどだったのですがゴールデンウィークの時期、東海大戦の前になって、ある程度は準備しないとだめだなと思ってゴール前のアタックだけ簡単に復習しました。それもあって前半は同点で終えることができたのですが、ただセットピース、特にスクラムでやられて、13回のマイボールスクラムがあり1回しかボールを出せませんでした。ラインアウトモールもことごとく押されて。そういった地力の部分で完敗でしたので印象に残っています。

――春シーズンが終わり、夏に向けてはどのようなスケジュールで進めていくのでしょうか

春シーズンが終わってから菅平合宿が終わるまでを9週間でとらえています。菅平での2週間はインシーズン、つまり試合期としてやって、その前の7週間はプリシーズンとしてやっていきます。その中でも7月の5週間は、もう一度身体づくりをして、さらにコーディネーションを高めようという観点から、週に8回のストレングストレーニングを行いました。ラグビースキルとしては土日だけチーム練習を入れて、平日はユニット練習のみ行いました。ファンダメンタルスキルについても、春のレビューから抽出した部分を練習しました。網走の2週間はユニット練習とファンダメンタルスキルのトレーニングは続けつつ、ストレングスの部分に菅平での試合期に向けたコンディショニングも含んでいく予定です。去年は網走でアタックの戦術的な部分もやっていましたが、
今季は斎藤直人、岸岡、古賀といったU20日本代表のメンバーもいないので、チームとしての戦術を仕上げることはしません。チーム、ユニットそれぞれにターゲットをもって網走は行いますので、菅平での試合では、単なる試合結果ではなく自分たちがやってきたことに対しての成果を出せれば良いです。

――改めて春シーズンの振り返りとこれからに向けて意気込みをお願いします

春は昨季に引き続き『チームディフェンス・スクラム・ブレイクダウン』という三つの軸を据えてやってきました。中でも、今季のファーストミーティングではターンオーバーの数が試合を決めるということで、強調してやりました。身体づくりも去年よりもレベルアップできていると思います。春シーズンは紆余曲折ありましたし、結果はまだまだ伴っていませんが、自分たちがやっていることはぶらさずにやってきました。試合でできたこと、できなかったことはスタッフ、選手全員で認識していますし、細かくレビューしながらやっていきたいと思っています。また、夏の試合期間でも、7月から網走合宿までにやったことを成果として出せるようにしていきたいと思っています。

――最後に、ファンの皆さんに向けて一言お願いします

いつも多大なるご支援、ご声援をいただき、ありがとうございます。昨年から引き続いてハイパフォーマンスのプログラムを回し、チームのそれぞれのパーツが効果的に機能して、良いユニットになっていると思います。その成果は着実に出ております。グラウンド内のチームの武器にすることも変わらずやっていますし、試合ごとにトライして、レビューできています。自分たちがやってきた足跡もしっかりわかっていますし、これからやらなければならないことも明確になっていますので、これからが非常に楽しみです。夏の菅平にも、引き続き多くの方々に試合を観に来ていただければうれしいです。今シーズン、皆様の期待に応えられるように、頑張っていきますので、引き続き、ご支援、ご声援のほどよろしくお願い申し上げます。