「自分たちが4年生として声や身体で引っ張ることができた」、そう振り返ったのはCTB福島秀法(スポ4=福岡・修猷館)。例年、全国大学選手権で苦戦を強いられる京産大を相手に、前半はスクラムを中心に試合を組み立てた早大。
モールでのトライを許しながらも14-7と7点のリードで40分を終えた。
後半で一気に攻めに転じた早大は6トライを挙げる猛攻を見せ、50-14と京産大に完勝してみせた。

京産大のキックオフから始まった今試合、いきなりハイタックルのペナルティーを得た早大は敵陣に入り込むもののアタックのミスで得点を生み出すことができない。一方の京産大は早大の反則から早大陣内22メートルライン付近でラインアウトモールを形成すると、そのままインゴールまで前進。早大はトライを許してしまう。
続く10分、反撃に転じた早大はモールで京産大の反則を誘発するとゴール前でスクラムを選択。絶好のチャンスを迎えたものの、ボールが手につかず、ノックフォワードとなってしまった。
好機を逃した早大だったが13分、京産大ボールのラインアウトの後逸を見逃さなかったWTB鈴木寛大(スポ3=岡山・倉敷)がキャッチし、そのまま外に展開。福島から最後はWTB田中健想(社2=神奈川・桐蔭学園)がインゴールを駆け抜けた。SO田中大斗(教2=東京・早実)のキックも成功し、試合は振り出しに戻る。
続く15分には激しいコンタクトの応酬が続いたがCTB黒川和音(人4=茨城・茗渓学園)のナイスタックルで流れを掴んだ早大は20分にスクラムでもペナルティーを獲得するなど徐々に京産大を追い詰めていく。
28分、福島のナイスタックルから京産大のノットリリースザボールを誘発。一気に敵陣へ侵入した早大はゴール前でモールを組んだがすぐにボールを展開しHO清水健伸(スポ3=東京・國學院久我山)がトライライン目前に迫る。SH大賀雅仁(スポ3=神奈川・桐蔭学園)が素早いテンポで走り込んできた福島にボールを供給し、そのままインゴールに飛び込んだ。
前半の最後に早大は3連続でペナルティーを犯し、ピンチを迎えたものの鋭く、そして正確なタックルで京産大を仕留めきり、14-7と7点のリードを守って前半の40分を終えた。

後半は前半から一転、得点が動く展開となった。後半開始早々、スクラムを得た早大は福島のバックフリップパスを受け取ったFB植木太一(人2=神奈川・関東学院六浦)がラインブレイクすると最後は狭いサイドに回り込んだ田中(大)がグラウンディング。
5分にまたもモールでのトライを許してしまったが、12分にPR杉本安伊朗(スポ3=東京・國學院久我山)が10シェイプのアタックで完璧にディフェンスの穴を突くと、タックラーに触れられることなくインゴールに飛び込んだ。
さらに15分、FL久我真之介(文構2=東京・早実)やNo.8城央祐(スポ2=神奈川・桐蔭学園)のタックルからチャンスを生み出すと、ラインアウトからの攻撃で植木がトライ。キックも成功し、スコアは33-14となった。
続く23分、Aチームデビューを果たしたPR平山風希(スポ1=大分東明)がゲインするとBKに素早く展開。CTB島田隼成(スポ2=福岡・修猷館)の内返しのパスを受け取ったWTB山下恵士朗(スポ2=早稲田佐賀)がゴール左に滑り込んだ。
30分にはLO小松輝也(スポ3=大阪・常翔啓光学園)のキックチャージから京産大を自陣に追い込み、エリアで優位に立つと34分にスクラムの2次攻撃でNo.8粟飯原謙(スポ4=神奈川・桐蔭学園)がトライラインを叩き割った。
38分にはSH平塚英一朗(法3=東京・早実)が試合を決めるトライを挙げ、50-14で京産大に勝利した。

「春の成長、やってきたことを出せた」と試合後にFL田中勇成副将(教4=東京・早実)が振り返ったようにコンタクト強度を武器にする京産大相手にアタック、ディフェンス共に前に出るシーンが多く、スクラムでもプッシュする場面がみられるなど確実な成長が感じられる早大。
ここからは北海道、奈良、岐阜と遠征が続く。相手は慶大、天理大、明大と大学ラグビー屈指の強豪たちとの連戦が待ち構えている。春シーズンの1戦1戦で成長し、夏、秋、そして勝負の冬へ。
『荒ぶる』への旅路はもう始まっている。
記事:村上結太、写真:安藤香穂、堀内遥寿(早稲田スポーツ新聞会)