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2024

対大東大戦(交流試合)・観戦記

対大東大戦(交流試合)・観戦記

シーズン2試合目のこの日はリーグ戦との交流試合。早大はトンガパワーの大東大と秩父宮で対戦した。2試合目には関東学院大対ケンブリッジ大の試合もあるとあって多くの観客がつめかけた。<HP委員疋>


大東大にはトンガ人留学生をはじめ、大きな選手がズラリ。この日のワセダのテーマはスピード。テンポを上げ相手を揺さぶることが勝利への近道だった。
開始から優位にゲームを進めるも、ラインアウトでのミスやペナルティーからの仕掛けに精細を欠いたことにより、試合のテンポがあがらず、相手のゆったりとしたペースに引きこまれてしまう。9分にスクラムからの展開でWTB仲山聡(3年)が抜けだしトライを挙げたが、テンポは上がらない。この展開を歯がゆそうに見つめていた清宮監督からも「テンポを上げろ」と激しい檄が飛んだ。
この嫌な雰囲気を一発で吹き飛ばしたのが、もはやエースの風格漂うCTB山下大悟(3年)。25分にSO大田尾竜彦(2年)からのパスを受けるといとも簡単に相手を抜き去り独走。ゲームの均衡を破るトライを挙げた。このトライで一気にテンポアップ。続く相手のキックオフからのボールを大きく展開し今度はFB柳澤眞(3年)が40メートル独走トライ。思い描いた通りの展開に持ち込む。前半終了間際には再びCTB山下が見事なスピードで相手を振り切りトライ。ゲームブレーカーぶりを如何なく発揮し、チームに勢いをつけた。
そしてもうひとり忘れてはならないのはフランカー羽生憲久(3年)。この日は得意のディフェンスで好プレーを連発。日本代表のバツベイに鋭いタックルを何度も見舞うなど相手の大型FWをことごとくシャットアウト。「今日は羽生のおかげ」とチームメイトからも大絶賛される働きぶりだった。春先に清宮監督によってSHからコンバートされた、まさに清宮ワセダの象徴とも言うべき存在。普段はメガネを着用し理工学部に通うどこにでもいるような学生で、とても鋭いタックルを繰り出すとは思えない。そのギャップに「あいつは本当にすごい」と部員一同驚きの声をあげている。まさに「必殺仕事人」。今後も間違いなく活躍してくれるだろう。
後半も積極的にBKに展開。SH田原耕太郎(4年)、SO大田尾も持ち味を発揮しゲームを完全に支配した。HB団以外にもNO・8佐藤喬輔(4年)、WTB山岡正典(2年)らが随所に好プレーを見せるなどまさにチーム一丸。4トライを追加し得点力の高さを見せた。終了間際には相手BKに走られ、トライかと思われたところを途中出場のFB山田智久(2年)がギリギリのところで阻止。「ああいうのがワセダらしいところ」(山下)と振り返ったように粘り強いディフェンスで相手を1トライに抑えた。50-5での完勝劇。ワセダにとっては収穫の多い試合といえるだろう。

<近くて遠い存在、柳澤夢の舞台へ>
ついに柳澤の夢がかなった!この日FBで出場した柳沢の母校は都立青山高校。そう、秩父宮の目の前にある高校だ。しかし目の前にありながら柳澤は一度もこのグラウンドに立てずに高校生活を終えた。秩父宮は近くて遠い存在。「どうしてもあのグラウンドでプレーしたい」。柳澤はそう強く思い続けた。2浪してまで早大進学にこだわったのもすべては憧れの秩父宮のグラウンドに立つためだった。
そしてこの日、努力のかいあってついに足を踏み入れた。「初めてで少し緊張した」と言うが前半27分には40メートル独走トライ。しかもトライを決めた場所がちょうど招待した親や高校時代の友人たちの目の前というおまけ付き。「あのトライはめちゃくちゃ気持ちよかった」と試合後には満面の笑みを浮かべた。
「今後は出続けられるようになって信頼を得たい」。国立、そして大学日本一…。ひとつの目標を達成した柳澤の挑戦はまだ始まったばかりだ。

<清宮監督試合後のコメント>
「今日は大東大がもっとモールやサイドアタックなど得意のパターンで攻めてくると思っていた。そういう感じで来られたらもっとやられていたかも。ディフェンスはまあまあよかった。前半の中頃からテンポもよくなった。50~60点取れるとは思っていたからアタックは予定どおり。確実にステップアップしているし、これからもしていく。今日の試合はよかったんじゃないかな。いい手応えだね」

<左京主将試合後のコメント>
「今日は相手が大きかったけれど、大丈夫でした。そこを止めることが目標でした。最初はよくなかったけれど、次第にテンポが上がってうちらしいラグビーができた。全体として意図したことはできたかと思います」

<好タックルを連発の羽生>
「できはまあまあです。止めることはできたけれど、倒すところまでいけなかった。自分より大きい人ばかりなのでフィットネスで上回ることを考えている。(みんなから今日は羽生のおかげと言われたことについて)そんなことないですよ。自分はアタックでは何もしなかったけどみんないい感じだったと思いいます」

<この日も大いに観客を沸かせた山下>
「(相手のCTBを翻弄していたのでは?)とんでもないです。たまたまです。強いチームになったらCTBも強いので負けないようにやるだけです。今日はラインアウトが取れなくて最初はうまく攻められなかったけど大きく見たら、よかったと思いますよ。いろいろ工夫しようと思っていたらたまたまうまく抜けました。ディフェンスもよかったと思います。まだまだですけど、負けないことがよかったです」

<切れのあるステップを見せたWTB仲山>
「今日は前半で出し切ったようになってしまいました。1試合を通して動けるようにならないといけなせん。トライは大悟や沼田さんがいいパスをくれたおかげです。まだまだですけど信頼されるWTBになっていきたいです」

<初の公式戦フル出場のWTB山岡>
「仲山さんと大悟さんが抜いてくれるので、自分は当たってドライブしていい球出そうと考えていた。今日は悪くはなかったけど、ディフェンスがいまいちでした。チームとしても前半にノックオンなどミスが多かった。いいプレーしないとすぐに下に落とされてしまうのですごく緊張感がある。いい刺激になっている。メンバーに入ることも目標だけれど、やっぱり14番を着続けたいです。まだまだ修正しなくてはならない点はあるけれど清宮さんや左京さんがやってくれると思うので自分はついていくだけです」