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One Shot

2025
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トレーニングマッチ 帝京大学戦/観戦記

日本中のラガーマンが一堂に集う菅平・サニアパークメイングラウンドにて夏の大一番、帝京大との一戦が行われた。帝京大のキックオフで試合が始まると、序盤から早大のディフェンスの厚さがひかる。
前半2分、LO栗田文介(スポ4=愛知・千種)とFL田中勇成(教4=東京・早実)のダブルタックルで相手ペナルティーを誘いターンオーバー。さらに前半15分、自陣22メートルライン付近でのモールディフェンスでは帝京大を完全に抑え込み、堅守を貫く。しかしその直後、一瞬の隙を突かれ痛恨のファーストトライを許してしまう。すかさず反撃にでた早大は清水健伸(スポ3=東京・國學院久我山)がインゴールにボールをねじ込み、5-7と反撃の狼煙をあげたところで前半戦が終了する。

後半もセットプレーで優位に立つ早大だったが、あと一歩のところで攻めきれない。後半8分、相手ラインアウトのアンストラクチャーから追加点を許すと、そこから立て続けに3トライを奪われ点差を広げられてしまう。このまま終われぬ早大は後半35分にモールで押し切り追加点をあげると、試合終了間際にSO服部亮太(スポ2=佐賀工)が個人技でラインブレイク。反応したWTB山下恵士朗(スポ2=早稲田佐賀)がインゴールに沈めたが、17-35で試合終了。苦汁を舐める夏の一戦となった。

パスするCTB野中

春の連戦を終え、全国のラガーマンたちの合宿シーズンとなる真夏のこの時期は、秋に控える関東大学対抗戦前にライバルたちと手合わせができる最後のチャンスでもある。その中でも早大と帝京大のカードは多くのファンが注目する一試合だ。今夏はどちらが強いのか。多くの観客の期待が高まる中、帝京大のキックオフで試合の火蓋は切って落とされた。

試合開始直後からお互い一歩も譲らぬ攻防が繰り広げられる。前半2分、栗田と田中の鋭いダブルタックルでターンオーバーを演出すると、その後もディフェンスフェーズ中にジャッカルに成功。フィジカルバトルで優位に立った早大はセットプレーでも鉄壁を見せつけた。

8分、ファーストスクラムでプレッシャーをかけ、ペナルティーを獲得すると一気に敵陣へ攻め込む。敵陣22メートルライン付近でラインアウトを獲得した早大はサインプレーで絶え間なくアタックを展開するが、ペナルティーを犯しエリアを自陣22メートルラインまで戻されてしまう。しかし堅守の早大は自陣でのモールディフェンスで帝京大FWに一度も前進を許さず、これを防ぎきる。いい流れに思えたのも束の間、早大右サイドに数的有利の状況を作った帝京大に一瞬の隙を突かれ痛恨のファーストトライを許してしまう。ディフェンスでは一貫した精度の高さを維持するも、アタックではミスやペナルティーに苦しめられた早大だが徐々に攻撃のギアをあげていく。

33分、栗田のビッグゲインからトライラインに迫り猛攻を仕掛けるも、ボールが手につかずノックオン。このまま試合を折り返すかと思われたが、スクラムで帝京大が二度のアーリーエンゲージの反則を犯し、前半ラストワンプレーは早大のアタックターンとなる。敵陣22メートルライン内のラインアウトからCTB黒川和音(人4=茨城・茗渓学園)がラインブレイクすると、SO野中健吾主将(スポ4=東海大大阪仰星)の持ち出しに反応して内側に走り込んだ清水が待望のトライを叩き込み5-7でファーストハーフが終了する。

力強くディフェンスに仕掛けるLO栗田

後半戦も「相手のディフェンスのプレッシャーや自分たちのミスのせいで上手く攻めれなかった」と服部が振り返るように、早大は自らのペナルティーに苦しめられる展開となる。後半3分、相手スクラムで反則を犯し自陣に攻め込まれるも、追加点だけは阻止したい早大は鉄壁を崩さずモールディフェンスで帝京大を押し返す。5分には服部と杉本安伊朗(スポ3=東京・國學院久我山)がブースターとして投入され、攻撃のテンポに拍車がかかる。しかし真紅のジャージーの圧力を前になかなかトライに結び付けられずにいると、確実なプレーを重ねる帝京大に10分間でノーホイッスルトライを含む3トライを奪われ5-28と点差を広げられてしまう。

依然セットプレーではトライエリアへの侵入を許していなかった早大だが、24分にとうとうモールを押し込まれてしまいさらに7点を追加される。やられたままでは終われない早大は28分、再びモールを形成した帝京大を完璧に抑え込みノックオンを誘う。スクラムからフェーズを重ね、栗田がディフェンスラインを突破しゲイン。キックで陣地を押し戻すと、見事なキックチェイスで帝京大はたまらずサイドラインを割る。ゴール前でラインアウトを獲得した早大はモールでトライラインを叩き、キックを服部が冷静に決め、流れを再び引き寄せる。

その流れのまま、帝京大のキックオフボールをキャッチした早大は自陣でフェーズを重ねる。9シェイプの裏にポジショニングしていた服部がボールを受け取り、ラインブレイクをするとグラウンド左奥に絶妙なキックを放つ。抜け出しに反応していた山下が持ち味の快速でそのままインゴールに飛びこみ一矢報いるも、試合終了のホイッスルが鳴り17-35で今夏は黒星を喫することとなった。

ラインブレイクするSO服部

試合後に栗田をはじめとした多くの選手が振り返ったように「ペナルティーの多さが点数に響いた」ことは明らかである。しかしながら、モールディフェンスをはじめとするセットプレー、コリジョンバトルにおいては優位にたった場面が数多く見られたことも事実。次戦の天理大も紛れもない強敵だ。選手たちが今回の結果をどのように捉え、いかにミスを少なくしていくかが次戦のスコアに表れてくるだろう。

秋の対抗戦で雪辱を晴らすためにも決して妥協の許されない日々が続いていく。
早大のこれからの躍進から目が離せない。

記事:堀内遥寿 写真:清水浬央、大林祐太、伊藤文音(早稲田スポーツ新聞会)