伝統の重みを乗せて、2年ぶりとなる高麗大との定期戦が幕を開けた。時折激しい雨が打ちつける早大・上井草グラウンド。両校のプライドが激突する一戦で、早大はキックを軸に緻密なゲームメイクを組み立てる。序盤こそ高麗大の鋭い出足のディフェンスに苦しむも、重厚なFWの推進力とBKの華麗な展開力で即座に適応。瞬く間にスコアを重ね、31-7と大きくリードを奪って試合を折り返した。
迎えた後半、早大の猛攻はさらに加速する。一切攻撃の手を緩めることなく、容赦なくインゴールを襲い続けた。終盤にはスクラムで高麗大を完全に圧倒。58-12という大差をつけ、伝統の定期戦を完璧な白星で飾った。

高麗大のキックオフにより、2年間という時の止まりが動き出した。早大は今試合『赤黒』デビューとなったSO寺⽥結(スポ3=広島・尾道)のキックにより前進する。早くも1分、早大はBKで展開し、FB鈴⽊寛⼤(スポ4=岡⼭・倉敷)がゴールラインを駆け抜けた。寺田のキックも決まり、7-0と先制に成功する。しかし、高麗大が牙を剥く。鋭い出足のタックルから繰り出される猛烈なディフェンスプレッシャーが、一気に試合の流れを引き寄せた。早大も自陣深く釘付けにされながら、執念のディフェンスで決定機を凌ぐ。
だが5分、早大のわずかなラインアウトミスを見逃さなかった高麗大にゴールラインを明け渡した。7-7とスコアは振り出しに。反撃したい早大は7分、寺田を起点に大きく展開。一度は激しいタックルに見舞われるものの、CTB東佑太(スポ1=東海⼤⼤阪仰星)からパスを受け取ったCTB森⽥倫太朗(スポ4=兵庫・報徳)がグラウンディング。12-7とする。12分には早大がスクラムで圧倒。相手ボールスクラムでもその力を遺憾無く発揮し、反則を誘発する。15分には、高麗大が早大ディフェンスラインの背後に転がすものの、今試合復帰戦となった鈴木が冷静に対処する。早大ディフェンスの最後尾としての安定感を見せた。
得点が動いたのは19分、東の鋭いタックルから高麗大がボールをロストすると、そのまま森田が今試合2本目のトライを挙げる。27分には高麗大のディフェンスプレッシャーを巧みにかわした寺田がインゴールに飛び込む。自身でゴールを決めて26-7とする。37分には、東が鋭いヒットで起点を作ると相手はたまらずペナルティー。SH大賀の素早い球捌きから、寺田が大外までロングパスを放ちWTB佐々⽊篤真(法4=福島)がトライ。31-7とする。

迎えた後半戦、早大は9分にLO⼩松輝也(スポ4=⼤阪・常翔啓光学園)が相手のミスボールに反応しボールを獲得すると、寺田が相手ディフェンスの陣形を見ながらキックを放つ。見事に50:22を成功させた。12分に早大はそのままラインアウトモールからHO丸橋怜央(商4=埼⽟・早⼤本庄)がゴールラインを叩き割った。しかし、早大は直後の15分に高麗大の連続攻撃から失点を許してしまう。
17分、早大はキックオフボールを獲得するとそのままゲイン。BKに展開すると、鈴木が切れ味鋭いステップで相手ディフェンスを次々とかわし、華麗にインゴールを駆け抜けた。早大はPR前⽥麟太朗(スポ3=神奈川・桐蔭学園)の投入により力強い推進力からゲインラインを次々と突破。攻撃のリズムが生まれる。前田はスクラムでの力を発揮。27分には高麗大ゴールを目前としたスクラムで早大がスクラムを粉砕し、認定トライを獲得した。48-12とリードを広げる。34分と38分にはHO野⼝⼤雅(⽂構4=東京・早実)とWTB⻄浦岳優(社3=東福岡)が続けてトライ。早大は試合終了間際、高麗大の連続攻撃を凌ぎ切り、58-12でノーサイド。伝統の定期戦を白星で飾った。

終始、高麗大の凄まじいディフェンスプレッシャーが早大を襲った今試合。しかし、その中で毅然とアタックの手綱を握ったのが寺田と森田だった。2人は相手の飛び出したディフェンスを冷静に見極め、その背後に生じるわずかなギャップを巧みに強襲する。相手のプレッシャーを逆手に取るかのように、鮮やかにアタックラインを切り拓いた。特に寺田は雨が降り頻る難しいコンディションの中でキックを使い分けながらエリアマネージメントをしていった。素早い球離れのパス、正確無比なキック、そしてスペースを見つければ自らボールを運ぶことのできるラン。今試合のみならず、自身の強みを十分に発揮した春シーズンだったと言えるだろう。
また、ディフェンスではFL平野仁(スポ3=神奈川・法政⼆)と大賀が一際存在感を放っていた。大賀は高いワークレートからディフェンスラインのギャップを埋めながらピンチを未然に凌ぐ。また、体の大きいFWが早大ディフェンスラインを突破してきた際も自ら鋭いタックルで仕留めきった。平野も接点で力強さを発揮し密集戦を制した。多くの選手がそれぞれの輝きを放ったこの一戦。とりわけピッチに立った4年生たちは、その背中で『早稲田プライド』を強烈に体現してみせた。戦いを終え、チームはいよいよ過酷な夏の鍛錬期へと突入する。再び『赤黒』のジャージーに袖を通すために。彼らは足掻き続ける。
記事:大林祐太 写真:伊藤文音、髙木颯人(早稲田スポーツ新聞会)
