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2026
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【春季大会 明治大学/観戦記】

眩い光に照らされている。そう思わせる一戦だった。日本のラグビー王国・福岡。これまで幾多のラガーマンやラガールを輩出し、日本ラグビー界の歴史を支えてきた地だ。関門海峡のその先の響灘の大海原を一望できるミクニワールドスタジアム北九州。その美しい景色をバックに、今日も新たな歴史が刻まれる。伝統の早明戦は、地元である福岡への凱旋となる選手たちにとっても、特別な一戦となった。試合が幕を開けると、早大は巧みなキックを起点にペースを握る。先制こそ許したものの、FW陣の力強いヒットとBK陣の華麗な展開力で着実に得点を重ね、14-5で試合を折り返した。迎えた後半、両者一歩も譲らない一進一退の攻防が繰り広げられる。一時は早大が突き放し勝負が決まったかと思われたが、明大も意地を見せて猛追。勝敗の行方はラストワンプレーに委ねられた。スタジアムに響く福岡のファンの声援を背に、早大は『赤黒』の誇りを胸にゴールラインを死守。ノーサイドのホイッスルとともに、28-24で伝統の一戦を白星で飾った。

トライラインを駆け抜けるSO服部

SO服部亮太(スポ3=佐賀⼯)のキックで幕を開ける。開始早々、服部がみせた。ロングキックで明大ディフェンスを背走し、相手のミスを誘発。大きく陣地を進めた。3分には、一度は明大に自陣深くまで迫られたものの、CTB島⽥隼成(スポ3=福岡・修猷館)がディフェンスの背後にボールを蹴り込む。島田がそのままプレッシャーをかけてターンオーバー。しかし、早大は自らの反則から得点を取り切ることができない。早大はここから我慢の時間が続く。服部が明大の一瞬の隙を突き、ビッグゲインをしたが、その後味方のハンドリングエラーもあり、得点に繋げられない。この隙を逃さないのが王者・明大。そのまま、一気に攻め込み、インゴールを明け渡してしまった。スコアは0-5に。
しかし、早大はディフェンスから流れを作っていく。フェイズが続いても、崩れることなくディフェンスを披露した。早大ディフェンスで一際輝いたのが、CTB名取凛之輔(スポ2=⼤阪桐蔭)とWTB⽥中健想(社3=神奈川・桐蔭学園)だ。名取は高いワークレートから何度も鋭いタックルを繰り出し、ディフェンスからチームを盛り上げた。また、田中健は広いスペースを守りながら絶妙なディフェンスタイミングと仲間とコミュニケーションをとりながらピンチを未然に防いだ。
35分、明大の連続攻撃をFL牧錬太郎(スポ3=神奈川・桐蔭学園)がスティールで仕留める。服部のキックで敵陣まで攻め込むと、直後のラインアウトからLO⽶倉翔(スポ4=福岡・修猷館)、PR新井瑛⼤(教4=⼤阪桐蔭)、HO清⽔健伸主将(スポ4=東京・國學院久我⼭)が順に鋭いヒットでゴールラインまで迫る。SH⼤賀雅仁(スポ4=神奈川・桐蔭学園)の素早い球捌きから服部が華麗に相手ディフェンスを抜き去りゴールラインに飛び込んだ。自身でコンバージョンキックを決め7-5とする。
この勢いのままに、早大は服部からボールをもらった島田がディフェンスラインとの間にある大きなスペースを見逃さず、ライン際を駆ける。内側にサポートしていた大賀へと繋ぎ、そのままグラウンディング。14-5とリードして試合を折り返した。

鋭い突進をみせるNO.8松沼

迎えた後半11分、明大の猛プレッシャーを受けながらも名取が素早いハンドリングでボールを繋ぐと、パスを受けた服部がビッグゲインをみせる。最後は田中健がインゴールを駆け抜けた。服部が右隅からの難しいコンバージョンキックを鮮やかに沈めて21-5とリードを広げた。
17分にはWTB若林海翔(社2=東海⼤⼤阪仰星)に代わって地元・小倉高出身のWTB髙野恵次郎(スポ1=福岡・⼩倉)がピッチへ投入され、スタンドから大きな地元の声援が送られた。しかし、その直後から自陣ゴール前での防戦が続く。この日はLOでの出場となった城央祐(スポ3=神奈川・桐蔭学園)がジャッカルで一度はピンチを凌いだものの、明大自慢の重戦車FWの猛攻に耐えきれずに失点を許してしまう。21-12とされると、28分にも再びトライを奪われて21-17と4点差にまで詰め寄られた。
嫌な流れを断ち切りたい早大は33分、PR平⼭⾵希(スポ2=⼤分東明)からのパスを受けたNO.8松沼寛治(スポ4=東海⼤⼤阪仰星)が豪快な突破をみせる。途中出場のSH川端隆⾺(スポ2=⼤阪桐蔭)の素早い球捌きから、最後はFL野島信太郎(教4=東海⼤⼤阪仰星)が執念でインゴールをこじ開けた。服部のキックも決まり28-17。試合を決定づけたかに思われたが、紫紺のプライドを懸けた明大も意地をみせて28-24とする。
勝負の行方はロスタイム3分間のラストワンプレーに託された。城と平山が肉弾戦で決死のボールキープを試みるもターンオーバーから明大にボールが渡る。ビッグゲインを許して絶体絶命のピンチを迎えた。それでも早大はフィールドに立っている全員が泥臭く走り続け、そして文字通り体を張り続けて明大の猛攻をシャットアウト。ノーサイドのホイッスルとともに28-24で激闘を制した。

ライン際を駆け抜けるCTB名取

北九州で行われた伝統の早明戦。この一戦には特別な意味が込められていた。まずは野中組の雪辱を果たすこと。早大は昨シーズン、春、秋、冬のいずれの対戦でも明大に苦渋をなめさせられていただけに、今試合で悲願のリベンジを果たすことができた。今季の歩みを進める上で自分たちの実力を証明する大きな白星を手にすることができただろう。

また、今試合では北九州を地元とする服部をはじめ、多くの福岡出身の選手たちが故郷の地で大躍動をみせた。試合後には、スタンドを埋めた多くのラガーシャツ姿の子どもたちが早大の選手たちの名前を大声で呼び、かつてこの地で育った『赤黒』の戦士たちが、今度は次世代の憧れの存在となった瞬間だった。熱戦を制した清水組の未来は明るく照らされている。そしてその眩い光は、彼らの背中を追う未来の早大ラグビー蹴球部の姿までも、きっと明るく照らし続けてくれるのだろう。

記事:大林祐太 写真:伊藤文音、髙木颯人(早稲田スポーツ新聞会)