青空が広がり、そよ風が吹き抜ける心地よい陽気の中、東洋大・川越グラウンドには多くの観客が詰めかけ、関東大学春季大会第2節・東洋大との一戦が行われた。前節の大東文化大戦に続く白星で勢いに乗りたい早大にとっては今シーズンの行方を占う重要な一戦となった。
早大は試合開始直後からキックを有効に使って敵陣に攻め込こむと、前半3分には早くも先制トライを挙げた。その後も着実に得点を重ね、35-14とリードを保って前半を折り返す。
後半開始直後にはシンビンによる数的不利に見舞われたが、14人でつながり続けて冷静に対応。持ち味である堅いディフェンスからリズムを取り戻し、試合終盤には再びトライを重ねていく。結果、52-19と大差をつけて試合を終えた。

早大のキックオフで幕が開けたこの一戦。SO服部亮太(スポ2=佐賀工)が「今試合はキックでエリアを取ることをゲームテーマにして臨んだ」と振り返ったように、キックを有効的に使い敵陣に攻め込む。
先制点は早くも前半3分、CTB金子礼人(法4=福岡・西南学院)が鋭いランで起点を作ると、勢いを持ってボールを受け取った服部が次々と相手ディフェンスを華麗にかわし、トライラインを駆け抜けた。
続くトライは前半12分。CTB黒川和音(人4=茨城・茗渓学園)の裏から顔を出した服部が右端にロングパスを放る。ボールはWTB鈴木寛大(スポ3=岡山・倉敷)の手に収まると、ライン際を駆け抜けてインゴールに飛び込んだ。服部がゴールキックを冷静に沈め14-0とリードを広げる。
この流れにのって得点を重ねたい早大だったが、前半18分、東洋大にラック際を突かれると、そのままキックパスをつながれゴールラインを明け渡してしまう。
流れを取り戻したい早大は前半28分、鈴木が鋭いタックルで東洋大の反則を誘発。敵陣深くまで攻め込むと、服部の内側に走り込んだ黒川がボールを受けてゴールラインを叩き割った。
さらに前半終了間際には、服部がディフェンスを切り裂きビッグゲイン。オフロードパスをLO栗田文介(スポ4=愛知・千種)につなげてトライを演出。その後のゴールも冷静に沈め、35-14と大きくリードを広げて試合を折り返した。

後半は開始からオーストラリア遠征から帰ってきたCTB野中健吾主将(スポ4=東海大大阪仰星)、CTB福島秀法(スポ4=福岡・修猷館)、PR杉本安伊朗(スポ3=東京・國學院久我山)がピッチに入り存在感を見せる。
自らのミスでボールをつなげられない場面もあったが、昨年から強化してきたディフェンスで再び流れを引き寄せる。
敵陣でのチャンスを得点に結びつけたい早大だったが、前半10分、シンビンにより数的不利に見舞われ得点を許す。それでも14人でつながり続け、冷静に対処した。シンビンも明けた後半22分、SH糸瀬真周(スポ4=福岡・修猷館)から野中、服部にパスがつながり福島が起点を作る。HO清水健伸(スポ3=東京・國學院久我山)からバックドアのパスを受けた服部が再び相手ディフェンスのギャップを突きインゴールに飛び込んだ。野中のゴールも決まり、42-19と突き放す。
後半28分には清水、後半38分には栗田がそれぞれダメ押しのトライを挙げる。最後は東洋大の猛攻を鉄壁のディフェンスで封じ、52-19と大きくリードを守り切って試合を終えた。
圧巻のパフォーマンスで見事に敵地から勝利をもぎ取った早大。しかし、野中主将が「コミュニケーションでのエラーを改善しなければならない」と振り返ったように、アタックとディフェンスでの連携には課題が残る。
連勝を収め、勢いに乗った早大が次に迎える相手は東海大。6週にわたる連戦という険しい峠が早大を待ち受ける。この挑戦を乗り越えた先には一回りも二回りも成長したチームの姿があるはずだ。すべては決勝の地で『荒ぶる』を歌うために。チーム野中の航海はまだ始まったばかりだ。
記事:大林祐太、写真:村上結太、安藤香穂(早稲田スポーツ新聞会)