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Beat Up

2024

『待ちわびた白星、勝利で夏を終える』

8月28日 夏季オープン戦 対法大戦 長野・サニアパーク菅平
 
 夏季オープン戦を締めくくる相手は法大。前半序盤からペナルティーを重ね攻め切ることができない早大は、逆に先制を許してしまい2点ビハインドで前半を折り返す。迎えた後半には立て続けに2連続失点してしまうものの、途中出場のSH岡田一平(スポ3=大阪・常翔学園)のトライで逆転。26―24で白星を手にした。
 

開始早々からゴールライン際でのアタックを耐え抜いた早大。反撃に出たいところだったが度重なるミスにより敵陣深くまで攻め込むことができない。スコアが動いたのは20分、早大のペナルティーからクイックスタートした法大は波状攻撃を仕掛けてくる。そして右から左へ大きなキックパスがつながり、そのまま先制点を奪われてしまう。だがその5分後にはWTB本田宗詩(スポ2=福岡)の突破から右に展開し、SH平野航輝(スポ4=長崎南山)が裏にキックでボールを転がす。それを受けたSO小倉順平副将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)が押さえてトライ。31分にも追加点を挙げ12―7とし、リードを奪うことに成功する。しかし39分には、ゴール前のラインアウトから法大に押し込まれると、守り切ることができず12―14で前半終了。
 
 後半に入ってもペースをつかむことができない早大は連続で失トライし、12―24と差を付けられてしまう。これ以上の失点は避けたい早大。この状況を打破したのは途中から出場した選手たちだった。自陣でのターンオーバーから左に展開し、最後はWTB深津健吾(スポ4=東京・国学院久我山)が約70メートルを独走しフィニッシュ。36分にはゴール正面のスクラムから岡田が抜け出しインゴールに飛び込むと、ついに逆転し26―24でノーサイド。夏季オープン戦3戦目でのようやくの勝利には「耐えて取り切るところまで持っていくことを学べた」(ロック大峯功三主将、スポ4=福岡・東筑)とこれまでの2試合には見られなかった粘りの姿勢が現れていた。
 
 勝利したとはいえ喜ぶことばかりではない。この僅差のスコアが示しているように「やってきたことがあまり出せなかった」(WTB荻野岳志、先理4=神奈川・柏陽)と課題が残ってしまったことは事実。だがプロップ佐藤勇人(スポ4=秋田中央)や深津らケガから復帰した選手たちの活躍が光った試合でもあり、秋シーズンへ向けて明るい兆しも見えた。この夏の成果を発揮するためにも関東大学対抗戦には万全の状態で臨みたいところだ。
 
(早稲田スポーツ新聞会 伊藤なつ実)
 

コメント
ロック大峯功三主将(スポ4=福岡・東筑)
――試合の振り返りをお願いします
もっとできたのではという気持ちもあるんですけど、この試合に関しては勝ったことが全てです。
――夏合宿の3戦目で初勝利ということはチームにとっていかがですか
いままでなかったことですよね。こういう形になってしまったんですけど、やっているラグビーは間違いないと思っているので、そこをもう一度突き詰めてやっていきたいと思っています。取り切るまでにはいかないですけど、少しずつ形は見えてきたと思う試合でした。
――後半になって形ができたように思えました
後半の最初に関しては前の2試合と同じような展開になりかけたんですけど、ここを持ちこたえたということが、前の試合とは違って評価できることだと思います。そういう展開にならないようにしていくことと、耐えて取り切るところまで持っていくことを学べたのは大きいですね。
――帝京大戦のときにはゴール前で粘りのディフェンスが必要だとおっしゃっていましたが、この試合はいかがでしたか
もちろん粘った結果が勝利になったのですけど、帝京大はもっとすごい圧力でくると思うので、もっと対策をしたり、一人一人が頑張らないといけないと思います。
――夏合宿を振り返っての充実度としてはいかがでしょうか
もっとやりたいラグビーを相手に試したかったというのはあります。でも、試合を重ねるごとにやりたいラグビーの形が見えてきたと思うので、そこは評価できると思います。
――関東大学対抗戦(対抗戦)までもやりたいラグビーの実現を目指して継続していくということになりますね
合宿もキツかったですけど、もっとキツい練習を上井草でできればと思います。一試合ごとに重ねてやっていきたいですね。相手次第ではなく、ことしに関しては一試合ごとに勝ち切るということを大事にしていきたいです。
――対抗戦までチームをどのように持っていきたいですか
はっきり言って公式戦の赤黒ジャージーは普段の試合と全く違うと思っているので、そこをもう一度みんなで理解して、赤黒を着るために努力するということをみんなでやっていければと思います。
 

SO小倉順平副将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)
――
試合の振り返りをお願いします
内容はどうあれ勝てたのは良かったと思います。夏合宿ではまだ勝っていなかったので。
――夏合宿でやっていたことは出せましたか
帝京大からのトライやこの試合でのトライとかはターンオーバーからトライを取ることができて、それは夏合宿でやっていたことなので、全部ができたとは言えないですが少しは出たのかなと思います。
――ペナルティーが全体的に多かった印象を受けました
みんな疲れている感じがありましたね。疲れからペナルティーをしてしまっていたという感じです。
――後半の中盤くらいから流れが良くなった理由は何ですか
リザーブで元気な人たちが入ってきたというのもありますし、みんないつも後半の最後に落ちるということが分かっていて、意識して動いたからだと思います。
――夏季オープン戦の総括をお願いします
負けることが多かったですが、いろいろ試すことができてチームとしてやりたいことができました。メンバーが変わったりもしましたが、結果的には良い感じだったと思います。
――夏合宿の収穫はありましたか
トライの仕方、例えばターンオーバーからのトライが増えたり、FWはモールの精度がかなり上がっていたりしたので、そういうのが収穫だと思います。
――秋以降に向けて意気込みをお願いします
負けられないので、どういうメンバーであれ勝てるように頑張ります。
 

プロップ千葉太一(教2=東京・早実)
――法大戦を振り返ってみていかがでしょうか
ボールキャリーの部分でノックオンやペナルティーが多くて、それが相手のトライにつながってしまったので、修正したいです。
――Aチームとしては久しぶりの白星となりましたが、そのことについてはどう思いますか
勝ちという結果は得られたので、チームとして良かったかなと思います。負け癖が付いたまま夏を終えてしまうと、秋の関東大学対抗戦で負けてしまうので、勝ちにこだわるという点では良かったです。
――大東大戦、帝京大戦と比べて失点は減りましたが、ディフェンス面についての手応えを聞かせてください
大東大戦も帝京大戦もなのですが、前半は五分五分で戦うことができて、後半に何本も(トライを)取られてしまうことが多かったです。それでも、この試合は後半の最初に2本取られたところからチームがいい方向にまとまり、ディフェンスから切り替えしてトライを取れたことが、失点も防げた要因かなと思います。
――ディフェンスから切り替えるということは、チームとしてトライを取られた後に意識していたのですか
前の2試合に比べたら意識高くやっていたと思います。
――自身のパフォーマンスについてはどうとらえていますか
ボールキャリアーとしては最悪ですね。仕事は持って当たるだけではなく、そこからドライブしたりすることなのに、意識が低くてすぐに倒れて、ペナルティーになってしまいました。スクラムに関しては、久々に80分出場して、1番と3番の両方で組んでみて、夏やってきたことが出たかなと感じています。
――夏合宿全体を通して個人の出来はいかがでしょうか
すごく良い合宿だったと思います。自分としても、3番だけでなく1番としても大きく成長できたのではないかと思います。
――対抗戦に向けての抱負を教えてください
対抗戦は帝京大だけでなく他の大学も強いので、最初にある9月21日の明学大戦に向けて、チームとしてモチベーションを上げていければと思います。個人としては3番でも1番でもどちらでもいいので、スタメンとして出られることが自分の一番の目標です。
 

NO・8佐藤穣司(スポ3=山梨・日川)
――この試合を振り返ってみていかがでしょうか
菅平合宿中にあった試合は全部同じような展開になって、苦しい場面もあったのですが、勝ち切れたということは評価できるかなと思います。
――この合宿ではアタックの新戦術に取り組んで来たということでしたが、この試合での手応えを教えてください
まだ完成ではないですけれど、徐々にできてきているところがあって、こっちが数的優位の場面もありました。ですが、そこでの精度をもっと上げていければと思います。
――ディフェンスに関してもここ2試合より失点が減りましたね
個々のところはまだ全然だと思いますが、粘り強さは徐々に出ているのかなと思います。
――ボールタッチの回数が多いように見えましたが、自身のアタック面を振り返ってみていかがでしょうか
ボールキャリアーになったときに、すぐ寝たり倒れたりしてしまったときがあったので、そこをもっと立って、もっと前に行けたらと思います。
――3度目の早大の夏合宿はどのようなものでしたか
1年生のときよりは余裕が出てきて、集中して取り組めたかなと思います。
――あと1カ月弱で始まる関東大学対抗戦に向けての意気込みを聞かせてください
ここからは負けたら終わりの試合が始まってくるので、一戦一戦しっかり集中して臨んでいきたいです。
 

WTB荻野岳志(基理4=神奈川・柏陽)
――
法大戦の振り返りをお願いします
大東大戦や帝京大戦と同じように、前半はタイトな試合というか取ったり取られたりでした。後半が始まるときに監督から「後半が勝負」と言われたので、そういう意味では大東大戦でやられていたところを、(法大戦では)最後に立て直して出せたのは良かったんじゃないかなと思います。
――スコアにはあまり納得していないのでしょうか
そうですね。やってきたことがあまり出せなかったので。
――勝ちましたがなかなか攻めきれなかった印象があります
キャリアーが悪くてボールを取られてしまったり、チャンスや取りきるところでBKが取りきれなかったり。練習はしてきていたのですがうまくできなかったなというのがあります。
――ペナルティーが多かったように思いましたが、いかがでしょうか
相手に囲まれたときに、もっとずらすというのを覚えていかなければいけないなと思いました。
――夏合宿の3試合ともラインが浅めだったように思うのですが、夏合宿から始めた試みでしょうか
相手に応じて深さとかは調節すると思うんですけど、やっぱりチャンスの部分でどうしても浅くなってしまって相手に引っ掛かってしまったり、逆に深すぎて流されてしまったりというのがあったので、相手に応じて臨機応変にできなきゃいけないなと。
――大東大戦から新しいフォーメーションを試していたということですが、いかがでしたか
やっぱりそんなに簡単にはうまくいかなかったですね。3週間しかなかったので。
――新しいフォーメーションを対抗戦に向けてさらに定着させていくのでしょうか
そうですね。いままでやってきた部分と新しい部分でそれぞれ良い部分があると思うので、そこをうまく組み合わせてやっていけたらなと思います。
――対抗戦へ向けての意気込みをお願いします
負けられない試合が続きますし最後なので、一試合一試合を大事にしていきたいと思います。
 

プロップ佐藤勇人(スポ4=秋田中央)
――ケガあけといういうこともあり途中出場となりました。回復の具合はいかがでしょうか
順調にきていると思います。
――100パーセントでいうと、どの程度なのでしょうか
もう100に近いのかなという自信はあります。
――チームが苦戦していた後半の途中から出場されました。どのようなことを考えていましたか
僕が流れを変えられるのはスクラムだけなので、スクラムではやってやろうと思っていました。
――スクラムはこの合宿で取り組んできたことなのでしょうか
そうですね。やっぱり負けちゃいけないところなので。
――試合の中で合宿の手応えを感じる場面はありましたか
最後自陣に攻められたんですけど取られなかったというのは強みになりますし、スクラムも負けてなかったですし、そこは評価していいのかなと僕は思いますね。
――この合宿では苦しい試合が続きました。チームとして改善していくところはどのような部分なのでしょうか
個人個人が強い相手に対してのタックルですとか、そこはどうにかなると思います。スキルの面で相手を上回らなければ僕たちは体が小さいので、一つ一つのスキルをちゃんと習得していかなければいけたら思います。
――ラストイヤーの秋に向けて一言お願いします
覇権奪還に向けて頑張っていこうと思います。
 

SH岡田一平(スポ3=大阪・常翔学園)
――Aチームでの途中出場となりましたが、出場前に何か意識したことはありましたか
点差が5点あるときに入ったので、自分が起動力となってトライを取れるところは狙いたいと思っていましたし、自分がトライにつなげられるようなプレーをしたいという意気込みで臨みました。
――実際にトライを決められましたが、そのシーンについてはいかがですか
スクラムがかなり優勢だったので、スクラムが優位に進められればそのままトライに、無理だったら自分がいこうかなと決めていたので、FWの良いスクラムからトライにつなげられたプレーでした。
――Bチームの試合にも出場されましたが、振り返ってみていかがですか
最終戦ということでみんな気合いが入っていて、結果的にも良い試合ができて、課題はディフェンスの部分でいくつかあるのですが、そこは自分でディフェンスラインに入ってしっかりタックルするなりして、課題を克服していきたいと思いました。
――個人的に2試合の結果は良かったと感じていますか
そうですね。課題も見つかりましたし、次の秋のシーズンにつながるいい試合、プレーができたと思います。
――菅平での試合も終わりですが、得た収穫と課題はありますか
いつも課題においているところ、パスだったり、冷静に試合を進めるハーフとしての役割を意識してやったので、そこはかなり自分でも良くできたかなと思うので、それを秋のシーズンにAチームで出て、その冷静なプレーや判断をできるように、秋に上井草に持ち帰ってさらにレベルアップしたいと思います。
――最後に秋のシーズンへの意気込みをお願いします
まずはAチームに出て、自分がリーダーとなって引っ張っていけるようなプレーや声掛けをして、課題はいろいろとありますが、とにかくAチームに出られるように日々練習して、最後はずっととれていない日本一を目指します。
 

WTB深津健吾(スポ4=東京・国学院久我山)
――前半は相手ペースの時間帯が長くなってしまいましたが、そうなった要因は何でしょうか
タックルが甘いところが修正されていないのと、敵陣にいられることも少なくてアタックする時間が短かったのが前半があのようになってしまった理由だと思います。
――後半を振り返っていかがですか
後半もやはりタックルが甘くて敵陣に行けなかったので、うまくゲームを運べなかったです。後半の頭で少し受けに回ってそのままズルズル引きずってしまったゲームになったように感じます。
――ディフェンス面では簡単に抜かれてしまうシーンも見られました
それはやはりタックルというのもありますし、コミュニケーションの面で自分が止める相手を間違っていたというのもあるので全体的にディフェンスの問題かなと思います。
――アタック面ではなかなかトライを取り切ることができませんでしたね
アタックしてもミスで終わってしまうことが多かったので、マイボールをキープしてアタックをし続けられるようにしないといけないですし、ゴール前のアタックというところを合宿でやっていたのですが、まだ成果にうまく結びついていないのでそこはしっかり練習していきたいです。
――ではご自身のトライシーンを振り返っていかがですか
あれはもう前が空いていて呼んだら内側がちゃんと外まで運んでくれたのであとは走るだけでしたし、仕事をしたって言ったらしたというトライでした。
――合宿ももう終わりになりますが、最後の合宿はいかがでしたか
個人的にはケガで入ってしまったのでラグビーをする時間が少なくてもったいなかったです。チームとしてもいまいち成果が上がっていないので課題をしっかり上井草に持って帰って、また練習をして秋の対抗戦に臨みたいと思います。
――対抗戦に向けての意気込みをお願いします
まずは自分の定位置の11番を奪還することと、あとはいまチームとしてあまりトライを取れていないのでしっかりトライを取れるチームをつくっていきたいと思います。